3 ◇ 嫉妬と遠慮の倶楽部見学
全32話(執筆済)。基本毎日投稿予定です。
「メリサ様、今日も放課後は例の『魔法倶楽部』に行かれるんですか?」
放課後。私が鞄を持って席を立って、校舎の端の資料室──魔法倶楽部の部室に行こうとしたら、クラスの女子達に声を掛けられた。
「ああ、うん。」
私が頷くと、皆は興味津々といった様子で尋ねてきた。
「あの1学年のベルミー君と二人で活動されているんですよね?」
「最近メリサ様は、毎日のように行かれていますね。そんなに楽しい倶楽部なのですか?」
「一体どんなことをされているんです?」
「ベルミー君はそんなにも面白い子なんですか?」
「…………?
ああ、そっか。まあ、そう見えるよね。」
私は皆に言われて気が付いた。
週1回、1時間。その程度のつもりで始めた魔法倶楽部。
倶楽部設立から2ヶ月が経って、気が付けば私は彼女達の言う通り、放課後は家に帰る前に当たり前のように部室に寄るようになっていた。
皆の目にはそんな風に見えていたのか。
……何て説明すればいいかな。
「えーっと……最近はずっと期末考査に向けて勉強してる。」
「えっ?」
「魔法学の予復習かな。あの部室、けっこう集中できて勉強が捗るから。最近はあそこで勉強してから帰ってる。」
私が正直に答えると、彼女達は困惑した。
「期末考査って……まだ1ヶ月以上先ですよね?」
「うん。」
「試験範囲、出ていましたっけ?」
「ううん。まだ出てないと思う。」
「……それなのに、もう勉強されているのですか?」
「うん。一応、活動目標だから。『魔法学でいい成績を取る』っていうのが。
だから試験範囲はまだ発表されてないけど、今期の授業内容を中心に徹底的に復習してる。
あとは授業の予習と──まあ、自主勉強もしてるな。発展内容。学校の授業とは関係ない勉強。……それはけっこう楽しいかも。いい息抜きにもなってる。」
私がそう言うと彼女達は「メリサ様はすでに学年1位ですのに!」「その向上心が素晴らしいです!」「さすがだわ!」とはしゃいだ。
「なるほど。メリサ様はご自分の発展的な学習の傍らで、ベルミー君にも勉強を教えてあげているのですね!」
「なんて面倒見が良いのかしら!さすが、メリサ様!お優しいですわ〜!」
「そういうところがますます惚れちゃう!」
「メリサ様素敵〜!」
「想像するだけで微笑ましい光景!」
続けてそう持ち上げられたから、私は普通に否定した。
「いや。私、別にベルミーに勉強教えてないよ。」
「「「「………………?」」」」
はしゃいでいた彼女達が、笑うのをやめて再び困惑する。
私はその倶楽部活動の様子を、正直に皆に話した。
「ベルミーは本当に魔法が好きで、私の助けなんて全然要らないレベル。
1学年の教科書の内容は余裕で理解できてるし、2学年や3学年、4学年の内容も既に独学済みっぽい。
だから基本的にはお互い、ほとんど喋らずに勉強してる。
……ああ。たまに記述問題の添削っていうか、確認はお願いされるかな。でもそのくらい。
あとはベルミーが上級生の私の授業ノートを見たがってきたときに貸してあげる程度。私はベルミーに対して、そのくらいしか教えてあげられてないよ。」
「「「「………………。」」」」
「あとは学校ではやらない実戦向けの攻撃魔法とか、現代魔法理論とか。そこら辺をたまに一緒に勉強してる。
でも発展学習の内容に至っては、ベルミーの方がすごいと思う。ベルミーは詠唱解析や魔物生態学の本も積極的に読んでるから。その辺りは私の方が教えてもらってる。
さすがに魔法史や古代魔法については、まあ家柄の性質もあって、まだ私の方が詳しいけど。」
私の話を聞いた彼女達の一人、ロザリアさんが、ポカンとしながら「……切磋琢磨されているんですね。」と、一言だけ感想を呟いた。
その言葉を聞いたら、何だかあの部室でのほぼ無言の自習時間が、より有意義なもののように思えてきた。
ベルミー、今日も先に来てるかな。……私も行こう。
「うん。じゃあ私、倶楽部活動に行ってくるね。
皆、また明日。」
私は彼女達に軽く別れの挨拶をして、放課後の魔法倶楽部に向かった。
◇◇◇◇◇◇
私が部室に入ると、古い方の椅子に座って机に向かっていたベルミーが、パッと笑顔になって私に挨拶をしてきた。
「メリサ先輩!お疲れ様です!」
「うん、お疲れ様。今日も早いね。」
私はベルミーの向かいに座って、教科書と魔導書とノートの三点セットを広げた。
私は少し大きめの、比較的綺麗な方の椅子。別に「こっちがいい」って私が主張した訳じゃないんだけど……毎回ベルミーが先に来て古い方の椅子に座っていたから、今はもうこの新しい方の椅子の座り心地にすっかり慣れてしまった。
ベルミーが机に広げているものをそっと見て確認する。
教科書じゃないし魔導書でもない。語学辞典よりも大きくて分厚い本。
……「魔導学概論」か。
タイトルの通り学術書で、専門家達が必ずと言っていいほど名前を挙げてくる名著。ただ、けっこう難しいから、中等部学生で読んでいる子はそんなに多くないと思う。魔法の専門職を目指す高等部学生や研究者達の必読本っていう感じの本。
最近ベルミーは、学校の授業の予習復習以外では、ずっとこの本で勉強している。……本当に魔法が好きなんだな、この子は。
私は勤勉なベルミーを見習って、自分も勉強を始めることにした。
………………
………………
…………………………──
「──ああ、もう時間か。
今日は剣のレッスンもあるから、私もう帰らなきゃ。」
あっさりと1時間が経って、私は帰る時間になった。
ベルミーは私の呟きを聞き取って、顔も上げずに軽く「あ、お疲れ様で〜す。」とだけ言って、魔導学概論のページを捲っていた。
こういうときのベルミーは、集中し過ぎているせいか、いつものような「はいっ!先輩!今日もありがとうございました!」的な勢いはない。
素っ気ないとまではいかないけど、他の人と同じような、ごく普通のテンションって感じがする。
だんだん気を遣わなくなってきているベルミーのそんな姿に、私は最近、安心している。
今までが過剰だったから。こんなもんで私はいい。
私はすっかり勉強に夢中になっているベルミーに「じゃ、お疲れ様。」とだけ声を掛けて、先に部室を出た。
…………正直、毎日こんな感じ。
魔法倶楽部は発足から2ヶ月が経った今、こんな感じで「真剣にお互い自習する会」の様相を呈していた。
◇◇◇◇◇◇
そんなある日。
私はクラスメイトの女子数人に、ある「お願い」をされた。
「……『魔法倶楽部』の見学?」
「はい!わたくしたち、メリサ様の様子を見ていて、興味が湧いてきましたの。
学内には他にもお裁縫や弦楽、絵画、球技といった趣味の倶楽部はありますけど、『試験勉強』をする倶楽部はありませんでしたから。
学年1位のメリサ様と、そのメリサ様が認めるほど優秀なベルミー君が、一体どのように倶楽部活動をされているのか。一度見てみたいと思いましたの。」
微笑みながらお淑やかな口調でそう言ってくるロザリアさん。
ロザリアさんに続けて、他の子達も頷いた。
「もうすぐ期末考査ですし。私もメリサ様の勉強の仕方を参考にしたいです!」
「もしかしたら、私も魔法に対する意欲が湧くかもしれないと思いまして!」
「ご迷惑でなければ、今度の活動日に見学をしてもよろしいですか?」
「ああ。……えっと……」
断るほどの理由はなかった。
学内での倶楽部活動は、基本的にはすべて自由。
ベルミーみたいに新たに設立するのも、どこかの倶楽部に所属するのも、逆に所属しないのも自由。
だから見学するのももちろん自由だし、新しく入部したい人がいたら、それも普通は歓迎。
ただ、うちの魔法倶楽部は他と違って、二人きりの倶楽部だから。
しかもこの倶楽部はベルミーが「私に魔法を教わりたい」って動機で、一人で用意した環境だから。
私がクラスメイトを新たにぞろぞろ連れて行っていいものかどうか。少し判断に迷った。
だから私はそのとき
「皆が見学してもいいかどうか、ベルミーにも確認してみるね。」
と中途半端に答えた。
……そして、答えてから気付いた。
上級生の女子達の「倶楽部活動を見学したい」なんてお願い、下級生のベルミーが断れる訳ないよな……って。
◇◇◇◇◇◇
「──ってことで、ごめん。
うちのクラスの女子達が今度見学に来たいって言ってきたんだけど……いいかな?
でも、もしベルミーが嫌だったら、遠慮なく言ってくれていいよ。君が作った倶楽部だから。
ベルミーの判断に任せる。君が『見学はちょっと……』っていうことなら、私が適当に理由つけて断っておくから。」
その日の放課後。
もはや活動日なんかは関係ない。私がいつものように部室に行ったら、ベルミーは今日も当たり前のように先にいた。
そして私は先にいたベルミーに、今日彼女達に頼まれた話を伝えた。
ベルミーは私の話を聞いて「いえいえ、そんな!断るまでしなくても大丈夫です!ボクにそこまで気を遣ってくださって、本当にありがとうございます!」と笑った。
でもそれからベルミーは、飼い主に甘える子猫のようなきゅるっとした瞳で私の顔を見上げながら、可愛らしい本音を口にした。
「ただ、魔法倶楽部に興味を持ってもらえたこと自体は嬉しいんですけど……正直、先輩と二人きりじゃなくなっちゃうのは、ちょっとだけ寂しいです。
ボクが先輩の特別じゃなくなっちゃったようで。先輩の弟子が増えちゃう……。」
「ふっ、何それ。」
ベルミーの嫉妬じみた言葉に、私は思わず笑ってしまった。
入学してきたその日にいきなり声を掛けてきて、こんな倶楽部まで作っちゃったってだけでも、君のインパクトは充分だよ。
こんなに魔法が好きな真っ直ぐな子、私、初めて見たよ。君はもう既に「特別」だって。
私はそんなことを思いながら
「大丈夫だよ。別に『入部』希望じゃなくて、ただの『見学』希望だし。
彼女達は私の勉強の様子を覗いていくだけだと思うから、ベルミーはいつも通り普通にしてて。
あと、そもそも『弟子』じゃないから。だって君はもう、私よりも何倍も魔法のことをよく知ってるでしょ。」
と言った。ベルミーには「そんなことないです!先輩はボクの『師匠』です!」って返されたけど。
そうして私はベルミーの許可を得て、彼女達を一度、倶楽部に連れてくることにした。
◇◇◇◇◇◇
例の倶楽部見学は、週明けの放課後に行われた。
私は近くの教室から机と椅子を部室に何個か持ってきて、何とか皆が座れるだけの席数を確保した。
「ちょっと狭いけど、どうぞ。」
本当に狭い。
席と人が増えたことで、いつもの静かな書斎のような空間が、一気にごちゃっとして騒がしくなった。
「あの資料室が、いつの間にこんな風になっていましたの?!」
「アンティーク調でお洒落〜!」
「隠れ家みたいで素敵だわ!」
見学に来たクラスの女子達がはしゃいでいたところに、今日はベルミーの方が少し遅れてやってきた。
「……あっ!あ、えと、こんにちは。
ごめんなさい。授業が長引いて、ちょっと遅れちゃいました。」
扉を開けるなり部室の過密具合に気圧されるベルミー。
いつもは元気に「先輩!お疲れ様です!」と言ってくるのに、今日は小声でおどおどしながら謝ってきた。
「まあ!ベルミーさん、初めまして!」
「お邪魔しておりますわ。」
「今日はよろしくお願いしますね!」
「あっ、はい。ど、どうも……先輩方、よろしくお願いします。」
「「「キャー!可愛い〜!!」」」
入るなり1学年上の女子達に囲まれて、頭を撫でられるベルミー。
女子の平均身長よりも背が低いベルミーは、彼女達の輪の中に完全に埋もれてしまっていた。
「……まあ、そのくらいで。
ベルミー、今日は君はいつも通りにしててくれていいからね。」
私はベルミーを助けるためにそう声を掛けた。それに対しベルミーは、ちょっと緊張したような硬い笑顔で「ありがとうございます。」って小声で返してきた。
そして、ベルミーはいつもの古い椅子には座らずに、部屋の奥の端っこにちょこちょこっと逃げるように駆けていって、「先輩方、どうぞ。お先にお好きな席にかけてください。」って、遠慮しまくりながら気を遣ってきた。
………………。
「うん。ありがとう、ベルミー。
じゃあ、勉強始めよっか。」
私は今日彼女達を見学に連れてきたことを、すでに後悔し始めていた。
◇◇◇◇◇◇
「メリサ様、失礼します。ここの魔法式の意味が、わたくし、いまいち理解できていないのですが……」
「ああ、うん。それはね──」
「メリサ様、次に私も質問、よろしいですか?」
「いいよ。……ごめん、ちょっと待ってて。」
「もちろんです。ありがとうございます。」
彼女達の質問を受けながら、先週出されたばかりの期末考査の範囲の勉強をする。
最初は私ばかりが彼女達に話し掛けられていたけど、順番待ちに飽きたのか、それとも私の「ベルミーは私よりも魔法に詳しい」という言葉を思い出したのか……彼女達のうちの一人が、そっと一番端に座っているベルミーに向かって声を掛けた。
「ベルミーさん。すみませんが、少し聞いてもよろしいかしら?」
「えっ?ぼっ、ボクですか?」
ベルミーは敵に見つかった野生の子ウサギのようにビクッと肩を竦めて、それからいそいそと彼女の机の方に来た。
「2学年の範囲で申し訳ないのですが、ベルミーさんはこの問題、分かりますか?
私は問題文からもうすでに、何を聞かれているのかさっぱり分からなくって……」
ベルミーはその質問を受けて、指を差された問題文を覗き込んで、それからすぐに「あぁー……えっと、うーん……2学年の1学期の問題ですよね……。えーっと……」と言って頭を捻りだした。
多分、彼女には「1学年の子にわざと難しい問題を聞いてやろう」とか、「どうせこんなの分からないでしょ?」みたいな意地悪な意図は無いとは思うけど。
斜め向かいの席からチラッと覗いて見えたその問題は、今回の試験範囲の中では一番難しい、大問になりそうなものだった。
彼女がベルミーの様子を見ながら、そっと「ごめんなさい。やっぱり難しかったかしら?」と声を掛ける。
しかしベルミーは、彼女の予想とは違うところで頭を悩ませていたようだった。
「……あ!すっ、すみません!お待たせしました!
ちょっと、2学年の1学期までの知識がどうだったかなって、一瞬分からなくなっちゃって。」
「え?」
「でももう大丈夫です!思い出せました!
……えっとですね。これは実は、2学年の後半で出てくる2属性複合魔法の基本構造──の、導入みたいな問題なんです。なのでとにかく、まずは2つの単属性魔法の錬成について、共通部分と異なる部分をそれぞれ書き出してみるとよくって……」
ベルミーは説明を始めた。
テスト勉強対策らしく「とりあえず要素を書き出しておくだけでも部分点は稼げると思うので、まずはそれをやっちゃうといいと思います。」なんて、本質から少し逸れたオマケまで器用に差し込みながら。
彼女はベルミーの解説に最初は驚いていたようだったけど、途中からは完全に「なるほど!そういうことでしたか!」と感動しながら熱心にノートにメモしていた。
「──っていう感じです。」
「ありがとうございます!授業で聞いたときはさっぱりだったのですが、初めて理解できました!」
ベルミーによる解説が一通り終わり、満足そうに笑う彼女。
でも彼女はノートを見返して笑いながら、ちょっとおどけてこんなことを言った。
「でも、到底覚えられる気がしないわ。……特に、この前半の複雑な魔力量の計算。テスト本番で再現できる気がしないわ。」
するとベルミーはそんな彼女を見て、おどおどしながらもこんなアドバイスを付け足した。
「──あっ!じゃ、じゃあ……
その前半のややこしい部分、実は『2属性複合魔法の基本法則により、発動にかかる総魔力量は単属性と同値である』って書くだけで、全部吹っ飛ばせちゃうんです。それであとこの後半の3つの要素を挙げて計算するだけでこの問題は解けちゃいます。
もし万が一解法を忘れてしまったら、ちょっとズルになっちゃうんですけど……テスト本番ではそう書けばいいと思います。」
「そうなんですか!?」
「えっと……はい。その『2属性複合魔法の基本法則』も2学年の後半で習うと思うんですけど、それ使っちゃえばこの問題は本当に簡単になるんです。
……ただ、まだ習ってない範囲なので、先生にツッコまれる可能性も無きにしも非ずですけど。でも完答扱いにならなかったとしても部分点はもらえるんじゃないかな、とは思います。
前半で躓いて0点になっちゃうくらいなら、そうやって前半を誤魔化して簡単な後半だけでも書いた方が、いい点取れると思います。」
完全に範囲外の、テストで点を取るためだけの追加知識。
それを聞いた彼女は「そんな裏技があったなんて!絶対に覚えておかなきゃ!ベルミーさん、もう一回その一文をお願いします!」とメモの構えを取った。
そして、そんな一連の様子を見ていた他の女子達も、ベルミーの圧倒的な知識量と賢さ、教え方の上手さに気が付いたようだった。
私にばかり質問しにきていた彼女達は、それからベルミーの方にもどんどん話しかけるようになっていった。
◇◇◇◇◇◇
結局その日はいつもよりも長い2時間ほど、倶楽部活動が行われた。
彼女達は「本当に良かったです!」「ありがとうございました!」「こんなに捗ったのは初めてです!」と大満足をして帰って行ったけど──……
……その日、ベルミーはほとんど自分の勉強ができなかったようだった。
机の上に出された自分の復習用の1学年の教科書と発展学習用の「魔導学概論」は、どちらも閉じられたまま。
ベルミーは彼女達に合わせて、2学年の内容ばかりをやって、今日の倶楽部は終わってしまった。
…………ベルミー、ごめん。
私には入学初日からあんな調子で懐いてきてたから、私てっきり「ベルミーは社交的な子なんだ」と思ってた。
……そうじゃなかったんだ。
君って、案外人見知りなところもあるんだね。
…………今日は本当に、気を遣わせて疲れさせちゃったね。
ごめん。ありがとう、ベルミー。
ようやく普段の笑顔に戻って「先輩、今日もありがとうございました!ここボクが片付けておきますね!」と言いながら机と椅子を持ち上げる健気なベルミーを見て、私はそっと反省をした。
もし彼女達に次の機会をせがまれたら、倶楽部じゃなくって、私が個人的に教室で彼女達の勉強に付き合うようにしよう。
……ベルミーがこの魔法倶楽部を楽しめなくなっちゃったら、本末転倒だから。
私は心の中でそう決めながら、ベルミーに「ごめん。そこまでやらせちゃって。私も一緒に運ぶよ。」と言って、追加で持ってきていた机と椅子を再び部室から運び出した。




