賢くない賢者と勇気のない勇者⑩
「いらっしゃいませ」
すぐに横の花田さんが続けて挨拶をしてくれた。
この援助は本当に助かる。
ギルワで隣から回復魔法を掛けて援助してくれるパートナーのようだ。
おかげで俺は冷静さを取り戻して仕事を先に進めることができた。
おばさんの持ってきた物はおにぎりが2個とサンドイッチが1個とペットボトルのお茶が一つ、割と少ないので助かる。
ひとつずつ焦らずにバーコードを機械で読み取っていく。全部読みとり終えると機械の画面に合計金額が739円と表示された。
「合計で739円になります」
教えられた通りに合計金額を伝えて精算に入る。
おばさんは財布を取り出して1000円を俺に手渡した。
すぐさま1000円と打ち込んで精算を行う。
261円のお釣りと表示され、レシートが同時にでてくる。
俺はその二つをおばさんに手渡して、良かったちゃんと出来たと胸をなでおろした。
しかし、そこで気づいてしまった。
商品を袋に入れていない事に。
じわっと焦りが背中を走る。
急いでいれなきゃ、と思えば思う程、袋はどのサイズを使えばいいかだとか、どうやって入れたら良いのだとか頭の中がごちゃごちゃして混乱してしまう。
おばさんの方を見ると、
「何してんの、早くして」
といった不審な表情でこちらを眺めている。『もう駄目だ』そう思った時に隣から
「お待たせいたしました」
という声が聞こえてきた。
見ると花田さんがしっかりと袋詰めされた商品をおばさんに手渡している。




