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賢くない賢者と勇気のない勇者⑥
ウィーン
自動ドアが開いた。
「いらっしゃいませ」
ドアが開くとほぼ同時に明るい元気の良い挨拶が俺に向けられた。
昨日もいた女性店員だ。
改めてみれば俺よりも若くて、まだ高校生か大学生くらいに見えるが、俺よりよっぽど凛々しくも見えた。
俺もあんな風に出来るようになるんだろうか、そんな不安が頭をよぎったが、すぐに振り払って次の行動に移す。
「あの、すみません。店長さんは? 柳店長さんはいらっしゃいますか?」
今日はちゃんとレジに向かって行き、出来るだけ丁寧な言葉を選んで店長を呼んでもらった。
女性店員は
「ああ……」
と訳を知っているような、少し含みのある様子で店長を呼びに事務所の方に入っていった。
昨日の今日で恥ずかしいな。
待っている間にそんなことを考えていると、すぐに柳店長が姿を現した。
「すみません。今日からお世話になります。」
すぐに昨日ネットで調べた最初の挨拶を口にする。
店長はあまり挨拶など気にしていない様子で、そんなことよりこっちにおいで、といった感じで手招きをして、俺を事務所の方に招きいれた。




