賢くない賢者と勇気のない勇者②
もちろん変わらないこともある。
バイトに来てくれと言われた時間が11時で、目を覚ましてまだまだ時間があるので一番に始めたのがギルティワールドのイベントチェックとルーチンの浄化作業だった。
ギルティワールドではギルティポイントが溜まりすぎるとゲームオーバーになるため、浄化という作業が存在する。
1日に出来る回数に制限があるため、ヘビーユーザーはみんな必ずルーチンワークとして行っている作業だ。
朝起きて歯を磨くのと同じくらい習慣となっているので、今日もそれは変わらず、無意識にやってしまっていた。
単純なマウス操作だけで行えるため、それほど面倒ではないのも人気の秘密だろう。
世間で言う来店ポイントを溜めるっていうのに感覚が似ていると、パーティを組んだ者からチャットで聞いたことがある。
俺は来店ポイントなんて知らないけど、そんなもんなんだろう。
浄化を行っていると、ふいに新しいウインドウがポップアップしてきた。
新着メッセージの到着、つまりギルワ内でのメールが来たことを知らせるものだった。
浄化の作業を一時中断してメッセージを開ける。
「Dear Kajuma@17(一真君)
こんな感じでいいのかな?
昨日やり方を聞いて早速キャラクターを作って、ギルティワールド始めてみました。
アバターっていうのかな? 私のキャラクターも作ってみたけど、周りに居る人達と比べるとさっぱりしていて味気ないね。
どうやったらもう少し可愛くコスチュームできるかとか、イベントとか分からない事だらけだから、色々とやり方教えてね。
今出社する前にメールしてるので、あんまり時間ないけど、斎藤課長にもしも会うことがあったらよろしく言っといてね。
Fromしょーこ(朝霧祥子)」
朝霧さんからメールだ。
昨日別れ際にギルワのやり方と、俺のアカウントへの連絡方法を教えておいたから、すぐに連絡をしてくれたようだ。
そもそも俺が携帯なんてものを持っていないから、家の電話に電話してこられると、知らない人からだと緊張するし何かと不便であることから、連絡を取りやすくするために考案した方法だった。




