賢くない賢者と勇気のない勇者①
窓から差し込む朝日の明るさで目を覚ました。
いつもは昼夜逆転の生活のため、窓には遮光カーテンを引きっぱなしにしているのだが、今日からバイトということもあり新生活を迎えるに当たって、思い切ってカーテンを開けるようにした。
こうやって少しずつでも変えていかなければいけない。
変わっていかなければいけない。
そう自分に言い聞かす。
昨日のコンビニへのおつかいは色々なことがあって大変だったが、色々と自分に取って良いきっかけをつかめたように思う。
買い物に出てから帰宅するまですごく時間がかかった。(4時間近くだ)
けれども、帰ってきて父さんの部屋の前で声を掛けても
「ドアのノブの所に掛けて置いてくれ」
と一言返事があっただけで、特に時間がかかったことに対して、何かを聞かれることは無かった。
父さんは俺のことを自立させるために本気で突き放しているみたいだ。
別に俺がどんな苦労をして、何を食べようとどうでもいいのだろう。
だから俺も今日からコンビニでバイトをすることになったということは別に言わなかったし、朝霧さんと話込んで帰宅が遅くなったことも言わなかった。
せっかくファミリーマートの柳店長が気を回して働かせてくれることになったんだから、精いっぱいその期待に応えたい、と思うようになっていた。
それは昨日朝霧さんと話したことによる前向きな変化だろうと思う。




