華族会議㉔
「大事なこと、一真に伝えたかったことを言えたから父さんは満足だ。
みんな追放を俺に投票して『華族会議』をクリアしよう」
さあ終わりにしよう、と投げかけた父さんのメッセージはゆっくりで、そこにはゲームの終焉を拒む意思のようなものを感じられたような気がした。
「ちょっと待ってよ」
俺は考えるより先に手でタイピングをしていた。
「父さん。自分だけ言いたいこと言って、自分が追放されて終わりにするって、そんなこと許されると思ってるの。
これは『華族会議』っていう会議なんだよ。
だったらちゃんと他の人の話を聞かなくっちゃ。そんなんだから子供の気持ちを分かって無いって思われるんだよ」
俺は普段言えなかった言葉をメッセージとしてタイピングしていく。
言葉では言えなくてもテキストで伝えるメッセージなら言えてしまう。不思議だけどこれもゲームのいいところなんだろうな。
「父さんの言いたいこと、なんとなくだけど分かったよ。
俺もこの1ヶ月間リアルの世界を一生懸命生きてきて、色んな人に出会って支えになってもらって、リアルで生きることの大変さが嫌っていうくらい分かったよ。
だからもう逃げない。
父さんが俺と向き合うためにギルティワールドを真剣にプレイしたように、俺も父さんと、家族と向き合っていくためにリアルを真剣に生きるよ。
……ひきこもりは辞める」
俺は前々から気付いていた、でも気付かないフリをしていたことを言葉に出して伝えていた。
自分で言って改めて自分で納得する。俺はこれからそうして行くべきなんだと。




