華族会議㉓
ここまで話を聞いて父さんだと確信する。
確かにアムジャックは夜間しかプレイしないスタイルだったから辻褄は合っている。
何だよそれ。
そんなに前からギルワと関わっていてどうして今までコンタクトしてこなかったんだよ。
どうして俺は今まで気付けなかったんだよ。
色々な種類の後悔が押し寄せてくる。
思考がまとまらず、現実感が薄れて行くように感じる。
そんな俺にアムジャックの姿をした父さんは構わず話を続けて行く。
「やっとここまで来れた。
この時をずっと待ち続けていたんだ一真。
父さんはやっとお前と対等な立場で話ができるんだ。
アムジャックとしての父さんの言葉なら、きっと一真に届くだろう」
そう言って父さんは一度言葉を切った。
なかなかメッセージウインドウは更新されない。息をのむ状況が続く。
「聞いてくれ一真。父さんがここに来るまでに感じたこと
『ギルティワールドは、ゲームは楽しいよ』
それだけは間違いなく感じたことで、しっかりとお前に伝えておく。
だけど、それでもやっぱり父さんはギルティワールドだけに全てを預けたままにはできない。
父さんたちの生きている世界はやっぱりリアルで、リアルの世界で生きることを放棄してはいけないって感じた。
ギルティワールドに徹したこの1ヶ月間、父さんは楽しいと感じながらもやっぱり仕事のこととか、これからのこととか、リアルのことを完全に忘れることが出来なかった。
父さんがギルティワールドの世界に徹したこの1ヶ月間、入れ替わりに一真にはリアルの世界に集中するようにしたつもりだが、一真はどう感じた?
リアルの大切さを感じなかったか?
ゲームだけじゃない大切なものを見つけられなかったか?」
俺は反応することが出来なくて画面を見つめ続ける。
「どっちにしろ、今回で父さんのギルティワールドの旅はお終いにするつもりだ。
最初からキャラデリートの選択段階になったら父さんを指定してもらうことで終わりにするつもりだったんだ。
一真に大事なことを分かってもらっても、そうじゃなくても。
父さんは誇り高き戦士になったと、そう信じているからな。
『誇り高き戦士』何だか子供の頃を思い出すいい響きだな」
そう言った父さんのアバターは、そんなはずないんだけど、何だか笑っているように見えた。




