今井麻衣 side
――20XX/7/17/12:42
私の名前は今井麻衣。
雨の日に出没する、気持ち悪い幽霊。
50年もこうして幽霊の姿で生きている。
さっき、私の初恋の相手、高橋良一くんに似ている人が来た。
その人は黒い本を落として消えた。
あれもまた幽霊なのだろうか。
私は、雨に濡れた黒い本を拾った。
そういえば、この本は喋っていたような気がする。
私もおかしくなったのかな……?
「よーお前。神楽をどこにやった?」
本が喋った。聞き間違いじゃなかったようだ。
「……面白い本だね」
「おい。神楽はどうした?」
「さっきの人? あれは私と同じ幽霊で消えたんじゃ?」
「なにとぼけてんだ」
「とぼけてません」
この本、高圧的で怖い……。
――私は一生懸命、誤解を解いた。
すごく大変だった。もーやだ。
「なるほどなー。ほんとに関係ないなんて。ないわけじゃないと思うが……」
「すみません……」
「お前、なんか……後悔とかあるんだろ?」
「後悔ですか、ありますね」
「それを教えてくれ。お前を成仏できるかもしれない」
私は話した。
成人式に行きたかった事。
高橋良一くんに想いを伝えたかった事。
それだけが後悔。
「なるほど。話してくれてありがとうな」
「いえいえ……」
「ん? どうかしたか?」
「……もう一つあったかもしれない。私が死ぬ直前に書いた数字、それがダイイングメッセージだと勘違いされてた……」
「数字って?」
「えっと、数字の「4」なんだけどね。私の大好きな数字なんだ――」
本さんにすべて話した。
私の誕生日4月4日は死を連想させて縁起が悪そうじゃん?
高橋良一くんは、4と4で幸せ(4合わせ)じゃんって言ってくれて……。
そんなダジャレに、なんか心打たれてさ。バカみたいじゃん。
そしてもう一つ、最強に嬉しかったことがある……。
このメッセージは、良一くんにしかわからないんだよ。
だって――。




