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71話

 ギヤマンが選んだ、お好み焼きとタコ焼きの出店でみせ

 今後も色々と買い食いする予定なので、五人で少しずつ食べてみることにした。

 荷物持ちを仰せつかった満景は、この場では、お好み焼きのパックとタコ焼きの船を保持する役目を担うことになった。


「あら、美味しい。限られた食材と調味料で美味しくなるよう、他にはない工夫してあるようです」

「芍香ちゃん、お嬢様だけど、意外とこういう系を食べなれてる感じあったり?」

「旧家の娘であっても、友人と共に神社の祭りに出向くことはあるものです」

「どうよ、オレの目利きは。上等だろ」

「わたしが買ってあったものと食べ比べると、たしかに流山くんが選んだ方が美味しいね」


 四人が食べて感想を言い合う姿を、満景はパックと船で両手が塞がっているので見ていることしかできない。

 そんな満景が不憫に見えたのか、小里が爪楊枝でタコ焼きを、手水舎が箸で焼きそばを口に運んできてくれた。

 満景は、四人がタコ焼きを食べた際に熱そうにしていたので、先に焼きそばを食べることにした。


「んっ、美味しい。祭りの屋台の料理にしては、ちゃんと具も入っているね」


 焼きそばをのみ込んでから、次はタコ焼きを口に入れる。

 事前に分かっていたけれど、熱々だ。

 それでも出汁と揚げ玉の味わいで、旨味が強く感じられるタコ焼きだった。

 満景が食事を堪能していると、小里が揶揄うような口調を放ってきた。


「んふふ~。どうよ、美少女二人の間接キスの味は~」


 言われた内容が脳に浸透するのが遅れたが、理解した途端に満景は大いに慌てた。


「えっ、なっ!?」


 その慌てっぷりに、小里はケラケラと笑い声をあげる。

 一方で手水舎は冷静な目を向けていた。


「落ち着きなさいな。小里に揶揄われただけです。ほら、わたくしが使っていた箸はこちらに。先ほど貴方に差し出したのは、新品の箸です」

「あーもう、バラすの早いってー。ちなみに私も、新品の楊枝を使ったよーん」

「そういう心臓に悪い揶揄い方は止めて」


 満景が安堵しながら言うが、小里の揶揄いの表情は続いていた。


「そう邪険にしなくたっていいじゃんよー。けどもしかして、間接キスじゃなかったのが残念だったりするー?」

「……何と言っても角が立ちそうだから、ノーコメントで」


 そんな一幕の後も、目につく屋台料理を買い食いしつつ、祭りの散策を楽しんでいく。

 その中で、意外な特技が判明したが、二人。

 一人目は、ギヤマン。

 祭りを楽しむ上級者っぽく、あれやこれやと出店での楽しみ方を口にする。


「料理系は裏にある物資の量と機械を見りゃ、良し悪しがわかる。物資が多くて機械もいれている店は、それだけコストをかけても回収できる腕と過去の実績があるって判断してっからな。遊戯ものは、仕組みを理解して結果に一喜一憂して楽しむもんだ。大当たりを狙って散財するなんてバカのやるこったな」


 ギヤマンは腹ごなしにと射的をやり、お菓子を幾つか落とす。その光景を見ていた客が、あの射的屋は貰えると判断して、金を払って遊びだす。

 満景が見る限り、ギヤマンの射的はミスショットがゼロでいてお菓子の角だけを狙っていて、その腕前はかなりのもの。

 ギヤマンがお菓子を何個と落としたからといって、普通の客が簡単に品物を落とせるわけではなさそうだ。

 そしてギヤマンは射的で得たお菓子を、自然な流れで若槻へ。

 意外な特技が判明した二人目が、その若槻だ。

 若槻は、ギヤマンからお菓子を受け取ると、流れるように口に含む。そしてお菓子を食べながら、近くの出店でベビーカステラを一袋購入する。

 そう、若槻の意外な特技とは、大食いだった。


「けっこう食べているけど、腹大丈夫そ?」


 小里が心配する声をかけるが、若槻はきょとんとしてから笑い顔になる。


「大丈夫だよ。わたしが食べているのは、守護神へのお供えだから」

「? どいう意味?」

「えーっとね。神様が食べたいと告げたものを、わたしが物を食べるでしょ。すると、わたしが感じた味覚や満腹感が、神様に吸い取られちゃうの。だから神様の告げた物を食べている限り、わたしは食べ続けることができるんだよね」


 若槻が食べて得た栄養を、守護神が吸い取っている形に近いんだろうと思われる。

 その説明に、小里は納得したようだ。


「生気を食べる系の憑きものはいるよねー。うちの管狐も、改良前はそういった栄養摂取をする怪異だったらしーし」

「そうですね――」


 若槻が笑顔で同意すると同時に、ピシッと何かが弾かれる音がして、若槻の頭が少しだけ傾いた。


「――っと、神と怪異と一緒にするなと怒られちゃいました」

「ちょっとー、ももかちゃんの神さま。女の子の頭殴っちゃダメだかんね」

 

 小里の小言に、若槻の守護神は反応を返さない。

 これは無視されているなと満景が思ったところで、その鼻に異臭を感じた。

 霊的現象を感じた際に起こる感覚だが、この臭いは若槻の守護神からのものではなかった。

 満景が臭いの発生源を探ると、近くの遊戯系の出店で遊んでいる客の一人に行きあたった。


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― 新着の感想 ―
ギヤマンはちゃんと付き合ってみると良い友人に成れそうですね。 若槻ちゃんの大食いにそんなカラクリが。自分が食べたいものが食べられる訳では無いけど、ある意味羨ましい。
ギヤマンの特技良いなあ そういうのの目利き出来たらより楽しめそうよねー
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