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45話

 大量の悪霊が神社に向って迫ってきている。

 その光景が見えたであろう、A組の生徒たちが慌て始める。


「な、なんだよ。あんなに大量だなんて思ってなかった」

「あんな数と戦うの……」


 余りの物量に、怖気づく生徒たち。

 鬼瓦先生が舌打ちし、何かを言おうと口を開く。

 しかしそれより先に、生徒の一人が大声を放った。

 貴金属と宝石で作られたアミュレットを身体の各所に配置した、生地と仕立ての良い服を着た、偉そうな態度の黒髪を結い上げた少女。入学式の際に小里が満景に教えた生徒の一人で名家のご令嬢――手水舎芍香だ。


「何を恐れる必要があるのです! 悪霊の群れとはいえ、所詮は烏合の衆ではありませんか! 取るに足りない相手であることを証明して差し上げます!」


 手水舎が手振りすると、その脇に控えていた女子生徒が歩み出て、スリングショットで何かを悪霊の群れへと投射した。

 その何かは、悪霊の群れの中に飛び込むと、あっという間に直前上にいた十数体の悪霊を消し飛ばした。

 どんな超兵器を使ったのか。

 そう疑う生徒の目に答えるように、手水舎は控え目な胸を大きく張る。


「いま投げつけたのは、わたくしたちが授業で作った浄化の水晶ですわ。あれ一つで、十体以上の悪霊を即座に祓えてしまえるのです。貴方がたが持つ、対悪霊用の除霊術ならば、いったいどれほどの効果があるのか。わたくしが語らずとも、ご自身でお分かりになるはずですね」


 手水舎が示してくれた手本を受けて、生徒たちの目にやる気が戻った。


「数の多さにビビったけど、大した相手じゃないのなら」

「よく考えれば、あんな木っ端悪霊なんて敵じゃなかったわね」


 それぞれの得物を構えて、生徒たちが悪霊たちの迎撃の体勢をとる。

 その様子を見て、鬼瓦先生は立ち位置を神社の端へと移動する。まるで生徒の自主性に任せると示すようにだ。

 やる気溢れる生徒たちを他所に、満景と小里はマイペースだった。


「あの群れが来る正面に立つのは拙そうだから、立ち位置変えようか」

「そ、そうだよね。正面から戦わなくたっていいよね。うん」


 いそいそと場所を移動し、斜めから遠距離攻撃できる場所へと移動する。

 そうした戦いの準備が整ったところで、悪霊たちの先頭が神社の鳥居を潜ろうとする。

 すると、不思議な光景が現れた。

 悪霊の先頭が、まるで見えない壁があるかのように、空間が開いているはずの鳥居を潜ろうとして押し留められたのだ。

 その先頭は、後続の悪霊たちに押され、しかし前へは進めない。

 やがて押される圧力によって、先頭の悪霊数体が圧し潰されて消えた。


「神社にも独自の結界が敷いてあって、おいそれと入っては来れないんだろうね」


 満景が呟いた予想が聞こえたわけではないだろうが、手水舎が生徒たちに向かって号令を発する。


「敵は鳥居によって足止めされています。遠距離攻撃可能な方は攻撃をなさい」


 手水舎に命令されて、生徒たちが動き出す。


「錬気をもって水気を成し、水気を拳に纏い虎を生む。いざ、水虎真拳!」

「行って! 式神たち!」


 手から放たれた水の虎――というより、大きさからすると水の猫が、悪霊たちに飛び込んで牙と爪で数を減らしていく。木簡状の板が鳥居に向って飛んだと思えば、その板が変状して武者の形になり、刀でバッサバッサと悪霊たちを斬り捨てていく。

 その他にも、空の弓の弦を引いたかと思えば、呪力によって形作られた矢が現れる。その矢が放たれると、その軌道上にいた悪霊がまとめて消し飛ぶ。聖水が入ったボトルの口を開いて呪文を唱えれば、聖水が蛇のようにボトルから立ち上がり、その水蛇が悪霊たちに襲い掛かって聖水を直接浴びせて浄化する。

 そんな様々な方法による生徒たちの攻撃によって、悪霊たちは続々と数を減らしていく。

 満景も、電動自動銃があるので、攻撃に参加する。

 特殊BB弾は、悪霊に当たれば、それだけで一体を成仏させる効果があるようだ。

 そうやって数を減らしていくものの、悪霊たちは後から後から湧いて出ているかのように、後続に切れ目が見えない。

 そしてとうとう、神社の結界が押し留めきれなくなったようで、圧力によって押し込まれるような形で、悪霊が数体神社の中にはいってきた。



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― 新着の感想 ―
数だけの低級な悪霊なら無双ゲーの雑魚くらいの勢いで祓えるんですねえ
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