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100話

 呪いについて授業で触れてから、呪いについての実習が一週間続いた。

 そうして生徒たちに呪いについての知識が身に付いた頃、A組の生徒全員で同じ場所への校外実習に向かうことになった。それも、朝一番から午後にかけて、丸一日を実習に使う予定で。

 学校が用意した大型バスに乗り、移動が始まる。

 そのバスの車内で、小里が隣に座る満景へ喋りかけてきた。


「ねえ。これって、けっこう危ない場所に行こうとしてるんじゃない?」

「鬼瓦先生は行き先は教えてくれなかったけど、どうしてそう思った?」

「いやだってさ。ここ最近の授業で、呪いについてアレコレと教えてくれたのって、この校外実習のためだと考えたら、筋が通るじゃん?」


 満景は話を聞きながら、バスの車内を見回す。

 多くの生徒が小里と同じ意見を持っているようで、車内に流れている雑談の内容は、行き先に待ち受ける呪いは何なのかというものだった。

 満景は小里に顔を向けなおす。


「十中八九、呪いに関係する場所だろうってことは、僕も同意するよ。更に予想を付け加えると、クラス全員で向かうからには、それなりに危険な呪いなんじゃないかなって思う」

「危険って、どうして?」

「以前にクラス全員で移動したのは、あの悪霊大侵攻のときだけだからだよ」


 だから今回の校外実習も、あのときと同じ規模の危険な実習ではないか。

 そう満景が口外に匂わせると、小里は鼻の頭に皺を寄せて嫌そうな顔になった。


「危険な場所にいくのなら、もっと少人数ごとにして、順繰りに向かうのでもいいのにさー」

「それはどうして?」

「そりゃ、先に行った人達から、どんな場所だったか聞けば、対策の取りようがあるじゃんか」

「なるほどね。でも、そう上手くいくかな?」

「上手くいかないって予想すんの?」

「だってさ。鬼瓦先生が最初に連れていく班は何処かって考えたら、僕らの班が最有力じゃない?」

「……いやいや。他の班だってあり得るっしょ」

「そうかな。僕が考えるに、僕らの班が一番、危険な場所に送るのに適していると思うけど」

「それまたどうして?」


 満景は、まず自分自身を指した。


「僕は、狗神使いの家に生まれて呪いについて詳しいし、多数の師匠から色々な教えを受けて悪魔――呪いのスペシャリストを召喚できることを鬼瓦先生は知っている。呪いのある場所に向かわせるには、かなり適している人物だといえるでしょ」


 次に、少し離れた席に座っている若槻に指を向ける。


「若槻さんには、あの守護神がある。生半可な呪いは効かないし、強力な呪いなら守護神が若槻さんを近づけないよう実力行使をする。呪いの脅威度を測るには、とても良い人材だ」


 そして、力雄とその隣に座るギヤマンに指を向けた。


「力雄は神社の息子で祭神からの庇護を受けていて、呪いを跳ね返す素養を持つ。ギヤマンは、あの特殊警棒で呪いを打ち払うことが可能だと思う。小里さんと手水舎さんに呪いに対抗する手段がないと考えても、他の面々の力を合わせれば大丈夫そうに思えない?」


 満景の解説を受けて、小里は渋々といった感じで頷いた。


「言われてみると、そっかもね。そう考えると、こうして大人数で向かう方が良いってわけね」


 納得は出来ないが理解はできたという態度で、小里はバスの窓の外に目を向ける。


「ちなみに、どこにいくか分かりそ?」


 そう問われて、満景も窓の外を見て、どこを走っているかを確認した。


「うーん。東京都内にある呪いのメッカと言えば、将門塚だ。東京競馬場の大ケヤキもある種有名。でも、神奈川方面に走っているから、大田区に矢田神社っていう呪いの禁足地や、羽田空港建設時に呪いを振りまいたっていう大鳥居があるよ。もう少し先、神奈川県に入ったところにも、有名な禁足地を持つ神社がある」


 その予想を聞いて、小里は自身のスマホを操作する。そして、動画投稿サイトにアップロードされている、とある投稿者の投稿映像のサムネ一覧を表示して満景に見せてきた。


「この中に、行きそうって言ったの、ある?」

「うーんと、両方ともあるね。さっき言った矢田神社がコレで、大鳥居がコレで、神奈川県のがコレだね――って、この投稿者の人、危ない事しているなぁ」


 小里が表示しているのは、どうやら心霊関係の投稿者のサムネだった。

 満景が、ざっと表題を読むだけで、呪われそうな場所を何十も訪れているようだ。それだけでなく、いわくつきの呪いの品を買い取る様子や、廃神社の境内の石を持ち帰るなど、その道の者が見たら眉を顰める行動をしているようだ。

 満景が信じられない人がいるという目になっている間に、小里はスマホを自分の方へと向けなおした。


「あんがと。じゃあちょっと、情報収集してみるから。そんで、満景はどっちの神社が有力候補だと思う?」

「神奈川県の方かな。新田神社に通じる道は細くて車が入れないし、付近にはバスを停める場所がないから」

「おっけー、神奈川の方を先に見ることにする」


 小里は、動画の音量を最低にすると、自動構成字幕付きで動画を視聴し始めた。

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― 新着の感想 ―
授業をふりかえると、態々呪いと縁のある品を集めているのか そりゃあ危ないわ
祝100話おめでとうございます! 有名な呪いの地でどんな事が待ち受けているのかドキドキです。
心霊関係の投稿かあ 動画サイトで無差別に呪いを撒き散らす動画とかそういうレベルのやべーのは流石に無いかな?
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