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異世界からの転生者魂

成功者の前で、『成功したのは「運」と「コネ」が有ったからだ』と平気で言う奴がいる。

俺がそんな奴に言いたいのは、『だったら何故お前には運やコネがなかったんだ?』と。

運もコネも皆努力して掴み取っているのだ。

失敗しても失敗しても何度でも立ち上がりチャレンジを繰り返せば、やがて幸運の女神は振り返ってくれる。

多くのコネクションを作る為に、どんな人であろうとも知り合えばマメに連絡を入れる。

そういう事をしない奴が何でも『運』と『コネ』で片付けるのを見ていると、正直関わりたくなくなるよね。

但し、人には得手不得手があり、そういった努力ができない者もいる訳で。

だから別にそういう人を否定はしない。

ただ言われたくはない。

だから関わりたくないだけで‥‥。


神になりかけていた柔術師範を捕らえた後、アーニャンは警察官たちに取り囲まれ称賛されていた。

自衛隊に対抗している訳ではないけれど、やはり国内の事で警察関係者が決め手を打ったのは、面子が守られたという事だろう。

最後は恵美に捕らえさせてしまったのも、逆に自衛隊の面子が守られて良かったか。

尤も今の日本では、表向きはそう大した問題にはなり得ないだろうけれどね。

それから色々と取り調べが行われ、情報のほとんどは俺の所まで伝えられた。

アーニャンは俺たちの事情を知っているし、気を使ってくれたのだろう。

俺たちとのコネクションの為でもあるかも知れないけれど、アーニャンからはそういう打算は伝わってこない。

自然と身についた仲間意識と言った所だろうか。

まあそれがあるから、警察組織の中で上手くやって行けているのだと感じられた。

ぶっちゃけ俺にはない能力だよな。

両津さんもそうだけれど、マメに人との繋がりを大切にする。

こういう人が運も味方に付け、成功するのだろう。

生前、多くを『運』と『コネ』で片付けていた俺は、なんとなく恥ずかしいわ。


さて神を名乗る男のテロに関して調べが一段落し、俺たちはアマゾンへと向かった。

デンジャー協会経由で許可を貰い、核の跡地に入る。

実際に見ると流石に酷い。

本当にここにジャングルがあったのかと疑いたくなる。

しかし今はただの荒野。

本当に人間は愚かだよ。

おそらくだけれど、悪い神が生まれるのも、推古のようなイレギューラーな災悪(さいあく)が現れるのも、全て人の行いからだ。

運なんかじゃない。

全ては人間の行いが招いているように思える景色を、俺たちは進んでいった。

しばらく進んだ先で、俺たちは問題の場所へと到着した。

「ここよぉ~。エネルギーが広がったのわぁ~」

「あの木が折れたのがきっかけなの‥‥」

「なるほどね」

木は根から一メートルほどの所で幹から折れていた。

実際に折れる所を見たのはゴルゴとキルリアだけのようだけれど、あの木が折れた事でエネルギーの拡散が始まったのか。

「折れた上部の木は何処にあるんだ?」

風で折れたと言うなら、折れた方の木もあるはずだ。

なのに目の前には、折れた箇所から下しか見つけられない。

「風で飛んでいったのかしらねぇ~」

「前に確認に来た時もなかったの‥‥」

まあ風で折れたらなら、飛ばされていても不思議ではないか。

俺はその木に触れてみた。

「おっ?これは‥‥」

なんというか、普通の木では感じられない何かが伝わってくる。

神の亡骸。

そんな風に感じた。

「この世界の神は、きっとこのアマゾンの大自然だったんだと思う。そして人間が神を殺した。おそらく日本に来ていたのは、人形として実体化したものだったんだろう。新たな神を見つける為に」

しかし討伐対象でなかった神が、あんな愚かな柔術家を次の神にしようと思うだろうか。

強い者を求めていたようには思う。

でもそれは、心も健全でなければならないという条件付きだ。

何故なら神は、新たな神候補を日本で見つけようとしたのだから。

武士道精神は世界でも有名だからね。

だけれど見抜けなかったのか。

或いは時間切れだったのかは分からないけれど、神は目的を達成できなかったんだ。

それであんな奴を次の神にするしか無かった。

それを阻んだのは俺たちか。

俺が何もしなくても、きっとアーニャンが倒していただろう。

ここに来ても何も分からない。

ただ全ては振り出しに戻っただけ。

いやそうではないか。

少なくとも今、神となっている者がいるとしたら、そいつが俺のターゲットとなるのだから。

今までが序章としたら、これからようやく本編が始まる。

但し序章がメインだった可能性もありそうだと、俺はなんとなく思った。

「それにしても、こんな木が風で折れるか?」

俺は疑問に思えた。

折れた箇所は確かに伐られたというよりは折られたと分かる。

しかしそこそこ木は太い。

風で折れたとするなら、相当強い風だと思われる。

俺は生前、台風で倒れた木を何度か見たことがあった。

概ねほとんどの木は、根から倒れていた。

折れた木も無かった訳ではないけれど、キノコや病気にやられ中が空洞になったりしていたものだ。

この木は核兵器にも耐えていたし、それによって脆くなっているようでもない。

残っている部分はまだまだしっかりしていた。

もしもこれが風で折れたとするなら、おそらくは風の魔法じゃないか?

台風くらいの風でこの折れ方は想像できない。

「言われてみればそうねぇ~」

「風で何かがぶつかったのかもしれないの‥‥」

それもあり得るな。

風を操れる魔法使いなら、何かをぶつけて倒す事も可能。

「いやしかし、ゴルゴたちは風で倒れたと言っていたんだよな?」

「そうだったの‥‥」

風で何かがぶつかったとしても、『風で倒れた』と言えなくはないか。

いやしかし不自然さは拭えない。

「そう言えばゴルゴたちが何かを隠しているようだったんだよな。もしかしたら何かがあったのかもしれないな」

「でもそれわぁ~、風で倒れたって言う前の話よぉ~。後になって、風で倒れているのを見たって薄情しちゃっているのよねぇ~」

ふむ。

でもそれだと隠す必要は感じられない。

おそらく他に何かを見たんだ。

風の魔法を使える奴が何かをするのを見たのかもしれない。

それで口止めされたとか。

今度会ったら聞いてみるか。

それよりも、風魔法が使えるデンジャーがそこにいなかったか聞いた方が早いかもな。

何しても、結局アマゾンを見て得られたのは、この大自然が神だったと確信できた事くらいだった。

それだけの為に世界の裏側までやってきた訳だけれど、それはそれで無駄ではなかったように思う。

今後も悪い神の討伐を続けていくなら、知っておいた方がいいよね。

そんな訳で俺たちは、その日の内に日本へと戻るのだった。


日本に着くと、直ぐにテヘペロ会長から電話連絡が入った。

キマイラBの女王を倒した事は伝えてあったけれど、その証拠が欲しいとの事だった。

「証拠か‥‥」

首チョンパした映像は記憶にあるけれど、アレをそのまま見せるのは避けたい。

推古がキマイラBの女王である事が分からなければ、最悪この世界に戻れる可能性もあるからなぁ。

バラしてしまえば、戻って来るのは難しいだろう。

尤も、リセットワールドでずっと暮らしてもらうつもりではあるのだけれどね。

ただ召喚して神を倒す手伝いもしてもらいたいと考えている。

おそらく倒すべき神にも、推古の攻撃は届くから。

倒す事はできないけれどね。

その時にキマイラBの女王をが戦っているとなると、何かしら色々と世間から言われそうだしなぁ。

倒して無かった嘘がバレる訳で。

『なんじゃ?証拠はあるんじゃろ?』

『あるにはある。だけどできれば見せたくないんだよね。会長なら言ってもいいか。実は倒しはしたけど殺してはいないんだ。俺の仲間に引き入れたというか』

『ふむ。そういう事じゃったか』

推古の姿をキマイラBの女王っぽく変化させて、もう一度死んでもらうという手もあるけれど、既に仲間となった彼女に死んでもらうとかあまりやりたくない。

妖凛に代わりをやってもらうか。

『どうしてもって言うなら、それっぽい映像を作れない事はないけどさ‥‥』

『それは駄目じゃな。分かる奴には分かるじゃろ』

この世界、本当に色々な能力を持っている奴がいる。

侮れないし嘘はバレると考えないと駄目だな。

ハチ公を闇に落としたのも、アレで死んでないと考える者も何人かはいそうだ。

『其奴を仲間にしたと言ったが、裏切ったり暴れたりはせんじゃろな?』

『その辺は問題ない。俺の眷属になる契約もしたし、下手な事をすればその時は間違いなく死ぬ事になっている』

そもそも俺の意思に反する事はできないんだけどね。

『お主が死んだらどうなる?』

『その時は女王も消えるよ』

リセットワールドから出られなくなるだけだけどさ。

少なくともこの世界から消える事に間違いはない。

『殺さなかった理由を聞いてもええかの?』

『そうだな。いくつか理由はあるよ。まず、キマイラBの女王は、既に人間と全く変わらない容姿になっていた』

『そうか。ハチ公ですら触覚と翅が無ければすぐには見分けられんくらいじゃったの』

『それと、かなり強いから俺の味方になるなら使えると思ったんだ』

この世界を救う為にね。

それ以外に、確実に勝てる保証もなかった。

今でこそ俺の能力を取り込むには時間がかかると分かっているけれど、直ぐに取り込まれる可能性は無視できなかったしね。

『ふむ。その女王の正体を見抜ける者はおると思うかの?』

『見た目や物理的な所で見抜くのは不可能だ。但し能力的にまだ完全に人間にはなっていない。数百年後には見抜ける者はいなくなるだろうけれど、今はまだ人間になる途中だと言っていた』

『見た目だけじゃなく、人間になるのじゃな?』

『ああ。いずれは人間そのものになって、人間となって暮らしていく事になる。数百年生きられたらの話だけどな』

普通はそんなに生きられる者はいないだろうけれど。

『デンジャーならそれくらい生きる者もおるじゃろ。なるほど全て本当の話のようじゃな。分かった。この件に関しては、燃やしてしまって証拠が残っていないとでも言っておくかの』

『よろしく頼む』

テヘペロ会長なら、きっとなんとでもできるだろ。

『そうそう。今回の電話はこの話がメインでは無かったのじゃ』

『えっ?そうなの?』

まだ何かあるのかよ。

アマゾンの力の事か何かか?

そちらの方は喋れないぞ。

『六月一日は何か予定はあるかの?』

『いや、しばらく特に予定はないけど』

しまった。

予定があると言っておくべきだったか?

嫌な予感しかしない。

『そうか。それは良かったのじゃ。その日プロデンジャーの大切な集まりがあっての。全てのデンジャーにそろそろ招待状が届くはずじゃ。必ずその集まりに参加してほしいのじゃ』

『わざわざそれを何故俺に?』

『くれば分かる。お主は絶対参加が必要じゃ』

絶対参加ねぇ。

確かあの漫画の原作だと、この後は新しいデンジャー協会の会長を決めるんだっけか。

しかしテヘペロ会長は死なずに生きている。

未来は何かしら変わるはずだよね。

俺を協会で働くデンジャーにでもしようというのか。

やだやだ。

絶対に断らないと面倒な事になるよ。

俺は一応神の仕事をする為にこの世界に来ている。

そしてこれからいよいよ神探しを始めるのだ。

忙しくなるんだよ。

とは言え集まりには行くしかないよな。

『分かった。行くのは行くよ』

何か仕事を押し付けられそうになっても、断る準備だけはしておかないとな。

『場所はアメリカのデンジャー協会本部じゃ』

おいおいそんな所だと、六月一日が空いていた所で行けない可能性があるじゃんよ。

時差を考えればほぼ次の日なんだしさ。

しばらく予定は無いって言っちゃってるんだけど。

もう断るつもりはないし、行くだけは行くよ。

おそらく狛里と天冉も招待されるんだよな。

アーニャンも、そして恵美もか。

恵美は正式なデンジャー証じゃないからどうかは知らんけど。

そんな訳で、俺は六月に入ったらアメリカに行く事が決まった。


さて六月一日までは暇になった訳だけれど、俺は少女隊から緊急の呼び出しテレパスを受けた。

世界が違っても、俺と少女隊は一心同体。

魔力さえ無駄に使えば通信できない訳ではない。

しかもリセットワールドからなら、一応今は同一世界の異世界という事で、闇の家やバグ世界からよりは通信しやすいようだ。

『はぁ‥‥、はぁ‥‥。無駄な話をしている場合じゃないのです』

『そうなのね。はぁ‥‥、はぁ‥‥。イスカンデル以外への通信は命を削るのね』

『大げさだなぁ。お前らなら大丈夫だ。今暇だし、バナナがおやつに入るかどうか、じっくり議論しようじゃないか。それとも、一番セミの鳴き声っぽい国名はどれか。話してみるか?俺は「バングラディッシュ」辺りがセミの鳴き声っぽいと思うぞ』

いやマジで暇なんだよ。

中途半端に半月だけ空いて、その間萬屋の仕事も入ってないからな。

『直ぐに‥‥、リセットワールドに‥‥、来てほしいのです』

『そうなのね。はぁ‥‥、はぁ‥‥。推古が大変な事になったのね』

推古が大変な事に?

流石にそれは放置しておけないな。

推古は本気になれば世界くらい簡単に滅ぼせるだけのポテンシャルを持っている。

でも少女隊の二人からはそこまでの切羽詰まった様子はない。

直ぐに伝えたい状況ではあるけれど、今すぐ何か危険な事が起こる訳ではなさそうだ。

『そうか。じゃあ昼飯をゆっくり食べてから伺うよ』

『よろしくなのです』

『死にそうなのね』

やはり異世界間テレパスは相当しんどいようだな。

少女隊が冗談にも真面目に答えるくらいだ。

仕方ない。

直ぐに行ってやるか。

「狛里、天冉。なんか推古が大変な事になってるらしいから、ちょっと行ってくるよ」

「だったら私もいくの‥‥。楽しい事が起こってる予感がするの‥‥」

「ここにいても暇だしねぇ~。楊ちん、留守番頼むわねぇ~」

おいおい、店に関係の無いアーニャンを置いて行くのかよ。

まあもうすっかりこの家を任されている訳だけどさ。

萬屋で暮らすようになれば、全ての雑用その他はやらされる事になる訳で。

可哀想に。

「分かったわ」

それでも嫌な顔一つせず引き受けてくれるなんて。

よくデキた子だよ。

都合が良いって意味でね。

「じゃあいくぞ!」

俺はそう言ってセーブポイントへととんだ。

直ぐにリセットワールドに着く。

特に家がぶっ壊れているとか、災害級の魔力を感じる訳ではない。

俺は辺りを窺い、少女隊と推古がリビングにいる事を確認してからそこへ移動した。

狛里と天冉も後からついてきた。

「特に何もなさそうに感じるけどぉ~?」

「すぐ何かが起こるような状態ではないよ。少女隊も冷静だったしな。ただ推古に何かが起こった。サナギにでもなったのかもね」

俺は冗談でそんな事を言いながらリビングへと移動した。

部屋に入ると、グッタリとソファーでだらしなくしている少女隊と、サナギにならずに普通に座っている推古と幼女隊がいた。

「おお策也ではないか。わしに会いに来てくれたのか?!」

「違うのです‥‥。菜乃が呼んだのです」

「そうなのね‥‥。推古が変な事言うから確認してもらうのね」

「変な事ではないぞ?本当の事じゃ」

どうやら推古に何かがあったようだけれど、少女隊はそれを信じてはいないようだな。

「女王様が嘘は言わないでちゅよ」

「そうでちゅわ。偉そうな事を言うなら、女王様にプロレスで勝ってからにしてほしいでちゅわ」

少女隊は推古ともプロレスをしているのか。

本当にスキンシップが好きな奴らだ。

でも流石に今日は疲れているようで襲いかかってはこれないみたいだな。

つかその姿は死体みたいだよ。

「負けてないのです‥‥」

「そうなのね。‥‥それは良いから、早く推古は話をするのね」

「この話を聞かせる為に策也を呼んだのじゃな。だったら話すが、だからと言って特に何もないぞ?」

「そうなのか。まあでも来たんだし、とりあえず話してみてくれ」

「分かったのじゃ」

俺たちは空いたソファーに座り、耳を傾けながら推古が喋り出すのを待った。

「簡単に言うとじゃな、先ほどからわしの中に、異世界から転生してきたという男の魂が住み着きおったのじゃ」

「‥‥」

えらく簡単に言ってくれるな。

でもそれ、かなり大事(おおごと)じゃね?

天冉が依代になったようなものなのか。

だとしたら異世界から転生してきた者が神となって憑依したとも考えられるんだけど。

「えっと‥‥。もう少し詳しく、分かる事を教えてくれ」

「そうじゃのう。先ほど昼飯を済ませた後、いきなり知らない記憶が流れこんできたのじゃ。それはエルドラールで暮らす誰かの記憶じゃの。同時に記憶を持っておった誰かの魂が、別人格としてわしの意思と並行してこの体の中におる感じになっておる」

自分の意思と並行して?

つまり同レベルって事か。

憑依だと一応神は遠慮するし、主体的には体を動かせない。

しかし推古の言い方だと、その男の魂に体も動かされるのだろうか。

「俺が直接話すよ。なんだかよくわかんねーんだけど、俺、食われて死んだら食った奴の体に魂が入り込めるみたいでよ。この、『推古』?が俺を食って二重人格みたいに二つの意思を持つようになったわけ」

「また男の喋りになったのです」

「怖いのね。何が起こっているのね」

いやそこまで恐れる事はないだろう。

俺の中には妖凛や冥凛がいる訳で、そういう事が起こっても不思議ではない。

「それでお前は、エルドラールからの転生者なのか?」

「ああ。信じらんねーかもしんねーけど」

つか此処もエルドラールの一部ではありそうなんだけれどね。

「名前は?転生前のな」

「俺?河合‥‥」

「河合?それは苗字だよな。名前は?」

「えっと‥‥。光宙(ぴかちゅう)‥‥」

はいはい。

エルドラールでもそんな名前あるんだな。

でもその名前、そんなに恥ずかしがる必要はないぞ。

地球ではキラキラネームと云われ賛否両論あったけれど、この零世界じゃ関係ない。

俺たちはエルドラール人じゃないし。

「光宙‥‥。なんだか響きが可愛いの‥‥」

「そうねぇ~。なんとなく小動物な感じがするわねぇ~」

えっ?そうなの?

キラキラネームは何処の世界でもキラキラしているのかもしれない。

「いい名前じゃないか。それでだいたい状況は掴めたよ。推古、或いは光宙は仲良くして一心同体で頑張ってくれ。ちなみに俺も中には二人別人が住んでるんだよ。いても問題はないから大丈夫だ」

いやむしろ便利過ぎてもう手放せないくらいだよ。

妖凛は賢いし、俺のストレージでもある。

冥凛は浄化の能力に必要だ。

いざって時は俺の体を勝手に動かしてピンチを救ってくれるし、もう二・三人いてもいいくらい。

「そうなのか。そう言えばあの時、確かに誰かと一緒になっておったの」

「推古との戦いの最中、別人格が俺を動かしている場面もあった。仲良くなってうまく折り合いをつければ、推古はきっと更に強くなるな」

実際ちょっとヤバい想像もできる。

転生者は新しい世界に固定観念を持たない所がある。

これをきっかけに俺の能力の取り込みが加速するかもしれない。

或いは独自に魔法をあみだす可能性もある。

眷属にしてはいるけれど、いつかそれが破られる危険も感じるなぁ。

でも転生者は日本人のようだし、人間的にはいい方向に変わるかもしれない。

まあ心配しても仕方がないし、とりあえずは光宙くんとも仲良くする事を考えよう。

それにしても、俺の周りには転生者が集まってくるのだろうか。

イスカンデルでは猫蓮。

ウインバリアではアーニャン。

そしてエルドラール、と言うかリセットワールドで光宙か。

類は友を呼ぶって言うけれど、本当にその通りだよ。

正直俺は光宙の魂が推古の中に生まれた事に喜んでいた。

何も知らない蜂よりも、ある程度俺に近い常識を持っていそうな奴の方が話が通じる。

教育もしやすいだろう。

そして何よりこの魂は男のようだ。

神を倒す時に役立つかもしれない。

体は推古のままで女だけれど、もしかしたら倒せる可能性もある。

推古が神を倒せるのなら、俺の仕事は楽なものになりそうだ。

こうして俺の仲間はまた一人増えた。

と言っても魂だけだけれど、期待は持てる。

魂を取り出す事ができるならば、蘇生すればどうなるのだろうね。

先が見えなかったエルドラールで、一気に物語が進んだようだった。

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