ep.22
あ、このジュース、リンゴジュースみたいな味がする、おいしい。この世界にもリンゴとかって存在するのかな。
そんなことを考えていたら、私のいる反対側に、綺麗なご令嬢が見えた。何あの子!ここから見てても、髪がツヤツヤなのもわかるし、ドレスも上品でかわいい。
よし!あの子に決めた!話しかけてみよう
そう決めて、その子に近づいた。けれども、あと数歩のところで、私はバランスを崩してしまった。今日は慣れないヒールを履いていたのだ。それでも、私はこの五年間、いつ何が起こるのかわからない状況だから、何があっても自分を守れるように運動だけはしてきたのだ。舐めてもらったら困る。
私は、どうにか足で踏ん張り、こけてしまう前に体勢を整えることができた。しかし、安心したのも束の間、流石に手に持っていたジュースが飛んでいくのを止めることはできなかった。あっと思ったときにはもう遅く、目の前の可愛いご令嬢にジュースをかけてしまった。
や、やらかしちゃった。どうしよう、とりあえず何か拭くものが必要だよね。そう思い、常備しているハンカチを取り出そうとしたが、ポケットにハンカチが引っかかってしまって、うまく取れない。早くしないと、ジュースのシミがドレスに広がっちゃう。どうしよう、どうしようと考えるほど、焦ってしまい、思わず
「じゃま」
と、ぼそっと言ってしまった。
すると、ジュースをかけてしまったご令嬢は顔を真っ赤にして、こちらを睨み、走り去っていった。
え、なんで逃げるの、私はただハンカチを取り出そうとしただけなのに
「待って!!」
そう叫んだが、彼女が止まってくれることはなかった。最後、私のこと睨んでたよね、あのドレス弁償になっちゃうのかな、いくらするんだろう。ギルにぃに怒られちゃうかな。そう、自己嫌悪していた。
すると、去っていったご令嬢がいたところに小さな女の子がいることに気付いた。その子の青色の目がじっと、こっちを見つめている。さっきのご令嬢もなかなかに綺麗だとは思ったが、この子はそれ以上に綺麗だった。すると、その子は小さい声で
「助けていただき、ありがとうございます」
と言った。




