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ep.16

「おじゃまちまーす」


「誰だ!?」


そう言いながら、ドアの方を見やると、そこにはアリシアが立っていた。ごめんなさいと謝っているのはなんとなくわかるが、滑舌が悪すぎて、全部は聞き取れなかった。なんで、彼女がこんなところにいるんだ?正直、この部屋の周りには人が近づきたくないと思うような覇気を出しているという自覚はある。この覇気の中で立ったままでいるのは、大人でさえ辛いと思うのに、なんでまだ幼女の彼女が普通にしていられるんだ?


「なんで、ここに来たんだ」


そう聞くと、また何かアリシアは答えてくれているのだろうが、やっぱり、うまく聞き取れない。

僕は次々と考えを巡らせたが、アリシアが来たという事実でよく頭が回らなく、僕は咄嗟に


「用がないなら、早く出て行け!」


と、叫んでしまった。そのときのアリシアの顔は絶望に染まっていて、ああ、取り返しのつかないことをしてしまったんだなと冷静になれたのはそれから数時間後のことだった。


それから、自分を落ち着かせるように一度寝た。そして、起きて勉強でもしようかなと考えたときだった。


「あっ」


そういえば、バラの手入れをしようと思っていたのだった。僕は一日のルーティンとして、午前中までにバラの手入れをすると決めているのに、もう二時だ。やらかした、と思って窓を開け、身を乗り出すと、部屋の扉が開き、アリシアが何か叫びながら飛び出してきた。僕はいきなりのことに驚いて声も出なかった。しかも、気配に敏感な僕が気づかなかった。なんで、そんなことあるのか、そう考えていると、アリシアが僕の腰にギュッと抱きついてきて言った。


「早まってはダメ!ギルちゃま!まだ、人生は長いはずです」


アリシアは続けて


「生きる理由が見つからないなら、わたちのために生きてよお、ギルちゃまあああ」


そう言いながら、より強い力で僕の腰を絞めた。さっきから、死ぬとかどうとか言ってるけど、なんの話?誰が死ぬって?まさか、僕がここから飛び降りて、死のうと思ってるってこと?その事実に気づき、僕は笑いを止めることができなかった。


ここ数年で一番笑ったと言えるだろう。だって、ここが一階なことを忘れるなんて、そんなこと本当にありえるんだ、、僕の妹はおっちょこちょいなのかもしれない。あれほど、両親から愛されて、天才だともてはやされる妹がこんなにポンコツだなんて知って、僕は笑いが止まらなくなった。


それと同時に、生きる理由が見つからないなら、私のために生きて。その彼女の言葉が僕を動かした。僕にもいたんだ、僕をちゃんと見てくれる人が。ああ、こんなにもうれしいんだ、誰かに必要とされるって。あの初めてアリシアに会って、アリシアを守りたいと思った日のように、僕は彼女の隣にいたい、そう強く思った。いや、あの日よりももっと彼女と一緒にいたいと思っただろう。

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