ep.15
裏庭に出ると、そこは、毎日のように手入れをしているであろう中庭とは違い、あまり手入れがされておらず、お世辞でも綺麗とは言えなかった。そんな中で一輪だけバラが綺麗に咲いていた。
「お前も、一人なのかい?」
そう、バラに尋ねてみたが、答えは返ってこない。当たり前だ。ただ、僕はこのバラに親近感を感じて、このバラをずっと眺めていた。
それからというもの、僕は毎日のように窓から抜け出してはバラの手入れをした。水やりだけでなく、周りの雑草を抜いてみたり、土を綺麗に整えてみたりもした。肥料なども欲しかったが、誰にも言わずに裏庭の手入れをしていたので、肥料なしで頑張った。その甲斐あってか、数カ月経った頃には、多くのバラが咲き誇っていた。
「綺麗だな」
誰もいない裏庭に僕の声だけが響いた。前と同じで、バラからも返事はない。しかし、あのときとは少し違う。バラはもう一輪じゃない。一緒に咲き誇っているバラを見ていると、なんだか虚しさを感じるようになった。
「僕にも、こんなふうに一緒にいてくれる人がいればなぁ」
そう願った声は誰にも届くことはなかった。
ある朝、僕は今日もバラの手入れをしようと思い、窓を開けようとした。バラを見るとなんだか虚しい気持ちになっていたが、それでも毎日汗水垂らして復活させた裏庭だ。なんとなく、放置する気にはなれなかったので、あれからも僕はバラの手入れをしていた。そろそろ、他の種類の花も欲しいな、そう考えていると、僕の部屋に誰かが近づいてくる気配がした。いつも僕の世話をしてくれているメイドやお父様とお母様とは違う人の気配。しかも、真っ直ぐ僕のもとに来るのではなく、周りを警戒しながら近づいてきているのがわかった。
(どうして、僕を探しているんだ?襲撃か?)
そう思い、いつ敵が入ってきても反撃できるように布団に身を隠しながら不意を打てるように布団の中にいつも常備している護身用の短剣を忍ばせた。正直、今の僕の体格と力じゃ大人に勝つことは到底無理だろう。それなら、不意を狙う以外に方法はない。
それから少しして、ギィっと部屋のドアが開いた。




