ep.14
新しいお母様とは、お父様が街にお忍びで出かけたときに出会ったそうで、お父様は運命だと感じてすぐにお母様に猛アプローチを始めたらしい。ここだけ聞くと、物語で見たような展開だなと思った。それから、身分差がどうとか、子持ちだとか、いろんな障壁を乗り越えてついに結婚にこじつけたのだとか。そんな、お母様はとても優しい人で、僕の話をよく聞いてくれる人だった。僕に歩み寄ろうとしてくれているのがわかる。でも、ふと、自分が産んだわけでもないのになぜ、そう思ってしまっていた。
それから数年後、妹が生まれた。
「ギルバート、一緒に君の妹に会いに行かないかい?」
「はい、お父様」
そう言って僕はお父様の後ろをついて行った。
「オリビア?ここにいるのかい?入るよ」
すると、部屋の中からお母様の声が返ってきた。
「あら、エドワード!ええ、いいわよ」
そして部屋に入ると、お母様とソフィアがおり、その隣には、小さいベビーベッドの上で寝転んでいる僕の妹がいた。すると、ベットの上の妹がこっちを向き、目が合うと、にこーっと笑った。僕はこの笑顔の虜になった。
(僕はこの先、この子を一生、どんな敵からも守り続ける)
そう、誓った。
「はじめまして、君の兄のギルバートです。これからよろしくね」
初めてアリシアに話しかけた。アリシアが怖がらないように、僕史上、一番優しい声で投げかけた。すると、アリシアはなぜか、キョトンとした顔で僕を見つめた。そんな、アリシアを見て愛おしさがより増したのは秘密だ。妹ができてうれしい、この子を守らなきゃそう思っていた。そんなはずだったのに。
「あの子は天才よ!まだ一歳なのに私たちと会話が通じているみたい!」
「この子は礼儀作法までしっかりしている、なにも教えなくていいほどだ」
「もう、文字が書けるの!?まだあなたは三歳なのよ!」
僕の妹は千年に一度の天才、そう呼ばれるほど賢かった。そんな妹に両親はつきっきり、僕は徐々に彼女と僕を比較するようになってしまった。そして、僕は、次第に両親から気にされなくなっていき、ついに、部屋から出ることは無くなった。
「また、褒めてもらえなくなっちゃったな」
そう、一人で呟いていると、ふと窓の外の裏庭に一輪だけ咲いているバラが目に止まった。もっと近くで見たい。そう思いながら僕は窓を開け、裸足で裏庭に出た。




