ep.13
【ギルバートside】
アリシアが生まれる七年前、僕はウルフ家の長男として、この家に生まれた。僕は次期ウルフ家を継ぐものとしていい成績を保つことが大事、そうお母様に言われて育った。
「お母様!この前勉学の先生に褒められました!」
「お母様!僕、先生に礼儀作法の学びが早いと言ってもらえたんです!今度、一緒にお茶会をしませんか!?」
「お母様!」
僕は大好きなお母様に褒められたい。そんな一心で努力を続けた。でも、お母様は僕のことを褒めることはなかった。
テストで満点をとってもダメ、なら、礼儀作法ならと思って、いっぱい練習してもダメ、あとは、魔法くらいしか残っていない。でも、この国では15歳からしか魔法は使えないから、ダメ。どれだけ僕が頑張っても、お母様に褒められることはなかった。
お母様は僕より、キラキラした宝石や、美しいドレスや化粧品にばかり興味があり、いつも輝いていた。でも、そればっかり気にして、僕のことは全く見てくれなかった。
「お前はまた、高級品ばかり買って」
「何がだめなのよ、そのくらい目をつぶりなさいよ」
「そんなことを言っているわけじゃないんだよ!」
夜になるとよくお父様とお母様の言い合いの声が大広間に響いていた。
(これは、別れるのも時間の問題かな)
そう子供ながらに思うくらいには、二人は仲は良くなかった。
僕が四歳のとき、僕の両親はついに別れることになった。当たり前のことだが、僕は家を継ぐために、お父様のもとに残ることになり、お母様はこの屋敷から出ていくことになった。何となくそうなるような気はしていたし、僕も正直お母様のことは好きではなかったので、別に悲しくはなかった。
それから、半年くらい経って、お父様から大広間に集まるように言われた。何かあったのかなと思い、行ってみるとそこには綺麗な女性が立っていた。
「ギルバート、私はこの方と結婚したいと考えているのだが、どうかな」
「こんにちは、ギル様、私はオリビアと申します。どうか、これからよろしくお願いします」
そう言ってオリビアさんは僕に頭を下げた。そして、オリビアさんに続いて、お父様も頭を下げた。断る理由は僕になかった。
「よろしくお願いします」
僕もそう言って、二人に頭を下げた。三人がお互いに頭を下げている光景なんて、周りの人から見ると、とても面白い光景であったであろう、そう思った。




