12.告白
「ちょっと殿下!!下ろしてください!!」
「嫌だ。」
「恥ずかしいです!それに逃げないので…っ!」
「ダメだよ。」
何回このやり取りを繰り返しただろう…。
今私は殿下にお姫様抱っこをされながら、アイリーン様のもとに向かっている。しかし、いくらなんでもお姫様抱っこは恥ずかしすぎる…。
王太子に何度言っても下ろしてくれず、そのままアイリーン様のいるガラス園にたどり着いてしまった。
「あら、思ってたより早かったわね。」
私達を見て何の気もなしにそう言い放った。
王太子はやっと私を下ろしてくれたので、すぐさま距離をとる。
アイリーン様は怒っていらっしゃるのかもしれないと不安に思っていると、
「アンネルがあまりにも可愛いから我慢できなかったんだ。」
「そう…。これでもう私は手伝わなくていいのね??」
「うん、ありがとう。」
「二度とごめんだわ。アンネル様、レオナルドの意地悪に加担してごめんなさいね。」
アイリーン様と王太子のやり取りは訳もわからず、呆然と聞いているしか無かったのにいきなりアイリーン様に謝られたため余計に混乱してしまった。
「え?あ、謝らないでください!」
慌てて答えると、アイリーン様はクスッと笑って
「アンネル様、だいぶ人間らしくなられたのね。生き生きしてて今の方が私は好きよ。また、落ち着いてお茶でも飲みましょう?」
と誘ってくれた。
「はい!ぜひお願いします。」
アイリーン様のような可愛らしいお方に誘っていただけるなんて気が引けるものの光栄だ。
アイリーン様と私のやり取りをつまらなそうに見ていた王太子が私の手を引いて
「じゃあ、失礼するね。」
とにっこり言い放ってその場を後にした。
その後、馬車に乗ってアンネルは自分の部屋に戻りベッドにダイブした。
今日はもう色々なことがありすぎてクタクタだったし、何よりも王太子を嫌いになるどころか好きという気持ちがよりいっそう増えたことに気付き、頭がパニックになっていた。
どうしよう…。これから先どうすれば…。
ぐるぐると考えていると、ふと窓の外をノックする音が聞こえた。
気のせいかと思い近寄ってみると、なんと王太子がにこにことバルコニーに立ってこちらに向かって
『開けて』
とジェスチャーしている。
驚きつつも、窓を開ける。
「突然驚かせてしまってすまないね。アンネルに大事なことを聞くのを忘れていたんだ。」
王太子が平然と話しているが、ここまでどうやって登ってきたんだろう?そういえば、前にも同じようなことがあったな。。
なんて考えていると、王太子がアンネルを壁際まで追い詰めていた。
「えっ…。いつの間に壁際に?!」
「アンネル、教えて。僕のこと好き?」
誰もが虜になってしまうような色気のある笑みで王太子は聞いてきた。
いや、頷きそうになってしまったじゃないか…!
「す、きじゃな」
「おっと、嘘ついちゃダメだよ?もし、ついたらもっと酷いことになるかもね?」
もはや脅迫…!
顔は真っ赤だし、泣きそうだし、どうすれば冷静になれるのか分からない…。
アンネルは観念して、泣きながら白状する。
「うっ…。ひっく…。殿下のことが、好き…っですよぉ…。でも、これから嫌いに…っなります…。」
泣いてしまうなんてなんて情けない。人に好きだと伝えるのも生まれて初めてのことだ。初めてのことだらけで上手くいかないなと思っていると、王太子がため息をついた。
何かダメだったのかな…。
おずおずと王太子の顔を見ると、堪えるような切ない表情をしていた。こんな王太子は見たことがない。
「アンネル、嫌いになんてならなくていいよ。僕を好きになってくれて嬉しい…。あぁ、結婚するまでは手を出さないと決めていたのに。キツいな…。」
そう言うと、アンネルに深い口付けをし強く抱きしめた。
アンネルは驚いたが、王太子が抱きしめてくれることに不思議とぽかぽかしたくすぐったいような感情を覚えた。
王太子は抱き合っていた身体をゆっくりと話すと、アンネルの顔を覗き込んだ。
「ところでアンネル。いつまでも殿下呼びはやだな。せっかく大好きなアンネルと想いが通じ合ったのだから、レオって呼んで?」
「え!?む、むりです…。」
「無理じゃないよ。はい、さんはい。」
「ひぇぇ…。レ、レオ様。」
「呼び捨てがいいんだけど、まぁ良しとしようか。」
アンネルは真っ赤になりながら顔を背ける。
そんなアンネルをクスクスと笑いながら王太子は頭を撫でた。




