王子様
「お前、クラスの奴らにニコニコして楽しいの?クソダサいんだけど」
龍斗が桜花の前で立ち止まった。
「あ、龍斗く〜んおはよう!」
その時、淡いピンク色に染めたツインテールの女子が龍斗に近づいた。
「おはよう、美玲ちゃん。今日も元気だね。龍斗ばっかりずるいなぁ」
桜花の王子様スマイルがまた炸裂した。
美玲、と呼ばれたピンクのツインテール女子は、桜花に微笑みかけられ一瞬「は……」と、か細い声を出しが、すぐにいつもの甘い声になった。
「お、桜花ちゃんもおはよう」
美玲が引きつった笑顔を作った。
そのやりとりを傍観していた龍斗は心の中で舌打ちをした。
「おい」
龍斗が眉間シワを寄せた。イケメンが台無しだ。
「オレのことは無視しておいて、なんでそいつばっかり構うんだよ」
龍斗が小さな子供のように言った。イケメンが台無しだ。
「もしかして嫉妬てるの?龍斗くん」
桜花がイタズラっぽく笑った。
「は……………し…嫉妬なんてしてねぇ!!ふざけんな!!」
怒りか、それとも桜花の顔面偏差値にやられたのか、首まで真っ赤になっていることに本人は気付いていないようだが、龍斗はバッと踵を返し、ドカッと自分の席に座った。
ここまできたらもうお分かりだろう。龍斗と桜花は幼馴染であり、龍斗は桜花に惚れているのだ。ちなみに桜花は龍斗に惚れてないし、逆に、からかうとちょっと面白い奴、と思っている。
「龍斗く〜ん待って〜」
美玲が龍斗を追って行った。
「あ、あの……黒谷さん…これ、受け取ってください!!」
クラスメイトのポニーテールの女子が一人、顔を染めて桜花にプレゼントを渡した。
クラスにいるほとんどがその様子をうかがっていた。もちろん龍斗も。
桜花は一瞬、目を丸くさせたが、すぐに
「ありがとう。綺麗にラッピングされているね。これ、自分でやったの?」
桜花は受け取ったプレゼントのリボンのところを指差した。
「は、はい!黒谷さんのために頑張ったんです!」
ポニーテール女子が張り切ってそう言った。
「そうなんだ、器用なんだね。ありがたく受け取るよ。よかったら、お昼ご飯一緒にどう?先約がいるなら、その子も誘って。どうかな?」
桜花が王子様らしく、ポニーテール女子の手を取ってウインクをした。
「は……はい………!」
クラス内から「羨まし〜」や「桜花様美しい……」などの声が相次いでいる。
龍斗はその一連の様子を見て、舌打ちを一つした。
「龍斗く〜ん。どうしたの〜?」
それを見かねた美玲が龍斗の顔を覗き込むようにして言った。
「なんでもねぇ」
龍斗がプイッと顔をそらした。
龍斗がんばれ!




