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10  "あの日" 前編

10話です。

あと2話で1章は完結する予定です。

次の話はこの話の序盤みたいなおふざけはなく、シリアス回になります。

次の更新は20時10分を予定しています。(投稿時間変えたのにすみません)


やあ!みんな!

俺は今トムに椅子に縛られているよ!

何でかって?

どうやらガランとかいう人が俺とラヴァンデさんのデートをみんなに広めたんだって。

それをトムが聞いてしまったらしい。


「最後に言い残すことはあるか?」


トムは剣を俺の首に押し付けている。

まじでやる気らしい。


「はぁ・・・。」


ブチィイ


俺は魔力を開放して縄を焼き切った。


「はぁああああああ!?お前、なんで・・・。」


「俺、魔力量だけはあるから。」


剣術科の生徒の魔力量の平均を100とした時、俺は500だからね。

ちなみに俺の目指している騎士の平均は300前後だ。


あ、騎士っていうのは各地の要所を守ったり治安を維持したりする職業だ。

給料がいいから入りてぇ。

俺が剣術科に入った理由も騎士になるためだ。


「まてぇえええ!逃げるなこのやろおおおお!」


俺はトムの怒号を無視して逃げた。


_________________________


「ただいまー。」


「おかえりなさい。」


ああ、いいな。この感じ。

新婚夫婦みたい・・・。


「どうだった?今日の学校。」


「友達のトムにラヴァンデさんといたのばれて殺されかけたよ。」


「ふふっ。仲がいいのね。」


「はぁ・・・本当に殺されかけたんだよ。あいつのひがみ具合は人知を超えるレベルだからね。」


「面白い子ね。」


「面白い?あいつ煩悩の塊だから会わない方がいいよ。前は聖教のシスターの胸ばかり見てたし。」


この国の8割が信仰する偉大なる宗教のシスターを視姦する図太さにはあきれる。

そういえば、聖教って黒いうわさもあるし、いつかあいつ消されるぞ。


「聖教?なんていう名前の宗教なの?」


その時、ラヴァンデさんが露骨に険悪な顔になった。


「ソルシエール教っていう名前で、それから・・・ラヴァンデさん?」


ソルシエール教。

その言葉を聞いた瞬間、ラヴァンデさんが今までに見たことがないような顔をした。

怒っているような、でもおびえているような。


そして、ラヴァンデさんは少し考えこんで言った。


「私、出ていくわ。もともと3日だけって約束だったし。」


それは今の俺にとって一番聞きたくない言葉だった。


________________________________


「出ていく?」


なんで。

ソルシエール教に嫌な思い出でもあるのか?


「ええ。そうよ。お世話になったわね。今までありがとう。」


そう言ってラヴァンデさんは荷物をまとめはじめた。


「待って!何のことかわからない。なぜ、いきなり出ていくの?」


「・・・巻き込みたくないから。」


巻き込む?何に?


「困っていることがあるなら力を貸すよ。だから、お願い・・・一人にしないで・・・。」


振り絞るように言った。

ラヴァンデさんがいなくなったらまた一人。

また孤独。

周囲からの壁に暑苦しさを感じるだけの生活。

そんなのいやだ。


「・・・そこまで言われると照れちゃうわね。私も寂しくなっちゃうじゃない。」


「なら、ここに残ろうよ。ねぇ?」


引き留めなければ。

まだ、彼女と過ごしたい。

話したい。

いろんなところに行って一緒にご飯を食べてそれから・・・


「もういいの。もういいのよ。私は十分。確かに寂しくなるけれど、私はこれがあれば貴方を思い出せる。・・・辛いのも苦しいのも耐えられる。」


ラヴァンデさんは大事そうに指輪を撫でた。


辛い?苦しい?

何のことかわからない。

説明してほしい。


「せめて、せめて説明してよ。一人で抱え込む必要なんて・・・。」


「知ってしまったら巻き込むことになる。だから、駄目よ。」


「ちょっと、だから巻き込むって・・・」


コンコン


その時、扉がノックされる音がした。


「・・こんな時に誰だよ。」


「・・・・出ちゃダメよ。」


何言ってるんだ?


俺は無視をして扉を開けた。

いたのは・・・・


トムだった。


「何?こんな夜に。今、修羅場なんだけど?」


「いいじゃねぇか。入らせろよ。噂の美女、見てみたいんだよ。頼む!この通りだ!」


おい。

昼間はあんなことしたくせにいきなり下手に出やがって。


「駄目よ!離れてアベル!そいつ・・・あなたの友達じゃない!」


え?何を言って・・・


「・・・やはりお前にばれてしまうようだな。ラヴァンデ。」


トムがトランプカードに覆われていく。

そして、現れたのはオッドアイで右半分の髪が白で左半分の髪が黒の男だった。


「誰だお前?」


俺の問いに男は答えた。


「トレズ・シュバリエ 第2斬、ミストラルだ。」



_____そして、平穏が崩れ去ってゆく。


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次回、ついにラヴァンデさんの正体が明かされる!?

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