第三話 分身製造法
「こんにちは、私は女神様だよ。なんでこんなところにリアルの人間がいるのかな?」
非常に優しそうな顔を見せてニコッと笑うこの人、とりあえず、正直に話す。
「えっと・・・その・・・。僕が事故で死んで、神様に天国に連れてこられて、生き返れるキャンペーンの話を聞かされて、それに参加させられて、いつの間にかここに来てました。」
「神様?というとあのいい加減でいい加減に消えて欲しくて弾劾裁判所で消失処分になって欲しくて考えるだけで頭が痛くなるあのバカやろう?それともあの勇ましい姿の天才でそれで頭もよくてかっこよくて、恋人にしたい神様ナンバーワン、それでね、お金持ちで、成績優秀で、家族はあの会社のオーナーで・・・・。」
と、なぜか前者の方としか思えない暴言と、後者のほうに対する賞賛、なんという態度の違い。
「ぜ、前者の女神様が大嫌いな方だと思います。あの人は本当にいい加減ですから。」
「おお!君、気が合うね。お姉さんとどっか出かけないかい?生き返らせてあげるからさ、ね?生き返らせるなんて簡単なことなのだよ。わざわざ変なキャンペーンに参加せずに『神宝』も探さなくても良いしねっ、とても楽に生き返られるよ。」
と、女神様が言う。とても好都合な話だが、非常に忌々しい性格の人だ。
「おい、大天使、俺の客に何やってるんだ?」
「女神様じゃないんですか?」
いつの間に戻ってきた神様が女神様を大天使と呼ぶ。
「そうとも言うな。でも、大天使は偉い。天使の中でも力が強いやつだ。しかし、嫌われている。」
「おい、そこの非常にウザイ紙くずのような神、仕事しやがれよ。」
「仕事はしている。問題ありか?」
と、神様と女神様がケンカ中。なんという光景、もしかしたら出会っただけでいつもこうなっているのかもしれない。
「良いか、陸、コイツは大天使だが、非常に悪いやつでな。」
「おい、余計なことを言うんじゃない。」
「放っとけ、真実を言って何が悪い。嘘をつくのは神様としての仕事じゃない。それでだ、本来なら天使と悪魔は小さいまま移り変わりを繰り返すんだ。まず天使は人間の邪気を食べてだんだんと悪魔へとなっていく。その代わり、人間に良い行いをさせるんだ。逆に悪魔は人間の良気を食べてだんだんと天使になっていく。その代わり、人間に悪い行いをさせる。これが基本だ。」
「へ〜。」
なんかよくわからない話になってきたが、なんとか納得できた。
「それでだ、この大天使は本来なら人間の邪気を食べる、はずなのだが、良気を食べて、どんどん力をつけた天使になっていくんだ。これはジオルの法律で禁じられている。天使は邪気、悪魔は良気しか食べてはならない。もし法律違反の場合、即刻リアルへ送られる。そして勉強しなおしだ。これが普通なのだが、こいつの場合はな、力を付けすぎたせいで、誰にも押さえつけることは出来ないんだ。」
ってことは、ゲームで言うと序盤から最強の敵が出てきた。そういうことだ。
「さらに言っておく。そいつに生き返らせられたら、完全消失の刑だ。いたという痕跡がすべて消えうせる。だから、俺だけに頼れ。」
「うるさい、たかが神が。お前を完全消失させることなんて簡単なんだ。それにね、私には力がある。だからお前を守ることは簡単に出来るんだ。」
と、なんだかどちらを選べばいいのかわからない展開になってきた。でも、妹に約束した。
また戻ってくると。
「女神様、残念ですが、神様に頼ります。僕は妹と約束しましたから。」
「っち。しょうがない。リアルの人間には逆らえない性格だからね。」
偶然にも女神様の性格に救われた気分。しかし、なんかややこしいことになってきた。
「じゃあ、行くぞ。陸。聖なる水は俺がどうにか召喚させておく。次に手に入れるものは、『リーフ電池』だ。」
「電池?なぜ・・・。」
「『リーフ電池』が必要なんだ。物理分身というものを作る。お前の保険だ。聖なる水とリーフ電池でお前の分身を作る。もしもの場合、完全消失を除いての話だが、お前は存在を残すことが出来る。このためさ。」
そして、再び嘔吐寸前になりかねない、真っ暗なところに飛ばされ、公園に出る。元の公園だ。住所とかは知らないけど。
で、リーフ電池とは何なんだろうか。電池はわかるが、リーフって・・・。葉っぱのイメージしか湧き出ない。
「『リーフ電池』とは、光エネルギーを蓄えてある電池だ。リアルで言う光合成という現象で蓄えたエネルギーだ。だからそれを、電池メンのところに会いに行って、貰う。それだけだ。」
電池メン、電池マンの複数形だろうか。まあそういうことになってしまった。
「じゃあ行くぞ。」
「は、はぁ・・・。」
再び真っ暗な空間へ飛ばされ、出てきた場所。
そこは蜂の巣の中身のような場所だ。そこら辺には手足の付いた電池、電池、電池がたくさんいる。
その中の一人が出迎えてくれた。
「こんにちは、私は電池メンの単二型と申します。」
神様が言う。
「『リーフ電池』が欲しいのだが。」
「わかりました。では単四型に持ってきてもらいましょう。」
と、言って、五つもある笛の一つを出して気味の悪い音を出す。
単二型よりもやせている電池がやってくる。
「単四型です。今現在、『リーフ電池』がありません。材料があれば良いのですが・・・。特殊発光型リーフが必要です。」
「とのことです。取ってきていただけませんか?」
と、頼まれた。神様は言う。
「どこにある?」
単四型が予想してたかのように答える。
「この巣の出口を出たら森です。そこの光る葉っぱを持ってきてください。」
「わかった。」
そして僕は電池メンの巣を後にし、特殊発光型リーフを取りに森へ向かった。
しばらく歩くと道が二つに分かれていて標識がある。標識には『←太陽の森・月の森→』と書いてある。
「どっちだ?」
ま、草って事はもちろん太陽だろな・・・・・・そう思いオレは左の太陽の森に向かって進む。
「おい、おまえ誰だ!」
森に入ってしばらく進むと突然誰かから声を掛けられた。
「上だ!上!!」
上と言われたのでオレは上を向く。
「・・・・・・・」
そこにはギラギラと輝く太陽の隣にもう一つ小さな太陽が・・・・・・
「見えないのか?」
よく目を凝らすと黒い点が二つある。
「ったくしょうがねーなー」
そういって小さな太陽が落ちてくる。
「オレッチはサン族のshineだ!シャインな!シャイン!英語で死ねと書いてシャインだ!忘れんじゃねぇぞ!」
「は、はぁ・・・・」
「んで、あんた見た所リアルのお坊ちゃまじゃねぇか!こんな所に何の用だい!?」
「特殊発光型リーフが欲しいんですけど・・・・」
すると、シャインはニヤッとした。
「ま、いいんだけどねぇ〜特殊発光型リーフはサンシャイン元帥しか持ってないんだよねぇ〜・・・・・」
なるほど、サン族は元帥国家なのか・・・・・
「じゃぁ会わせてよ!その元帥に」
「いいよ」
さっきニヤッっとしたのでなにか企んでるのかと思ったが案外何も無かった。
「サンシャイン様、お客です!」
シャインにつれて来られた所は森の奥深くだった。
「客とな?」
「はい、特殊発光型リーフを取りに来たようです!」
「と、特殊発光型リーフじゃと!ふざけるな!!!!」
そういうとシャイン元帥がいきなり襲い掛かってきた。
「わ、や、やめてよ!」
しかしサンシャイン元帥は攻撃の手を休めない。
――こんな時にあの水鉄砲があれば・・・・・
オレが落ち込んで下を向くと背中に何かが当たった。
「こ、これは!?」
なんと背中に当たったのはあの最強水鉄砲だった。
「おりゃりゃりゃりゃりゃりゃ〜〜〜〜〜〜!」
目をつむって水を連射する。
ジュッ!!!!
謎の音が聞こえたので目を開けると目の前には黒い塊が・・・・・・
「げ、元帥様!!!」
シャインがサンシャイン元帥に駆け寄る。そしてその声を聞いて周りからシャイン同様のサン族がたくさん現れた。
「お前よくもサンシャイン元帥を・・・・・・」
オレはサン族にジリジリと森の隅へ追い込まれる。
「こっちです!」
不意に声が聞こえた。
「こっちに来てください!私は敵ではありません!」
もう頼れるのはあの声だけだ!オレは必死に声のする場所へダッシュする。
「大丈夫ですか?」
今オレの前には三日月の形をした生物がいる。
「私はムーン族のライトといいます」
「ライト、さん?」
「はい、ライトです。」
そう名乗るいかにも正義のヒーローみたいな顔をした人がいる。それに比べて、巣を出てから何にもしゃべらないこのいい加減な神様。なんてこったい。そして、神様はしゃべり始める。
「とりあえずだ。まず私はジオルの人間だ。名前は無い。ライト、率直に言おう。特殊発光型リーフを譲って欲しい。」
「わかりました。月の森だからこそある特殊発光型リーフは素晴らしいものです。見ていったらどうでしょうか?」
と言って、月の森へ歩くこの一行。なぜ月の森にあるのか疑問を持ちながら、進む。
「うへ〜。すごいきれいだな。」
「そうだろ。俺も二、三回ここに来たことがある。しかし、この特殊発光型リーフ、問題がある。」
「問題?」
神様でも問題とする問題。何なのだろうか。
「後で話そう。」
と、返事を拒否られた。しかし、この大量にある特殊発光型リーフ、今さらになってなんでさっき太陽の森に行ったのかを後悔する。
「ささ、ここから好きなだけ取っていってください。」
と、言われたので、手で異様にでかい特殊発光型リーフをちぎろうとしてみる。硬い・・・。
「ああ、そうだ。今さらになって言うけど、さっきの問題についてだが、特殊発光型リーフは非常に硬くてな、その水鉄砲でも破壊できないんだ。」
「え・・・。じゃあどうやって持って帰るんですか?」
さっさと言って欲しかったことを言われる。神様曰く、水鉄砲でも破壊できないこの特殊発光型リーフ、つまり、三十キロ以上の力を加えなければ、持ち帰ることは出来ないようだ。
「そこで登場するのはこれさ。」
また鉄砲。黒く塗装されたこの鉄砲はエアガンには見えないほどに立派な鉄砲だ。
「これは、誰かの存在維持に必要な力を使って、発射するスラッシュライフルと言ってな、誰かを犠牲に破壊する必要がある。」
「それは、無理じゃないですか?人を一人犠牲するって・・・。」
「おいおい、まだそんなこと言ってないだろ。これを使うの。手動発電機というべきかな?というかそれに近い。」
「でかいですね・・・。」
どっかで見るトレーニングマシンに似てる。
「と、言うわけで、陸。ここで走りに走って発電をするんだ。」
なんで、と言ってしまいそうな、このマシーン、どうやらこの上で走れば走るほどエネルギーがたまるらしい。
「じゃあ十五分間、よぅい・・・どん!」
走り始める。
「・・・・・・・・・」
「目が死んでんぞ」
人の苦労も知らないで・・・・・・
「しかしこれでエネルギーは溜まったはずです!」
「よし、やっぞ〜〜〜」
神様は子供のようにようにはしゃいでいる。
ばん!!!!!
とてつもなく大きな音と地響きがオレ達を襲う。
ぐらぐらぐら
何だか周りの木が揺れてるんですが・・・・・・・・・・
「や、やばいですよ!」
「なぜだ?ムーン」
このKYがぁ!!空気よめ〜〜〜!
バサバサバサ
どんどん周りの木が倒れていく。
「ん〜スラッシュライフルを使うと大天使へのストレスも一発で爽快だなぁ〜」
だから空気読みなさい!!
「神様!!いい加減にしないと女神様に言いつけますよ!」
一瞬にして神様の顔から笑みが消えた。これぞまさに鶴のワンボイス(一声)!
「直しますからそれだけは〜〜〜」
「じゃ、お願いします」
人差し指をクイクイと動かす。そうすると、いかにもどんなトリックを使ったのかわからない、魔法みたいなのが発動される。
「と、いうわけではい。」
特殊発光型リーフを持たされる。リアルの葉っぱではこんな大きさは考えられない。それくらい重い。昔の大きなお金ぐらい重い。
「じゃあ、迷惑かけてすいません。ライトさん。」
と、苦労ばっかした僕が言う。神様は謝ろうとしない。
「大丈夫です。とりあえず、これも持っていってください。」
と、ライトさんに言われる。今、僕の手にあるのはなにやらクッキーのような香ばしい匂いがするものだ。
「食べてみてくださいね。」
と、言われた。食べてみる。
おいしい。美味い。との感想しかこぼせないほどおいしいクッキーだった。
「ありがとう。ライトさん。それじゃあさようなら。」
「さようなら。」
そういうことで、月の森を立ち去り、とても重い特殊発光型リーフを電池メンの巣まで持って帰る。
しかし、どうやら神様は納得いかないような顔をしている。スラッシュライフル、本当に恐ろしい兵器だ。そして、電池メンの巣の入り口に着いた。




