↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛推理ゲーム  作者: SSS
しずかな、うらぎり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
64/115

第14話 崩れる

====================

第14話 崩れる

====================



話が、広まるのは。


早かった。



◇



きっかけは。


たぶん。


誰かが、見ていた、ことだった。


校舎裏で。


俺と、東海林(しょうじ)が。


話していた、ところを。


そして。


その、内容が。


少しずつ。


漏れて、いった。


「――ねえ、聞いた?」


「うん。……東海林さんが、やったんだって」


「え、うそ。あの、東海林さん?」


「森本(もりもと)の、噂。全部、あの人が、流してたって」


「なんで?」


「わかんない。……本人が、認めたらしいよ」


……。


一週間。


いや。


三日も、かからなかった。



◇



学校の、空気が。


反転した。


これまで。


俺に、向いて、いた、目が。


今度は。


東海林に、向いた。


廊下で。


すれ違うと。


みんなが。


一瞬。


黙る。


教室で。


誰も。


話しかけない。


剣道部でも。


……たぶん。


何か、あったんだろう。


主将なのに。


部員と。


別々に。


帰るように、なって、いた。


……。


俺が。


経験した、ことだ。


全部。


あいつが。


俺に、した、ことが。


そのまま。


あいつに。


返って、いた。



◇



放課後。


図書室。


「……ひどい話ですね」


五百旗頭(いおきべ)が。


静かに、言った。


「あんなに、早く、広まるとは」


「……ああ」


「わたしは」五百旗頭は、言った。「誰にも、話して、いません」


「知ってる」


「湊さんも、話していないと、思います」五百旗頭は、言った。「彼女は、『信じてもらえない』と、わかっていますから」


「……だろうな」


「では、誰が」


五百旗頭は。


そこで。


少しだけ。


眉を、寄せた。


「……いえ。今回は」


「ん?」


「今回は、たぶん」五百旗頭は、言った。「――誰も、流していません」


「……え?」


「ただ、広まったんです」五百旗頭は、言った。「面白い話だから。……人は、面白い話を、放って、おけない」


……。


そうか。


犯人が、いなくても。


噂は。


広まる。


……いちばん。


気持ちの、悪い、結論だった。



◇



その日。


図書室に、いたのは。


俺と、五百旗頭だけ、だった。


御手洗(みたらい)は、委員会。


不破(ふわ)は、部活。


日下部(くさかべ)は、来なかった。


湊(みなと)ミライも、来なかった。


そして。


東海林も。


……当然だ。


広い、テーブル。


七つ、あった、椅子。


今、座っているのは。


二つ、だけ。


「……静かですね」


五百旗頭が、言った。


「……ああ」


「少し、前まで」五百旗頭は、言った。「……ここ、うるさかったのに」


……。


そうだ。


二か月前は。


誰も、呼んでいないのに。


全員が、集まって。


御手洗が、世界史の、たとえを、して。


ミライが、俺を、からかって。


不破が、突っかかって。


日下部が、笑って。


東海林が、隣に、座って。


五百旗頭が、本を、読んで、いた。


……あれ。


なんだったんだ。


あの、時間は。



◇



「……森本くん」


「なんだよ」


「わたしは」五百旗頭は、言った。「……間違えました」


「何を」


「東海林さんに、辿り着いたとき」五百旗頭は、言った。「……言うべきか、迷いました。そして、迷った、あげく。……あなたに、言いました」


「……ああ」


「でも」五百旗頭は、言った。「……本当は、先に、東海林さんに、聞くべきでした」


「……」


「わたしは、探偵の、真似事を、して」五百旗頭は、言った。「……犯人を、特定することばかり、考えて、いました。……理由を、聞くことを、忘れて、いた」


……。


御手洗と。


同じことを。


言って、いる。


「五百旗頭」


「なんですか」


「お前の、せいじゃ、ない」


「……」


「俺が、聞いた」俺は、言った。「俺が、あいつに、聞いて。……あいつが、認めた」


「……ええ」


「それだけだ」


……。


それだけ、なのに。


なんで。


こんなに。


何もかも。


壊れて、いるんだろう。



◇



その、夜。


帰り道。


俺は。


駅前の、交差点で。


東海林を、見た。


一人で。


竹刀袋を、担いで。


信号を、待って、いた。


……。


声を、かけようか。


迷った。


一秒。


二秒。


三秒。


その、間に。


信号が、変わって。


東海林は。


歩き出した。


俺は。


動けなかった。


……何を、言えば、いいんだ。


「大丈夫か」?


……大丈夫な、わけがない。


「なんで、やったんだ」?


……もう、聞いた。答えなかった。


「ごめん」?


……何を、謝るんだ。


悪いのは。


あいつ、だろ。


……そう。


悪いのは。


あいつ、なのに。


なんで。


こんなに。


追いかけたく、なるんだ。



◇



その、あと。


俺は。


一人で、歩きながら。


ずっと。


考えて、いた。


御手洗の、言葉を。


『猫は、理由を、言わないでしょう?』


『でも、本当は、理由が、あったのかも、しれない』


『言わない、だけで』


……理由。


あいつには。


理由が、あった、のか。


だとしたら。


何だ。


何が、あったら。


あいつが。


あんなことを。


――そこで。


思い出した。


別れ際の、あいつの、言葉を。


『……第七役職』


『……あれ、もう。調べないで』


……。


足が。


止まった。


なんで。


あのとき。


あの話が。


出た。


あれは。


一巻の、ゲームの、あと。


誰にも、配られなかった。


七枚目の、カード。


ずっと。


謎の、まま、だった。


でも。


あいつは。


「調べるな」と、言った。


まるで。


――知っている、みたいに。



◇



家に、帰って。


俺は。


机の、引き出しを、開けた。


一番、奥。


封筒の、中に。


あのカードが。


まだ、あった。


《第七役職》


何度、見ても。


それだけしか。


書かれて、いない。


……。


俺は。


そのカードを。


じっと、見ながら。


考えた。


東海林は。


なぜ。


これを、調べるなと、言ったのか。


……危険だから?


……知られたく、ないから?


それとも。


……。


俺は。


スマホを、取り出した。


そして。


五百旗頭に。


メッセージを、送った。


『明日、話がある』


『第七役職のこと』


既読が、ついた。


すぐに、返事が、来た。


『わかりました』


『わたしも、同じことを、考えていました』



(第14話 了)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。