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恋愛推理ゲーム  作者: SSS
しずかな、うらぎり

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62/113

第13話 認める

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第13話 認める

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次の日。


俺は。


部活が、終わるのを。


待って、いた。



◇



剣道場の、前。


コンクリートの、段に、座って。


一時間。


中から。


竹刀の、音が。


断続的に、聞こえて、いた。


かん。


かん。


かん。


気合いの、声も。


その中に。


あいつの、声が、あるのか。


……わからなかった。


やがて。


音が、止んで。


部員が、出てきた。


一年生。二年生。


みんな、汗を、拭きながら。


疲れた顔で。


最後に。


東海林(しょうじ)四季が。


出てきた。


竹刀袋を、担いで。


髪が、濡れて、いて。


俺を、見て。


少しだけ。


足を、止めた。


「……森本」


「……よう」


「……どうしたの」


「話が、ある」


東海林は。


数秒。


黙って、いた。


それから。


静かに、頷いた。


「……ん」



◇



場所は。


校舎裏の。


誰も、いない、場所に、した。


秋の、夕方。


もう。


だいぶ。


暗く、なって、いた。


東海林は。


壁に、もたれて。


竹刀袋を。


地面に、置いた。


俺は。


その、正面に、立った。


何から、話せば、いいのか。


わからなかった。


でも。


遠回りする、気にも。


ならなかった。


「……四季」


「……ん」


「聞きたいことが、ある」


「……ん」


東海林は。


逃げなかった。


まっすぐ。


俺を、見て、いた。


……それが。


逆に。


怖かった。



◇



「最近の、噂」俺は、言った。「俺の。……あと、湊の」


「……」


「あれ」


俺は。


息を、吸った。


「……お前か?」


東海林は。


目を、そらさなかった。


一秒。


二秒。


三秒。


そして。


言った。


「……うん」


……。


……。


え。


「……うん、って」


「……わたしが、やった」


東海林は。


はっきり、言った。


いつもの、小さな声じゃ、なくて。


ちゃんと。


聞こえる、声で。



◇



頭が。


真っ白に、なった。


……嘘だろ。


いや。


覚悟は、して、いた。


五百旗頭の、話を、聞いて。


ミライの、話を、聞いて。


……たぶん、そうだろうと。


思っては、いた。


でも。


本人の、口から。


こんなに、あっさり。


認められるとは。


思って、いなかった。


「……なんで」


やっと。


それだけ、言えた。


「……」


「なんで、そんなこと、したんだ」


「……」


東海林は。


答えなかった。


「四季」


「……」


「なんか、言えよ」


「……」


「理由が、あるんだろ?」俺は、言った。「何か、事情が。……脅されたとか。誰かに、頼まれたとか」


「……ううん」


「じゃあ、なんで!」


「……」


東海林は。


口を、閉じた。


そして。


それきり。


何も。


言わなかった。



◇



――俺は。


このとき。


初めて。


こいつに。


腹が、立った。



保育園から、ずっと、一緒で。


屋根に、登って、怒られて。


中学で、離れて。


高校で、また、会って。


何回も。


助けられて。


何回も。


見て、もらって。


その、全部が。


なんだったんだ。


「……言えよ」俺は、言った。「理由を、言えよ」


「……」


「言えないなら」俺は、言った。「――ただの、裏切りだぞ」


東海林の。


肩が。


わずかに。


動いた。


でも。


それだけ、だった。


「……うん」


東海林は。


静かに、言った。


「……そう」


「そう、じゃない!」


俺は。


気づいたら。


怒鳴って、いた。


「なんで、認めるんだよ! 否定しろよ! 違うって、言えよ!」


「……」


「そしたら、俺」俺は、言った。「……信じたのに」


……。


東海林は。


少しだけ。


目を、伏せた。


それから。


言った。


「……知ってる」



◇



……。


知ってる。


その、一言が。


いちばん。


効いた。


こいつは。


わかって、いる。


俺が、信じたがっていることを。


わかっていて。


わざと。


認めた。


わざと。


逃げ道を。


塞いだ。


「……なんで」俺は、言った。「なんで、そんなこと」


「……」


「四季」


「……」


「……四季!」


東海林は。


竹刀袋を。


拾い上げた。


そして。


静かに、言った。


「……ごめん」


「……」


「……もう、話しかけないで」


……え。


「……森本と、いると。……たぶん、また、やる」


「また、やるって」


「……」


東海林は。


それには、答えず。


俺の、横を。


通り過ぎた。


追いかけようと、した。


でも。


足が。


動かなかった。



◇



一度だけ。


東海林は。


立ち止まった。


振り返らずに。


背中を、向けたまま。


言った。


「……森本」


「……なんだよ」


「……あのカード」


「……え?」


「……第七役職」


……。


心臓が。


跳ねた。


「……あれ、もう」


東海林は、言った。


「……調べないで」


それだけ、言って。


歩いて、いった。


秋の、夕暮れの、中を。


竹刀袋を、担いだ、背中が。


だんだん。


小さく、なって。


校舎の、角を。


曲がって。


見えなく、なった。


……。


俺は。


その場に。


立ち尽くして、いた。


頭の中で。


さっきの、言葉が。


何度も。


回って、いた。


――第七役職。


なんで。


今。


その話が。


出るんだ?



(第13話 了)

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