↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛推理ゲーム  作者: SSS
恋愛推理ゲーム

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/112

第17話 本当の恋

====================

第17話 本当の恋

====================



「――整理、しましょう」


五百旗頭(いおきべ)が、言った。もう、あの、絶望した、顔は、していなかった。


「消えた、みんなの、『役割では、説明できない、行動』。そこに、本当の、気持ちが、ある。それを、ひとつずつ、解いて、いきます。……でも、わたし、一人じゃ、無理。だから」


五百旗頭は、俺と、東海林(しょうじ)を、見た。


「二人の、記憶を、貸して、ください。わたしが、論理を、組みます。あなたたちが、実感を、埋めて、ください」


「ああ」


「……わかった」



◇



「まず、御手洗《みたらい》さん」五百旗頭が、切り出した。「彼女は、わたしの、役割を、暴いて、脱落した。役割を、暴けば、暴いた自分が、消える。……なのに、なぜ?」


「……あいつ」俺は、思い出しながら、言った。「消える、直前。お前に、言ってたよな。『あなたの、勝利条件は、誰かを特定すること』って」


「ええ」


「あれ、たぶん」俺は、言った。「お前に、気づかせようと、したんじゃ、ないか。『お前は、人を、特定しようと、しすぎてる』って。……論理ばっかり、見て。大事なものを、見落としてる、って」


「……」


五百旗頭が、はっと、した。


「御手洗さんは」五百旗頭の、声が、震えた。「自分を、犠牲にして。わたしに、教えようと、した。……『推理だけじゃ、ダメだ』と。……そういう、こと、ですか」


「たぶんな」


「……あの人らしい」五百旗頭は、少し、泣きそうな、顔で、笑った。「不思議で。猫みたいで。……でも、いちばん、人のことを、見ていた」


その、瞬間。


端末が、ぽう、と、灯った。



《御手洗澪の、本心を、証明しました》



◇



「次は、不破《ふわ》くん」五百旗頭が、続けた。「彼の、役割は、あなたと、東海林さんの、妨害。……なのに、最後に、彼は」


「東海林が、見てるのは、俺だ、って」俺は、言った。「教えて、くれた。……妨害する役、なのに。俺と、東海林を、くっつける、ような、ことを、言って、消えた」


「なぜ、だと、思いますか」


「……わからん」俺は、正直に、言った。「でも」


隣で。


東海林が、ぽつり、と、言った。


「……不破は」


「四季?」


「……わたしを、好きだった。だから」東海林は、目を、伏せた。「……わたしが、幸せに、なることを。……最後に、選んだ。自分の、勝利より」


しん、と、なった。


「……自分の、負けが、確定しても」東海林は、続けた。「……好きな人が、好きな人と、結ばれる、ほうが。……いいって。……そう、思ったんだと、思う」


東海林の、声が。


少し、湿って、いた。


「……ばか、だよね。不破」


端末が、また、灯った。



《不破楓也の、本心を、証明しました》



◇



「最後に、日下部《くさかべ》くん」五百旗頭が、言った。「彼は、自分から、脱落した。安全な、観戦席へ。……争いが、嫌いだ、と」


「でも、あいつ」俺は、言った。「わざわざ、連絡して、きた。『ゲームが、書き換えられてる』って。『気をつけろ』って。……自分は、もう、安全なのに」


「なぜ、そんなことを?」


「……お節介、だからだよ」俺は、笑った。「あいつ、そういう、やつだ。誰にでも、いい顔して。広く、浅く、付き合って。……でも、本当は。放って、おけない、やつなんだ。困ってる、やつを」


「……聞き役に、徹して」五百旗頭が、続けた。「自分のことは、話さない。でも、いざと、なると。誰よりも、先に、動く。……そういう、人、でしたね」


「ああ」


「彼の、本心は」五百旗頭は、言った。「『みんなを、無事に、帰したい』。……それが、争いを、避けて、観戦席に、逃げた、本当の、理由。誰も、脱落させたく、なかったから。自分から、抜けた」


端末が、三度、灯った。



《日下部久遠の、本心を、証明しました》



◇



三つの、光が。


端末の、上で。


静かに、灯って、いた。


御手洗。不破。日下部。


みんなの、本当の、気持ちが。


役割の、裏に、隠れていた、本心が。


いま。


証明、された。



「……あと」五百旗頭が、小さく、言った。「残って、いるのは」


五百旗頭は、俺を、見た。


それから、東海林を、見た。


そして、自分の、胸に、手を、当てた。


「わたしたち、三人の。本当の、気持ち」


「……」


「でも」五百旗頭は、ふ、と、笑った。「それは。ゲームの、ためじゃ、なくて。……ちゃんと、自分の、言葉で。あとで、伝えます。……ゲームが、終わったら」


その、瞬間。



《…………》


《すべての、本心が、示されました》


《GAME CLEAR》



◇



ゴォン、と。


空気が、震えた。


ずっと、開かなかった、図書室の、ドアが。


ゆっくりと。


開いて、いく。


その、向こうに。


まっすぐな、廊下が。


見えた。


同じ、本棚じゃ、ない。ちゃんと、続く、廊下が。


「……出られる」俺は、つぶやいた。「出られる、ぞ! 五百旗頭! 四季!」


そして。


ドアの、向こうから。


足音が。


聞こえて、きた。


一人。二人。三人。


「――やあ、みなさん。お久しぶりです」


日下部が。にこにこ、笑って。


「まったく。手こずらせて、くれるわね」


御手洗が。こてん、と、首をかしげて。


「……ふん。遅い」


不破が。ぶっきらぼうに。


みんな。


帰って、きた。


消えたと、思った、みんなが。


ちゃんと。


無事で。


笑って。


戻って、きた。



「……よかった」


俺は、その場に、へたり込んだ。


力が、抜けた。


よかった。


本当に。


誰も。


消えて、なんか、いなかった。



――このときは。


まだ。


思っても、いなかった。


このあと。


もっと、驚くべき、真実が。


待っている、ことを。


そして――帰ってきた、この、顔ぶれの、中に。


まだ、俺が、言っていない、"ひとり"が。


いることを。



(第17話 了)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。