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第四話 ターミナス

「最期の願いか、いいように言ってるが他人に自分の願いを任せるのは胸糞悪い気がしないか?」


このジョナの問いにAIが答えようとしたが、シェールが間に入る。このAIは何を言おうとしたんだ?不思議と疑問が頭に残った。


「いま……」

俺の言葉と被さるようにしてシェールが話し始める。俺のセリフは彼女に押し負け、聞くことができなかった。


「あくまで目的を達成することが大事やねん。あと、私らに託すしかなかったんやで」


最初が少し聞こえなかったが、確かにその意見には納得できる気がする。だって、願いを残したのは研究者だから。


「でも、過去に戻ればまた会えるんじゃ?」


カーラは意外と核心をつくことを言う。でもまた会う親はAIにとって本物なのか?俺たち人間ならそうは思わないだろう。


『過去に戻ればすぐに彼に会いに行きます。そこで、私の役目は一旦終了します。でもきっとあの方ならその後もコキを使うことでしょう』


「もし、俺たちのことを知っていたとしたらどうする?」


危険があるんじゃないかと思った。過去の同一人物の誰かが研究者に会ったことがあったとしたら……。


『その可能性はありえます。だが、君たち以外にこのプログラムが届くことはなかった』


AIは思い出したように続ける。


『でも、君たちの記憶になければ会っていないんじゃないですか?』


そうか、同じ世界線の過去だから問題ないのか。


「そうですね、なので問題ないです。それでは話を戻しましょう。過去に戻るって言ってたけど仕組みを教えてくれませんか?でないと、僕たちの信用はゼロです」


少し荒い口調でシーナがAIにつめる。きっと君がいなければ俺たちは勢いで説明される間もなく過去へと向かっていただろう。


『仕組みはトップシークレットです。教えることはできません』


「なら私たちを信用させてみせな。そしたら、さっきリーダーとかほざいてたジョナがこのグループの全責任を持って過去に行ってやるわよ」


カーラちゃん、よく言ってくれたよ。やっぱり、いつ罵倒されたって俺は構わない!


『信用……ですか。それならとっておきがあります。これです』


くまの腑から一枚のカードと一冊の本が出てくる。


「ニロスッタ・サジュール。どこかで聞いた名前だとは思っていましたが、世界で一番の研究者でしたか。表に名前が出てきたことはなく僕もうっすらしか聞いたことがなかったので、いままで気づかなかった」


シーナの知識はこれからも役に立つ。今の会話を聞いて確信した。


「そういえばこの星の名前もニロスッタだったわよね。ほんとうに名前が出たことはないの?」


言われてみれば。いや、ニロスッタは一族の名前だったような?さらにカーラが続ける。


「というか、これで信用は取れてるの?どうなのよ!」


「僕は一定の信頼を得ることができたかな。一人の信用じゃ足りない?」


シーナが言うならと思ったので俺は首を横に振る。


『それでは君たちの名前を登録してもらう。それに伴いグループ名も決めてほしい。グループ名は親からの頼みであったほうが良いらしいです』


「僕たちにグループ名なんて早すぎる気がするけど……」


「確かにそんな気もせんでもないな。でも、ここはリーダーとして決めたいといった所存であります」


急にかしこまった口調に変化する。ここで一つの提案が入った。というかもう、勝負をしにきていた。


「『オリジン』でいこう」


シェールはキッパリと言い切った。前から思ってたけどこいつには迷いがない。ちなみに、名前はかっこいいからこれでいいと思った。


「俺は賛成ー、めっちゃかっこいい名前やん」


すると、見下すようにしてマルから矢が飛んでくる。


「お前、オリジンの意味知ってんの?あ、アホやからわからへんか。直感だけを頼りにするのやめたらどう?ちなみに私も賛成よ」


すると、さっきの本を読んでいたシーナが丁寧に教えてくれる。


「オリジンは原点や起源という意味を持つ。ここなら物語の原点と考えるのが自然だね。僕もいい名前だと思うな」


俺はまた一つ賢くなった。でもなんで即座にあんな名前を思いついたんだろう。


「ほんなら入力するで?」


リーダーの問いかけにみんなは親指をたて彼に向ける。


「よし、僕たちのグループ名は『オリジン』で決定や」


俺たちは拍手をして祝福する。一通り収まった後、何か言いたそうにぐずぐずしてたシーナが俺たちに話しかける。


「てか、この本の筆者もすごいで。サジュールの奥さんと言われてる人、イノ・マンシェインや」


イノ?奇しくも俺も同じ名前やな。にしても初めて同名の人に出会った気がする。でもこの人、女よな?


「もしかして、お前のおかんちゃうんか?下の名前一緒やん」


俺って下の名前がイノなのか?もしかして……。


「いや、女の人にイノって名をつけるのは聞いた事ないで。私の記憶の中やとね」


「ちなみに題名はなんて書いてあるんだ?」


自分と名前が一緒だし、少し俺は興味を持った。これが人生で最初で最後の本へ示した関心になるだろう。


「題名は『ターミナス』。終焉を意味する単語や」


つまり俺たちのグループは始まりを意味し、この本は終わりを意味する。一体この本にはどんな謎が隠されてるんや?

読んでいただきありがとうございます。


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毎週月、木、土曜日の投稿を目標に更新していきます。


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