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第三話 事実の再制作

「地球は全面戦争に突入している」


『ああ、その通りだ。ある研究者のニロスッタ・サジュールが私の生みの親であり、地球の絶対的権力者を殺したことで戦争へと発展していった』


「つまりや、私たちは親にもう会えないかもてことやんな?いやあ、清々するわ」


シェールってこんなにも人の気持ちがなかったのか。かわいい見た目をしていただけに残念だよ。でも、なぜそこまでにやける必要があるんだろう。


「何を言っている、お前を育ててくれた恩人ではないのか?」


そうだよ、俺も親に育てられてきたんだ?よ。カーラにも意外と真面目なところがあるんだな。


「僕は親に感謝しているよ、普通なら感謝すると思うけどな。何か理由でもあるの?」


もし、理由が理由なら俺はさっき思ってしまったこと。謝らないと。


「いや私を育ててくれたのはおばあちゃんやねん。親は両方ギャンブル依存症でずっとおばあちゃんに私のこと任せっきりやってん」


そんな過去があったなんて。他にも同じ過去を持つ人もいるのかな?


「ごめん、それは。全然シェールのことを思って発言してなかった」


カーラって謝ることもできたんだ。


「なら、おばあちゃんにも会えなくていいってことにもなるね」


シェールはこのことを理解していないと思った。


「いや、もう亡くなっちゃてさ。今は一人暮らしてるねんな」


本当に俺は空気が読めない。だからといって今の発言に悪気は感じなかった。


「ごめん、シェールのことを理解してないのにあんなこと言っちゃって」


俺は謝ると同時に心の中で土下座をして頭を擦り付けた。この気まずい状況を一新すべくカーラにフォーカスをあてる。

 

「あー、俺にも謝れよ!さっきのまだ痛いんやからなぁ」


「いや謝らないね。帰れないことの鬱憤をお前で晴らしただけだもん」


なぜ俺なのか、そこに疑問を持ったら負けだと思った。だってそんなの考えたって無駄だから。


「お前ら一回黙れ!人の話も聞けへんのか、黙って聞けよ。命に関わるんや」


珍しく感情になったな。ジョナがキレたのは俺が紅茶とダージリンティーを間違えた時以来だ。果たして人の話なのかどうかを聞くのは……やめておこう。顔が完全にお怒りモードだ。


『それでは話を戻していいかな?』


『彼は戦争で決着をつけるという結論に至ってしまったから。だから、私はこのプログラムを君たちに届けることになった。過去に戻って共存の未来を掴むために』


ん、何か声色が変わったような。いや、気のせいか?俺はくまから少し視線を逸らす。


「過去に戻るってどういうことだ、今の技術で戻れるわけがない。胡散臭すぎる」


シーナが目をつけたのは過去についてだった。でも他のみんなは違う。


「なんか声が変わった?最後だけ」


カーラの声を合図にみんなで顔を見合わせると、シェールとシーナ以外は顔を上下に動かしていた。


「まず、なんで僕たちの元にきたん?ただの高校生やで。それが解決せな実感湧かんで」


言われてみれば俺たちである理由が存在しない。そして、このくまの言うことが嘘になれば地球が火の海である可能性も低い。マルの言うことを証明する必要がありそうだ。


「一旦衛星映像で地球の現状を把握するために、操縦室に向かってみないか?」


シーナの提案に反論する奴はいない。くまも納得した様子で首を振る。俺たちは順番に部屋の外に出る。最後に出たのはシーナだった。


――


「これって本当に地球なのか……。まるで火星じゃないか、どうしてこんなにまで」


はじめに状況を確認したジョナの声色が悲惨さを物語っている。そして、俺たちは覗くようにして画面を囲う。


みんなが口を押さえ、現実かどうか確認しようと自分の頬を抓る。


「これが現実……?ありえない……」


カーラでさえ受け入れ難い事実らしい。俺はなぜかこの状況を客観視できる。

 

「まあでも住める場所はいくらでもある。いくら故郷といえど、人類が滅亡するよりましだよ」


感じたことを素直に口にしてしまった。正直な話、親が生きているだけで幸せだと思うんだ。


「今はそんな話はしていない。少し黙ってくれないか?」


ジョナの一言で場が一気に静まりかえる。


「お前のその楽観的な考え方、一回自分で見直した方がいいよ」


長年?の付き合いのあるマルが的確な事を発する。それには納得するけど、なかなか変えるのが難しいという事実にも気付いてほしいところではある。


「それで俺たちが過去に行けって?」


『そうだ、君たちには今の事実を過去に行って書き換えてもらいたい。これが、私の親の最期の願いだ』






読んでいただきありがとうございます。


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毎週月、木、土曜日の投稿を目標に更新していきます。


次回もよろしくお願いします。

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