表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
3/21

第二話 くまのぬいぐるみ

結局、高校への連絡がいってしまったのだろうか。俺は学校に戻った時、怒られてしまうのだろうか。


「予定を遅らせたなら今から行くってことか?」


もう終わらせたという可能性はない。つまり、俺は予定を遅らせてまで掃除を行うことになったということだ。きっと俺らが終わる頃にはみんな遊びに行ってるだろうな。帰りたい、地球に


「いや、それが学校から連絡返ってきてないねん。今までこんなことあったか?」


「いや、なかったと思う。僕が連絡を入れた時は毎度五分以内には返ってきてたはずだ。…………」


ジョナの言葉に呼応するようにシーナが何かを言ってたが、後半は難しすぎて俺には聞き取れなかった。


「じゃあ、学校は今どうなってるの?」


「もしかして、飛んでいいやつなん?」


「乗るしかない、このビッグウェーブに」


俺以外みんな理解しているようだ。俺から見てもアホそうなカーラさえわかってるらしい。もしかしたら、この中でいちばんのアホはイノ・トツシンなのかもしれない。


「すまん、俺にもわかるように説明してくれ」


「つまりだね、清掃がなくなるかもしれないんだよ」


なるほど、激アツじゃん。他のみんなはちゃんとやってんのかな?てか、最初からそう言ってくれよシーナくん。あれ?これってまずいんじゃないか?


「え、でも連絡つかんならまずくね?俺たち帰れなくないか?」


「確かに、考えてもみなかったな。いや、最悪緊急連絡をとる。これで解決するはずだ」


この数分だけでシーナへの信頼はマルを超えた。これからも頼りにしていこう。


「俺は早く帰りたいからもう連絡しようや。後でやっても今やっても一緒よ?」


「そうやね、帰るのがいまは最優先やと思うわ」


わかってるじゃないか、シェールくん。てかあんなぬいぐるみ持っていたか?


「このグループのリーダーである僕が連絡するわ。待っとってやみんな、司令室行ってくるわ」


そう言ってジョナは談話室を出て行った。ここに残ったのは五人。俺は空いた席につく。もちろん何も起きないはずもなく……


――


俺たちは指スマを始めていた。待ち時間にすることがなかったから罰をかけたゲームをすることになった。


「罰ゲームは一位の人が最下位の人にひとつ命令できる。これでどう?」


うんうんとみんなが頷き、それに流されて俺も頷くことになった。


そして、試合が始まる。序盤は接戦が続き、全員があがりにリーチをかけた。


「指スマ六」


「え?何してんの?」


マルが声を出した。周りも声こそ出さなかったが、この状況が全く理解できてないないようだった。遅れて俺も気づいてハッとする。


「もしかしてマックスが五だった?うっわー、負けたやん。絶対」


一位が遠のく、訳ではあるものの最下位にさえならなければいい。こんな時こそ割り切りが大事だと思う。


「指スマ三……。よっしゃ、あがりー。たいおつでした」


そのまま順調にみんなあがっていき、最下位はマルとなった。ん?この状況不味くないか?俺は直感で足を動かしていた。今は彼氏がいない、ということは確実にキレている。


こんな時に限って自動ドアが開くのが遅い。足踏みをしながら待っているとすぐにマルが俺に飛びついてきた。完璧な卍固めを決められた。だが、そこに神は舞い降りてくる。


「ジョナ、帰ってきたか。早く俺を解放してくれ、命が持たない」


呆れた様子だが、なぜか額に汗をかいている。


「もしかして連絡つかなかった?どうみても焦ってるようにみえるけど」


それは間違いない、カーラの言葉にみんな頷く。


「お前何してんの?一人で。今それどころやないねんけど」


あれ?気づいた頃には俺だけが地面に転がっていた。後ろを振り返ると椅子に座り直しているマルが視界に入った。あいつは後で締め返す、絶対だ。


「どういうことだ?何があった?」


冷静な口調でシーナが声をかける。ジョナも今の言葉で少し落ち着いたのだろう。一回深い呼吸を行う。


「どうやら連絡をする手段がなくなったみたいや。つまり、音信不通になっている僕らは退学ってわけや」


え、それって俺らが悪いの?てか、それどころじゃない。焦ればこんなにも頭が働かなくなるのか、こいつは。


「は?そんなわけないでしょ、ばっかじゃないの。目を覚ましなよ。つまり、ここに閉じ込められたのよ?退学云々じゃないでしょ?」


え?なんでこっちに向かってくるんだ?カーラちゃん。


「グハッ……」


鳩尾に中段のキックが突き刺さる。え?俺は瞬く間に気を失ってしまった。そして、次に目を覚ますとカーラが元の位置に戻っていた。なんかシェールがくまのぬいぐるみを抱えている?いつの間に?


「なんかこの子が話したいんやって、みんなテーブルを囲んでくれへん?」


久々にシェールが俺たちに声をかけた。なんだこのぬいぐるみは?いかにも話し始めそうだ。


「えーかわい、いー。ぎゅーしたーい」


カーラが抱きつきにいこうとした時に、目が赤く光った。


『今から端的にこの状況を話す。少し黙って聞いてくれ』


どう考えても若い声ではなかった。そして、これは五〇歳のある研究者の声に似てる気がした。


『まずは一つ。今現在、地球は火の海と化している』


一体どういうことだ、このAIは嘘をついているのか?


「そんなわけない。地球が火の海になるとすればAIと人類の全面戦争くらいだ」


シーナの言うことはなぜか納得できる。みんなもそうなはずだ。


「シーナの言うことは基本的に正しい、間違ったことはない。特に私の前では。つまり、地球は全面戦争に突入している」













読んでいただきありがとうございます。


ブックマーク・評価・感想をいただけると励みになります。


毎週月、木、土曜日の投稿を目標に更新していきます。


次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ