第十九話 日本編 カーラ奪還作戦 成功
「とりあえず、みんなの元へ向かおう。話はこれだけだろ?」
うんうん、と頷くのをみて俺はすぐに立ち上がる。
「そろそろ彼らがカーラに出会う頃合いやろうな」
なるほど、完全にマップを理解しているわけね。いまの俺が優先すべきことは、カーラを奪還すること。目的をはき違えないようにしないと。
——
「みんな、お疲れさま。カーラはどうなった?」
俺はすぐに三人との合流を果たした。
「黙れ!クソ野郎!お前なんか死んでしまえばいいんだ」
は……?何を言ってるんだ?シーナ。
「ここから失せなさい」
あれ?俺に焦点が向いている?
「一体……」
俺の言葉はすぐに遮られた。
「失せろって言ったのが聞こえんかったん?早くお子ちゃまは帰れよ」
は?は?何を言ってるんだ、こいつらは。頭がおかしくなってしまったのか……
「俺はイノ・トツシンだぞ。そのことをわかって言ってるんだろうな?」
「そうだよ、だから早く帰ってくれないか?」
シーナもこんなにまで……やはりシェールのせいか?ここまで俺が罵倒される理由はないはずだ。
「わかった、帰るよ」
俺はそう言い残して、その場を去った。が、そんな簡単に帰るわけがない。俺はこいつらを尾行することにした。
「ふう、アイツがいなくなって清々するぜ」
陰口も……だと?もしかして、これは本音なのか……ジョナ。
「そうだね、僕は恋敵がいなくなって嬉しいかな」
シーナ……お前もなのか。俺はどこか旅へ出よう。君たちが俺を忘れたころにまた戻ってくるよ。
俺は後ろに振り返り歩き出す。試しに、自分に会いに行ってみよう。
——
ここが、我が家か。懐かしいなあ、高校入ってからは帰れてなかったしな。ここで気持ちをリセットしよう。そして、のんびり暮らそう。
「お前誰?」
あー、中学生の俺だー!ん、ちょっと待てよ。
「逃げろー!」
俺はワトソンのある発言が脳裏によぎった。過去の自分に会えば、どちらかが死ぬと言っていったな。それは流石にまずくて?
でも、帰る場所もないしなあ。どうしよう。
いや、よく考えるんだ。こんな時こそ冷静に、だろ?
「あ、見つけたー!」
逃げるという選択肢はない。俺が隠れた場所はそんなところだったから。
「やあ、過去の俺っ」
とりあえず挨拶してみる。死ぬ、死ぬという言葉がずっと頭の中をうろちょろしている。
中学生の頃もあんま変わんないなあ、でも結構バカ丸出しだな。今より。
「過去?何言ってるんだ。お前は未来の俺なのか?」
バカだと得をする時もある。まさに今の状況だ。もし、相手がシーナだとしたら証明しろとか言ってくるんだろ?
「そうだ、ちなみにちゃんと高校進学できてるぞ」
あれ……それはまずくないか?もし、ここで俺が安心をして、勉強をしなくなったら……俺がオリジンだった記録がなくなってしまうんじゃないか?
「え、まじかー!よいしょ!合格記念に今日は豪華な飯にしてもらおうっと」
こいつはどこまでもバカだな。もし、俺がAIだったとしたらとか考えないのかなあ。そう考えたら今の俺ってだいぶマシだな。
「少しは疑ったらどうなん?このアホのおれぃ」
「んー、そうだなあ。でもどうみても本物じゃん。もし、君がAIだったとしてなぜイノ・トツシンの模型があるのかって疑問が生まれるしね」
こいつ……俺より上手だぞ。過去の自分に負けるのがどれだけ悔しいか、こいつはわからないんだろうな。
「まあ、確かに。ぐうの音も出ないよ」
「ぐうの音?なんだそれ」
いや、それは本当か?俺は負けてなんかいないな。やっぱり過去の俺はバカだった。
「まあいい。とりあえず俺を止めてくれないか?帰る場所がないんだ」
「んー、いいよ!」
軽い気持ちでその言葉を発してるようだが、親にバレたらとか考えないのかな?
「もしもーし、聞こえる?きっと今はイギリスの実家にいるのかなあ」
シェールの声……どこからだ!左耳か。俺ってばこのスピーカーまだ壊してなかったのかよ。
「とりあえず、カーラが帰ってきたから君も帰っておいで」
「もし、嫌っていったら?」
俺はまだまだ疑心暗鬼だ。探りの一つでも入れたかった。
「二秒で殺す」
声だけでここまで殺意を感じたのは初めてだ。
「りょうかい、帰るよ。みんなはもう怒っていないのかい?俺は陰口を言われてた気がしたんだけどな……」
「大丈夫やで、あれは演技やから。お前の位置なんてわかってるんやからさ」
そうか、ずっと俺の位置はバレてたのか。なら、演技か。ってなるわけなくね?
「なら、演技か。あれは本音じゃないんだね。よかった。今からすぐに帰るよ」
「じゃあ、みんなで待ってるね」
もしかしたら、俺がここにくるのがわかっていたのか?いや、それはないぞ……
俺の知ってる家はここしかない。おばあちゃんの家も知らない。もし、そのことを知っていたら?
過去の俺に合わせる理由があった。これが自然か?
「帰るの?じゃあ、泊まらなくていい?」
俺はこいつを凝視する。違和感を探し出せ。何か、何かあるはずだ。
「そうだね、さっきはごめんね。驚かせちゃって。俺は帰るから、多分また会うだろうけどさ。元気でな」
手を振って別れを告げる。もし、こいつが死んだら俺の命はなくなるんだろうか?
目の前の景色をみて、俺は飛び出す。
「危ない!」
車に撥ねられた俺は救急車に運ばれた。
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