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第十八話 日本編 カーラ奪還作戦 過去

急に記憶が奮起され、体が昔の俺に入っていく。

 

あれはいつの頃だったろうか。


俺は夕立が酷かった日に外で遊んでいた。もちろん一人ではなく、数人で。


「お、いったぞー。げっ、あれっておばちゃんのところじゃね?」


おばちゃんというのは公園の近くに住んでいる話が長い人だ。俺たちはたまにサッカーボールを入れてしまう。別にここにいたメンバーはサッカー部に入っていたわけではない。たまに外に出てしまうのは必然的だった。


「えー、誰いく。あの長い話もう聞きたくないで」


俺も、俺もと心の中で同調する。別に声を出す必要はなかったからだ。だってどうせじゃんけんで決まるのだから。


「じゃあ、いつも通りじゃんけんでいいか?」


友達がそう言った時、急に大粒の雨が降ってきた。夕立か。空は晴れていて、夕陽がさしている。呆気に取られていると、俺は友達に掴まれてどこかへ連れて行かれた。


「濡れるってばよ」


俺たちは一時的に雨宿りをした。ドーム型の遊具の中に入ってしばし雑談をしていた。


しばらくして雨が止んだあと、俺たちは綺麗な虹を見ながらあることを思い出す。


「ボールってどこやったっけ?」


おばちゃんのところやな。


「よおし、じゃんけんぽん」


俺は不意打ちを仕掛ける。もちろん不意打ちをしたからには出す手は決まっている。


「パー」


ふう、勝ったな。俺はみんなの手を見て驚愕する。全員ちょき!?俺の癖は最初にパーを出すこと。そろそろバレていたか。


「仕方ない、行ってやるよ」


俺は草むらを抜け、ボールを探しに行く。案の定、縁側に座ってお茶を嗜んでいるおばちゃんの横にボールはあった。


「今日もこれかね?まあ、一つ私の話を聞いていってくださいな」


今日もか、憂鬱だな。そんなことを考えていると、風船を持った少女がやってきた。


「おばちゃん、今日も昔話をしてくれるの?」


このおばちゃんの昔話が好きなんて、まだまだ子供だな。この人の昔話は嘘ばっかりだ。でっちあげて、俺たちを騙そうとしている。


「今日はねえ、浦島太郎の話をしようかね」


『昔々、浦島太郎は海で亀を釣り上げました』


そんな話を聞いた覚えはない。やはり、でたらめを言っている。


そのまま話は続いていき、少女はずっと関心しながら聞いていた。


『これにでお終い』


ふう、やっと終わったか。少女は拍手をしようとした。


すると、手に持っていた風船を離してしまって宙に浮く。気づいた時にはもう三mを超えていた。


「あー、私の風船!」


彼女は急に泣き出してしまった。俺は瞬時に足に手を置く。


『飛翔』


俺は靴を押す。あれ?発動しない。こんなことは人生で一度もなかった。


「なんでだ?なんでだ?」


何回も押す。押しても押しても発動しない。俺は途中で意識が途絶えた。


「ここは……病院?」


白い天井に点滴もあった。俺はベッドの上で寝かされているようで身動きが取れなかった。


「あらあ、起きたのね。おはよう、イノくん」


あ、この人が俺の担当なのか。おばちゃんやんか。


「私はカーラ・サルマットよ。よろしくね」


足が動かない。感覚がない。下半身が存在しないみたいだ。


「足が麻痺してるわね、これは一生動かないかもしれないわよ?」


は?は?


俺は頭の中が真っ白になった。俺の人生だったバスケはどうなるんだ?動けなくなれば生活もままならないぞ!


「うそ……ですよね?」


体の震えが止まらない。脱力感に倦怠感、一気に疲れが押し寄せてくる。


「うーん、リハビリを繰り返せば可能性はあるけど。可能性は低いねえ」


――


俺は全てを思い出した。看護師さんの名前がカーラとシーナの名前が同じだったこととかを。


てか、なぜシェールはこのことを知ってるんだ?


「でも、そのあと足は動くようになった。なぜだか考えたことはある?」


そこまで知っているのか。よく考えたら、俺は医者に君の足が動くことは今後ないだろうと言われた。


「ないや、だってそんなことを考える子供じゃなかったし」


「飛翔が原因なのは、わかってたんか?」


んー、どうだろう。記憶の混濁があって、重要なところに悉く白いインクがついていて消されている。


「覚えて……ない」


俺は必死に思い出そうとする。看護師とのストーリーを。でも、わかることは少ない。


「それなら、私が説明してあげよう」


俺がわからないことを知っている?もしかして、裏切り者なんかではなく、親の差金なのか?


「それで記憶が戻ればいいんだけど」


「まずは、現状の確認をしよう。君の足は今動くかい?下半身は使えるかい?」


いや、使えない。よく考えれば、昔の感覚が戻ってきた気がする。腕だけで生活する絶望を受けたころを。


「それが昔も起きたねん、まあ少し待ってみようか。この話をする前に」


「なぜ待つ?俺は早く貴様の話が聞きたいんだ!」


待ってなんかられない。過去の記憶を取り戻すためにも。


「いや少し落ち着きなはれ、あと十秒だから」


ん?なんだろう。急に足の方に感覚が戻ってきた。


「君の怪我は今、完治したんだよ。原理はわからんけどな」


何がどうなっている?もし、今ので完治しているならば昔の俺は入院することになんてならなかったはずだ。


「一体なぜ……俺は入院したんだ?」


これの質問は素で出た。


「それはわからない。この治療法の原理がわからない以上、私からは何も言えん。医者でもなんでもないから」


一体……俺が入院した理由はなんだ?わからない。


記憶の欠損もあるし、早く、思い出さないと……

読んでいただきありがとうございます。


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