第十五話 日本編 カーラ奪還作戦 シェール単独行動
さて、それで俺たちはどっちへ進むのが正解なんだ?右にはシェールはいなかった。それはただただ、先に進んでいるだけなのかもしれない。
「あれ、なに?なんか紙が落ちてるよ」
ほんとだ、あれは俺が使ってたメモと一緒のやつだ。でも、なんでこんなところに落ちてるんだろう。
「これはシェールの罠の可能性がある。一旦近づかないようにしよう。頼むから俺の指示に従ってくれ」
俺は遠くからメモを覗くようにして読んでみようとした。読めたのは多分半分程度、全容は明らかにできなかった。
「右側をいけばゴールがある。左側は……これ以上は読めないや」
「じゃあちゃんと確認すればいいでしょ?こんな紙切れに何があるっていうの?」
言われてみれば確かに。少し警戒しすぎていたみたいだ。紙切れが罠になったらそれはもう、本当に俺たちを殺しにきてる。
「左側は罠ばっかりだよ。注意、右側に罠がないとは言ってないよ‼︎って書いてるね」
どちらを選んだとしてもダメな気がしてきた。シェールは嘘をついたことがあるか?この議題を頭の中に浮かべる。結論はこうなった。嘘をついている可能性がある。
「左側へ行こう、シェールは嘘をついている。俺の勝手な判断なんだけど許してほしい」
「まあ、いいわ。これで罠にかかれば全てイノが責任をとってくれるもんね」
そういうことになってしまうよな。俺がこんな発言をした以上は。それでも俺はやっぱり嘘だと思った。だから、道を戻り左へと足を踏み出した。
「何この雑音?」
急に右耳だけにノイズが聞こえてきた。俺はすぐには理解できなかった。
「私は何も聞こえないよ?ほんとに何か聞こえる?」
俺はノイズがなくなった後に、聞こえたことをそっくりそのまま復唱する。
「左はほんまにやめといて。私は右に行ったから、今生きてる。信用できんやろうけどさ」
そういえば俺は右耳にスピーカーをつけていたんだった。え?じゃあもしかして俺たち二人の会話もカメラで聞こえてたんじゃ……じゃあ、二人になる理由なんてなかったじゃないか。
「なるほどねえ、ここまでに難しい二択だとは思わなかったよ。でも、解決策はあるにはある」
解決策をこんなにもすぐ思いつくなんて、今日のマルは冴えてるな。
「私たちがこのまま進んで罠が一つでもあれば引き返せばいい。右も同様に。そしたら、ある程度の状況がわかるはず。それで死んだら元も子もないけど」
確かにな、それである程度は嘘か真かを判断できる。ん、まだ続きがあるのか?しかも急に人が変わったぞ。
「僕たちは今さっきシェールに助けられた。警備員に捕まってたところを救ってくれたんねん」
俺はまたしても復唱してマルに聞こえるようにする。
「僕たちって誰?」
声の主、ジョナサン・フルマティックに誰がそこにいるかを聞く。
「今はね、僕とシェールとシーナがいるで。ワトソンはお留守番しているらしい」
もしかして、彼らを助けるために先に行ったのか?だとしたら、俺に連絡を入れるか。いや、もしくは黙っていたということも考えられるな。今日は俺の頭もよく回転している。これも推理小説をよく読んでいたおかげかな?
「了解、じゃあ引き続きカーラの奪還作戦を遂行してくれ」
俺は会話の後、スピーカーをとって指で潰した。あと、まとわりついたカメラはシェールがおじさんになったことによって消えていることに気づいた。つまり、シェールは僕たちの情報を得ることはできなくなった。
「一つ俺は仮説を立ててみたんだ。もし、右側に紙を置いて左側へと進路を変えたとしたら。もしこれを実行できたならば、紙はもともと置いてあったという結論にするしかなくなるんだ」
はなから左へ行った可能性はない。だってそこまでは俺たちが見てるから。つまり、右側にしか行っていない。いつだって俺の記憶は頼りになる。特におばあちゃんには。
『もし、答えがわからなくなったら自分ならどうするかを考えるんだ。そうすれば自ずと答えは見えてくる』
これを元に自分で実験をした結果今の結論に至った。
「さあ、右の道へと戻ろう。あいつらも無事みたいだしね」
「わかった、戻ろっか。ここを出たら近くにジョナたちがいるだろうしね」
そうだ、四対一ともなればあいつの行動も制限することができる。しかも、あいつらといるってことはここを脱出しているということだ。
「早く行こう。罠はないだろうし」
もしあったとしてもシェールが突破してるなら俺たちも突破できるだろう。
俺たちは右の通路へと辿り着いた。焦りながら歩くと自ずと早歩きになってしまう。
「もしもーし、そろそろ罠にかかりそうだから連絡したよー」
左耳、だと!?しかも、俺たちの位置を把握しているとは。
「誰だ!」
俺は怒号を鳴らす。マルは困惑した様子を見せる。
「私だよ、私。シェールだよお。忘れちゃったの?」
いやお前がシェールなのはわかっていたさ。だとして、なんで声が聞こえるんだ?俺はスピーカーを取り除いたはずだ。
「今まではずっと右耳だけに接続してたんだよ。左耳は君が気絶してる間に取り付けたで」
こいつはたとえ味方だったとしても警戒しないといけない存在だ。
俺たちの会話と映像は常に残ってる。俺はこのことを心に留めた。
おばあちゃんにも助けてもらってばっかりだ。いつか恩返しをしよう。
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