第十二話 日本編 カーラ奪還作戦 続・第二の罠
「さあ、今からはこの二人で罠を突破しよう」
カメラが人型になり、シェールとは別の誰かが光と共に出現する。
「マルはまだ動けないんだよね?このまま起きないとかないよね?」
俺は心配をするが、シェールは全く心配していていなかった。
「大丈夫やで、眠ってるだけやからさ」
まじめに一つやめてほしいことがある。
「その見た目で女の子の声出さんといてくれへん?笑」
俺は吹き出しそうになるのを抑えながら、そっぽを向く。
「この見た目の何がだめなのさ。今は全様性の時代。全てが受け入れられている時代なんやで?」
いやまあ、そうなんだけど……
「集中できないし、元のシェールの姿を知ってしまってるからさ」
「でもこの姿は変えれんで?しかもこれ私がデザインしたやつやし」
うわ……すごい趣味やな。見た目とは裏腹にって言葉がよく似合う。
「お前……そんな趣味あったんか……」
俺は少しシェールと距離をおこうと思ったりもした。けど、俺一人ではどうしようもない。
「まあこれは致し方がないことや。気にすんな」
そうとは言われたものの、俺の中では拭い切れない違和感があった。
「次の罠がわかった。ほれよ」
俺に渡してきたのは耳栓だった。一体どんな意図でこれを?
「ここまでに君たちが喰らった罠は二つ。目と鼻への攻撃や」
ピースのポーズをして俺に説明してくる。おじさんが。
「次は口か、耳……」
「ザッツライト!」
だから耳栓をしろというわけか。でも二択なら口もどうにかしないと。
「はっきり言ってこの罠で死ぬことはない!この私が言ってるんやから間違いない‼︎」
じゃあ耳栓もしないでいいんじゃないのか?だって死ぬことはないって言ってたし……
「私は君の心が読めるんだ。きっと君は今、耳栓がいらないって思ったやろ?あ、ちなみにさっきは顔に出てたで」
ダニ!?一体どういうこだ……なぜバレた?
「なぜ……わかったんだ?俺はお前が未来予知できることしかしらないぞ。心を読めるなんて初耳だぞ。あの四字熟語は俺のミスだもんな?」
「フフフ」
彼女は何かを隠すように素敵な笑みを浮かべる。ただ、目は笑っていなかった。
「でもね、もうズレてるんだよ。君が何を言うか分かった時点で……」
なに……言ってるんだ?こいつ。急に人格が変わっような気がする。多重人格なのか?それにしても一体、何がズレたんだ。この会話の中に絶対にヒントが隠されてる。注意して聞かないと。
「ちなみに、耳栓しなくていいの?まあそうだよね。私が毒をそれに塗ったりしてる可能性もあるもんね」
さっきからずっと微笑んでいる。ただ視線はずっと俺からブレない。体の中の芯を凝視されている気がする。動けば死ぬとまで感じるほどの目力だ。
「そろそろ、つけようかな?流石に罠もきそうだし」
「フフフ、もう遅いよ。君の耳は今からやられるよ」
シェールは急に俺の体に接近する。そして、俺は意識を失った。
「おはよう、よく眠れた?」
ん、誰だお前は?おじさんなのに女声?にしても、声が聞こえづらいな。
「ここはどこ?あなたは誰?」
あ、シェールか。俺は少しずつ記憶が戻ってくる。耳栓!?いや、でも俺はつけてなくて倒れたはずじゃ……
「すごいのね、本当に。ちなみに、次の罠がもうすぐくるで」
俺はとりあえず耳栓を外す。絶対につけてなかったのにな……
「え!?マル!まだ起きてないの?」
俺が眠っていたのはせいぜい三〇分程度。となると、それ以上気絶している可能性がある。
「心配しないでいいんやで。ぐーすかイビキをかいてるでしょ?」
確かに言われてみれば、ただ寝てるだけか。
「じゃあ、このままでいいのか?」
正直な話、俺は起こして一緒に罠を突破したいし、このまま寝てたら余計足手纏いになりかねない。
「まあ、この罠をクリアしたら一時的にここは安全になるらしいから。最後は口、なにがくるんやろね」
いーや?口はもう終わったんじゃないか?一回寝て起きた頭でよく考え直す。さっきは耳と口が残ってると言った。
「確かさ、鼻の罠がきた時……あれは口に入ったとしても俺たちは眠ったんじゃないのか?」
「それは確かにそうね。つまり罠はもうない可能性が……いや、でもあの地図には罠は合計四ヶ所と書かれてあったわ」
今までの罠を整理すると、唐辛子と睡眠するやつと耳を攻撃するやつか。
「じゃあ、もう一つあるってわけだよな?」
四ヶ所か、なんだろう。何かが引っ掛かる。なんで四個って書かないんだろう。しかもここは閉鎖空間。ヶ所と示す必要なんてないんじゃないのか?
「いや、もう罠はない。ただ別の罠に私たちはかかっている可能性がある。それはこんなちっぽけなものではなく、もっと大きな罠に……」
急な切り替えに俺は驚く。さっきまでは罠があると言っていたのにに、キッパリと言い切ってしまった。罠はないと。
「なんで断言できる?あと、別の大きな罠ってなんだ?教えてくれよ」
「今は、教えることはできない。時が来たら全員に伝えるつもりだ」
今の発言を俺は信じることができなかった。嘘だったらどうしよう、そんな気持ちが芽生えてきた。
「じゃあ、ゆびきりしようよ。そのくらいしないと君の信用を得れない」
俺は小指を差し出す。そして、ゆびきりを始める。
「ゆびきりげんまん嘘ついたら俺が君のことを殺す」
今の俺にそんな力ははっきり言ってない。だからこその脅しだ。ここまで念を入れると、言わざるを得なくなるはず。いくら、俺が弱く立って凶器があれば優位に立てる。そのくらい彼女も知ってるだろうから。
「なかなか物騒なことを言うね。まあいいよ、それでも。私は嘘なんてつかんから」
あれ?急に俺の脳に情報が入り込んでくる。そして、その情報が脳内で再生される。しかも主観映像で。
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