050 大事な気付き
「あややー……」
まさか、僕が操縦したら百体使っても一体のオークも倒せないなんて……。
でも、僕は前世でもケンカをしたことないし、もちろん武器を使った戦闘なんてやったことがない。
このオークたちは特別強者みたいだし、この結果はむしろ当たり前なのかもしれない。
でも、やっぱり悔しいなぁ……。
僕には戦闘のセンスはないのだろうか?
まぁ、これも地道に修行するしかないかな。
少しずつコツも掴めてきたから、まったくセンスがないわけじゃないと思いたいところだ。
そんなわけで、またオークたちに挑戦するために百体のストーンゴーレムを復活させたところだ。
すると、オークたちがまるで怒ったように叫び出した。
そんな部下の様子を見ても、リーダーっぽいフルプレートのオークは愕然とした様子でただただ立ち尽くしている。
どうしたんだろう?
ああ、倒したと思ったら復活したから怒ってるのかな?
僕も同じような経験をしたからなんとなく気持ちがわかるよ。
ラスボスを倒したと思ったら、変身して復活するんだよね。
まぁ、僕にとってはもうお約束みたいな感じだけど、きっとこのオークたちにとっては初めての経験なのだろう。
それは怒るのも虚無になっちゃうのもわかるなぁ。
でも、ストーンゴーレムたちは復活したけど、変身して強くなったわけじゃないから許してほしい。
まぁ、許してくれなくてもいいんだけどさ。
やることは変わらないしね。
僕がストーンゴーレムを一体進ませると、呆然としていたフルプレートのオークが、魂を取り戻したように叫ぶ。
きっと部下のオークたちを冷静にしたいのだろう。
部下オークたちは、ブツブツ言いながらも、再び武器を構える。
「うー?」
普通なら、また百体のストーンゴーレムを倒しても、また復活するってわかるよね?
それに対するオークたちは、もう限界が近いように思う。
たぶん、このオークたちは、負けることはわかっているだろうに、それでも戦意を保てるのはなんでだろう?
しかも、一体のオークだけじゃない。七体のオーク、そしてゴブリンの全員がまだ諦めていない。
正直に言えば、僕が自分のゴーレム操作技術の向上のために一体ずつストーンゴーレムを投入しているのであって、全ストーンゴーレムを投入したら、一秒もかからずに制圧できるだろう。
そして、そのことは僕よりも戦いに詳しいオークたちもわかっているはず。
それでもなお、抗い続けるのはなぜだろう?
そんなことを思いながら、僕はオークたちが落ち着くのを待ってからゴーレムを操る。
ストーンゴーレムは両腕にハルバードを装備している。
たぶん、このまま上半身を高速回転させるゴーレムハリケーン(僕命名)をすれば、意表をついて二、三体はオークを倒せるだろう。
でも、それは僕の向上させたいゴーレムの操縦技術じゃない。
もっと、基礎的な操縦技術、戦闘技術を学びたい。
それには、人間よりもゴーレムに背格好が似ているオークの技術を盗むのが早道だと思ったのだ。
「ん?」
今、わりと大事なことを言った気がする。
そうか! 僕がゴーレムを操縦しにくいなと思ったのは、人間と構造が違いすぎるからだ!
僕は前世でも人間だったから、どうしても咄嗟に人間の動きをしてしまう。それは、一瞬の判断が生死を分ける戦闘では顕著だ。
でも、人間にとっての最適な行動と、ゴーレムのそれでは差異があって当然だ。
たぶん、ストーンゴーレムを削って人間の形にすれば、少しは操縦しやすくなるだろう。
でもなぁ。それだとゴーレムの長所である耐久力を捨てることになる。
あちらを立てればこちらが立たず。
なかなか難しいね?
「うゆ?」
ゴーレムを削る……? 人間の形にする……?
それってもはやストーンゴーレムとは言えない別種のゴーレムだ。
そして、僕はそれを問題なく創ることができるし、動かすこともできるだろう。
「およよ?」
これって大発見なのでは?
だって、僕が今まで創ってきたゴーレムは、すべて前世にやったゲームである『ガード・ゴーレム』に登場したゴーレムだ。僕はそれを再現しているだけにすぎない。
でも、もしかしたら僕は、『ガード・ゴーレム』に登場しなかった、それこそ僕オリジナルのゴーレムを創れるということではないだろうか?
これは、すぐにでも実験したい。
でも、あんまりオークたちを待たせるのもかわいそうだね。先にこちらを優先しよう。
今の僕はゴーレムだ。人間じゃない。
そう自分に言い聞かせて、僕はストーンゴーレムを進ませた。
すると、オークはもう僕が今までに何度も見てきた動きで、僕を攪乱しようとする。
オークたちの連携の厄介なところは、同じ動きでスタートしても、そこから動きがいくつも分岐するところだ。
だから、今回はどの連携でくるのかと見定めようと思っていた。
でも、それがよくなかったんだね。
今の僕は人間じゃない。ゴーレムだ。
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