047 オークの砦攻略へ
でも、僕は一発であの踊り場を狙い撃ちするのには自信がなかった。
昔、映画で見たけど大砲を打つ時は、事前に入念な難しい計算をした上で大砲のセッティングをして撃つものらしい。
もしかしたら、キャノンゴーレムも入念な計算とセッティングをした上で放てば、狙い通り踊り場を粉砕できるかもしれない。
でも、僕はそもそもその計算式なんて知らないし、知っていたとしても、暗算できる自信がない。
だから、今回はキャノンゴーレムではなく、ストーンショットゴーレムの出番だ。
ストーンショットゴーレムならば、弾を撃ちながら、実際にどこに着弾したかを見ながら、調整できる。今回のような複数の獲物を狙う時に最適の選択だと思う。
ということで、さっそく発射だ!
「あいあー!」
次の瞬間、ドドドドドドドドッとまるで地響きのような音を響かせて、ストーンショットゴーレムが、その右腕からマシンガンのように石の弾が発射される。
発射された石の弾は、狙いを外れて、踊り場の下を穿ち始めた。
うーん……。弾って案外まっすぐに飛ばないものだね。予想よりもかなり下にズレてしまった。
その結果を受けて、僕は今度は踊り場のかなり上の方を狙って石の弾を放つ。
ドドドドドドドドッと再びマシンガンのように発射される石の弾。
今度は上過ぎたのか、石の弾は踊り場の上の砦の壁を穿ち始めた。
うーん……。遠くの敵を狙うのはなかなか難しいね。
でも、今回はこれよしとしておこう。
僕は砦の壁にめり込んだ石の弾を起点にストーンゴーレムができるのを確認すると、その視界を注視する。
石でできた砦は、僕に言わせれば無限にゴーレムを創り出せる素材でしかない。
僕の前では、防壁も城壁も、砦やお城でさえも意味をなさないだろう。
そんなことを考えている間にもストーンゴーレムが完成し、眼下に目的であるゴブリンたちを視界に収めた。
その瞬間にストーンゴーレムは砦の壁から飛び降り、二匹のゴブリンを踏み潰した。そのままストーンゴーレムは右足で踊り場のゴブリンたちを蹴り飛ばす。
蹴り飛ばされたゴブリンたちは、ミンチのように潰れて踊り場から落ちていった。
踊り場の下では、オークが犇めき合うように陣形を組んでいた。城門から敵の侵入に備えていた。城門の入ってすぐの所には深い穴が掘られており、トラップまで用意されているようだ。
そんなオークたちの上に、ミンチになったゴブリンが降り注ぐ。
それがゴブリンだったものとわかったのだろうか。恐怖したような悲鳴が響き渡り、オークの軍隊も混乱したようにざわざわする。
そんなところに飛び込むのが、さっき生まれたばかりのストーンゴーレムである。
ズシンッと数体のオークを踏み潰し、敷かれていた石畳を割って上空から登場するストーンゴーレム。
そして、ストーンゴーレムは竜巻、いや、まるでミキサーのようにぐるぐる両腕を伸ばして回り始めた。
密集陣形を取っていたオークたちは、たちまち赤と白の肉片と化す。
予想外の奇襲に大混乱となるオーク軍。
しかし、オークたちの悪夢はまだ終わらない。
まるで城壁を透過するように現れるストーンゴーレムたちにオークたちのパニックは加速する。
ストーンゴーレムたちにとって、石を積み上げて作った城壁など、石を吸収して巨大化するもよし、欠けた体を修復してもよしの素材でしかない。
ストーンゴーレムたちにとって、石の壁など妨害にも障害にもならないのだ。
現れたストーンゴーレムたちがまるで砦の壁にオークの軍勢を圧し潰すように進軍を開始する。
徐々に追い込まれるオークの軍勢。今さら砦の中に入るには砦の入口を通らなくてはいけないのだが、そこが狭すぎる。
たぶん、砦に侵入してくる敵軍の数を絞ろうとわざと砦の入口を小さくしたのだろうけど、それが完全に状況を悪化させていた。
逃げ場を失くし、発狂したようにストーンゴーレムの壁を攻撃するオークたち。
しかし、いかにオークの怪力で鉄製のハルバードを使っても、ストーンゴーレムの表面を削るのが精いっぱいのようだ。
それに、ストーンゴーレムたちもただ進んでいるわけじゃない。
無限に左右のパンチを繰り出して、オークたちをひき肉に変えながら進撃している。
そんなオークやゴーレムたちの足元では、緑色の小人がオークたちとゴーレムたちの間を縫うように逃げ出そうとしていた。
しかし、ゴーレムたちの輪は三重、四重とどんどん層を増し、逃げ出そうとするゴブリンたちを無慈悲に踏み潰していく。
そして、ついにストーンゴーレムの拳がすべてのオークをミンチに変えた。
返り血に真っ赤に染まったストーンゴーレム。その足元にはオークやゴブリンだったものが散乱している。
画面越しでもひどい光景なんだ。たぶん、現場はもっと陰惨で、ひどい臭いだろう。
「あう……」
掃除が大変そうだね……。
「クラークー。お昼ご飯ですよー。みんなで広場に食べに行きましょう」
お母さんの涼やかな声が僕の耳を打つ。
もうお昼か……。
なんだか、今日はお肉は食べたくないなぁ……。
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