043 攻略開始
僕たち家族はずっと一緒にいる。
家族みんなで誓いを立てた翌日。その日、僕はある決断をした。
そうだ、オークの街を襲おう。
もうオークの街の場所を知っているし、あとは僕の決断を待っている状態だった。
僕がオークの街を襲う理由。それはいくつもある。
まず一つ目、ゴーレムたちのレベルアップ。これは僕の持つ戦力に直結する重要なことだ。
この世界は弱肉強食。強い者が食い、弱い者は食べられないように逃げるしかない。
でも、逃げることができたらいい方で、逃げることもできない可能性もある。
そんな時、少しでも勝率を上げる。もしくは逃げる時間を稼ぐ。
そのためにも僕の手足となるゴーレムの育成は急務だ。僕はまだ自分では何もできない赤ちゃんだからね。
そして二つ目、それは驚異の排除という点もある。
オークの街とここランドール村の間には森があるし、決して近いとは言えない。
でも、オークは森を超えて襲撃してくる存在だ。それは村を破壊されて難民になってしまった人がいることからも明らかである。
そんな危ないオークたちを見過ごすことはできない。可能ならば根絶やしにしたいくらいだ。
だから、処分する。
大人のオークはもちろん、子どものオークも逃すつもりはないし、一緒に住んでいるらしいゴブリンもそれは同様だ。
僕としても幼い命を奪うことに抵抗を感じないわけではない。
でも、見逃した子どもが将来人を襲うかもしれない。そういう禍根を断つ意味でも、情を見せてはいけないのだ。
やるなら徹底的に、である。
そして、オークの街を襲うべき三つ目の理由。
それは、自由にできる拠点が欲しいからだ。
オークの兵隊は金属製のハルバードを持っていた。つまり、オークには製鉄技術がある。もしくは、ハルバードを手に入れられるだけの対価を用意できるということだ。
言い方は悪いけど、オークの街は物資の塊なのだ。
もしかしたら、新たなゴーレムが創れるようになるかもしれない。たぶん、石材にはしばらく困らないほど大量に手に入れることができるだろう。
実は今、この石材がめちゃくちゃ欲しいんだよね。
その理由は、昨日やってきた役人にある。
正直に言うと、僕は辺境伯という人物にいい感情を持っていない。そんな人が派遣した役人たちも同様だ。
そんな役人がランドール村を視察していた。
お父さんたちは、辺境伯の狙いは僕だと言っていたけど、もしかしたら、辺境伯はこの発展したランドール村を欲しがる可能性があると思ったのだ。
お父さんは、辺境伯に命令されたら、断ることは難しいと言っていた。
さすがに僕の替えはないけど、村の替えならば作ることが可能だ。
まぁ、すべては僕の憶測だけど、辺境伯は必ず何かを仕掛けてくる。できる限り備えておくのは重要だと思う。
まぁ、オークの村を襲う理由はこんなところかな?
十分だね?
では、襲おう。
「あいいー!」
僕は両親の寝室のベッドの上で右の拳を突き上げる。
頭の中では、もう百どころじゃないゴーレムの視界情報が浮かんでいる。その中から『オークの街殴り込み部隊』に作戦開始を命じる。
その途端、オークの街が見える森から百を超えるキャバリエゴーレムが、オークの街目がけて疾走する。
キャバリエゴーレムの姿を見て森から逃げ出すオークやゴブリンたちを抜き去り、キャバリエゴーレムはオークの街の門へと殺到する。
だが次の瞬間、オークの街の門はバタンッと落ちて閉まってしまった。
でも、僕もそうなることは想定済みである。
「あいあー!」
だから、キャバリエゴーレムたちに次の命令を送った。
その途端、キャバリエゴーレムたちが疾走する勢いのまま、手に持っていた石を遠投する。
投げられた石は、高く高く遠くへ飛んでいき、オークの街を囲う防壁を超えていく。
石が石畳に叩き付けられた瞬間、そこにはストーンゴーレムの姿があった。
実は、都市の中に着弾した百を超える石は、すべてゴーレムの核になる僕の魔力の籠った石だ。それらがすべて周囲の石畳の石材を飲み込み、ストーンゴーレムになった。
ストーンゴーレムの視界には、パニックになったオークやゴブリンの姿の他に、ハルバードを持ったオークが立ち向かってくるのが見えた。
僕が生み出したストーンゴーレム。そのほとんどがレベル一である。
だが――――!
「いえー!」
僕が指示を出すと同時に、百を超えるストーンゴーレムたちがオークの街の中を蹂躙し始めた。
アイアンゴーレムを斬ったオークもいたから警戒していたけど、オークたちはストーンゴーレムすら倒せないようで、一方的な殺戮が始まった。
たしかに、オークの腕力で鉄のハルバードを叩きつけたら、ストーンゴーレムも欠けるかもしれない。
でも、そんなものはすぐに直せるし、ダメージにすらないんだ。
「あぅー……」
なんだかかわいそうになる光景だなぁ。
やっぱり、弱いって罪なんだ。
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