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041 役人がやってきた

 その日。なんだか馬に乗った偉そうな人たちが来た。お揃いの黒い服を着た十人ほどの集団だ。


「クラーク、おいで」

「あい!」


 その集団を見た瞬間、おばあちゃんが僕を抱えてお屋敷の中に小走りで、まるで隠れるように移動した。


 怖い人たちなのかな? 人買いとか?


 たしかに、僕はそれなりの力を持っているかもしれない。でも、一応貴族の子どもである僕を買うというのはできるのだろうか?


 でもなぁ。あの偉そうな人たちはお父さんやお母さん、おばあちゃんよりいい服を着ていた。実際にお父さんよりも偉いのかもしれない。


 そうなったら、どうなるんだろう?


 僕ってもしかして、売られちゃうのだろうか?


 そんなことを思っていると、おばあちゃんが僕を両親の寝室へと抱いてきて、ベッドの上に寝かしてくれる。


「クラーク、残念だけど今日の散歩はなしだよ。ちょっと嫌な奴らが来てるからね」

「うー?」

「辺境伯のとこの役人さ。税の取り立てでもないのに来るなんて、絶対に厄介事だよお」


 首を傾げたら、おばあちゃんが渋い顔をしながら教えてくれる。


 辺境伯……。たしか、このあたりの土地の代表みたいな人だよね?


 辺境伯に税を納めるのは仕方ないかもしれない。でも、今村に来ている人の中には、故郷の村を失った人たちもいる。そういった人たちを守るのが辺境伯の仕事なのに。


 おばあちゃんの渋い顔を見れば、おばあちゃんも辺境伯にはいい感情を持っていないことがわかる。


 そういえば、前にお父さんが辺境伯に領土拡大のための資金を融通してもらおうと思ったら、却下されたって言ってたっけ。


 お父さんたちは辺境伯の悪い癖が出たと言っていたけど……。


 もしかしたら、辺境伯が今さらになって資金を出してくれるとか?


 ランドール村は難民も受け入れているわけだし、その難民の状況を確認したり、資金を持ってきてくれたのかもしれない。


 でも、おばあちゃんの顔を見ていると、その可能性は低そうだなぁ。


 なんだか、あの辺境伯の役人たちの動向が気になってきた。


 この村の中には小っちゃいゴーレムがたくさん配置している。彼らの動向を探ってみよう。


 僕は村に配置したゴーレムたちの視界を借りて、役人たちの動きを追うことにした。


 役人たちはランドール村に入ると、まずその大きさに驚いているようだった。


 まぁ、何度も拡大工事をしたからね。役人たちの記憶にあるランドール村よりもかなり広くなっているはずだ。


 今も難民を受け入れるために拡大して、建設ラッシュの最中だしね。


 きっと誰かが教えたのだろう。少し経つと、村の奥からお父さんとお母さんが現れた。二人とも敢えてゆっくり歩いているのがわかる速さだ。その顔は見たことないくらい硬くて真剣なものだった。


 僕のお父さんは男爵という貴族らしい。僕にはよくわからないけど、たぶん偉いのだろう。お父さんたちの姿を見て、役人たちはやっと馬から降りた。


 お父さんが見た目上は歓迎してるように振る舞っている。


 そして、役人たちを屋敷の中に誘った。役人の代表なのだろう。三人の役人がお父さんたちの後を追うように屋敷に入ると、彼らは応接間に案内された。


 応接間には、小っちゃいゴーレムが飾られている。村の大事なことは応接間で決まることが多いからね。あらかじめ置いておいたんだ。


 そのゴーレムの視界を借りて、僕は応接間のお父さんとお母さんと役人たちの会話を聞くことに成功する。


「急な訪問申し訳ありません、ランドール男爵」

「かまわない。こちらこそ、見ての通り忙しいのでな。ロクなもてなしもできずに悪いな」

「お気になさらず」


 そう言って笑みを浮かべる役人の中心人物。


「今回、我々が派遣されたのは、拡大工事に踏み切ったランドール村の様子を視察することです。今日中にお暇する予定ですので、本当にお気になさらずとも大丈夫です」

「そうか……。しかし、視察と言うが、その目的は何だ?」


 お父さんが問い詰めるように言うと、役人は困ったような表情を浮かべて口を開く。


「我々はあくまで視察のために派遣されただけでして……。その後のことはわかりかねます」

「ふむ……」

「それで、ですが、ランドール男爵のご子息にお会いしたいのですが、可能でしょうか?」


 その時、お父さんとお母さんの顔から表情が消えたのがわかった。


「なぜ、息子に会いたいと?」

「辺境伯がランドール男爵のご子息に興味を持っていらっしゃるようでして。なんでも、村の拡大にも貢献したギフテッドだとか……」


 僕……?


 たしかに、村の拡大にはかなり働いた記憶はある。壁ゴーレムがいなければ、村の拡大はここまでスムーズに進まなかっただろう。その自覚はあるつもりだ。


 でも、辺境伯が僕に興味を持っているのは初耳である。


 興味と言ってもいろんな種類があると思うのだけど、いったいどの程度の興味なのだろう?


「……息子はこの時間眠っている。まだ一歳の赤ん坊だからな。寝るのが仕事だ。そうだろう?」


 そう固い声で返すお父さん。


「そうですか。残念ですが、仕方がありません。辺境伯にはそう伝えさせていただきます」


 それに対して、役人は頷くのだった。

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