040 襲撃計画
炊き出しをしているケリーたちに手を振って、僕とおばあちゃんは村の工事現場の最前線を見学した。
村人たちに指示を出しているお父さん、みんなの怪我を治しているお母さん。そして、五百人は超える人々が工事に従事していた。もちろん、僕のクレイゴーレムも五体貸し出している。
クレイゴーレムたちは、まだレベル一だから動きは鈍いけど力持ちだからね。重機みたいに使われているようだ。人型だし、意外と器用だから重宝されているらしい。
お父さんとお母さんに挨拶した後に向かったのは、鍛冶屋だった。どうやら釘などを作るのに鉄が不足しているらしい。
倒したオークの軍隊が持っていたハルバードを持ってくれば済む話なのだけど、運ぶのに時間がかかる。それに、出所を訊かれても困ってしまう。
僕は以前のように砂鉄を集めてアイアンゴーレムを創ると、鍛冶屋の大将に渡してきた。すごく感謝されたよ!
その後は、新しい中庭にみんなで集まって昼食を食べた。
今日の炊き出しは、蒸かした芋と具だくさんのスープと言うシンプルなメニューだったよ。肉体仕事をしている人が多いから、みんなたくさん食べることを想定して、大量に作ってあるみたいだ。
ちなみに、僕のご飯は芋のポタージュだった。とろとろでおいしかったよ。
「綺麗に食べましたね、クラーク。偉いですよ」
「たーい!」
お母さんが僕の口の周りをハンカチで拭いてくれた。ちょっと恥ずかしい。
「たくさん食べて、大きく育つんだぞ!」
「スプーンも上手になったねえ」
「にへへ」
お父さんとあばあちゃんも僕の頭を撫でてくれる。
一生懸命スプーンを使って食べ終わったら、おばあちゃんに手を引かれてお屋敷まで歩く。
小さな体だと、その分足を動かさないといけないから大変だ。村が大きくなったのもあるけど、村を往復するだけでもかなり疲れてしまう。
「はあい、着いたよ。よくがんばったねえ」
「むふふふふふ!」
お屋敷の玄関に着くと、おばあちゃんに頭をよしよしされた。
「ちょっと休憩しようねえ」
その後、今日はおばあちゃんのお部屋に連れてこられて、今はおばあちゃんが使ってるベッドの上だ。
おばあちゃんと一緒にベッドの上で横になる。おばあちゃんの手が、僕のお腹をポンポンと優しい手つきで叩いていた。
「ほんにクラークはいい子だねえ」
「あーい!」
僕は、天井の木目を見るふりをしながら、フィギュアサイズのキャバリエゴーレムの視界を拝借していた。目的は、敵オークの街らしき要塞都市の観察だ。
バレないように森の影からこっそりと、都市の様子を窺っている。
遠目だから正確ではないけど、街を囲む防壁の高さは四メートルくらいだろうか。防壁の一角には大きな木の門があり、今は開けられている。
防壁で囲まれた中心には、大きな石造りの無骨な砦のようなものがある。
オークたちも昼食の時間なのか、白い煙がいくつも上がっていた。
大きな門には門番らしきハルバードを持ったオークが立っており、森を睥睨していた。ヤグラのようなものも建てられ、森からの襲撃を想定していることがわかる。
そんな門を時折通るのは、オークやゴブリンたちだ。森の中で薪を拾ったり、木を切り倒したりしている。
でも、そんな門を出たオークやゴブリンがなんだかビクビクしているのは僕のは気のせいだろうか?
もしかしたら、軍隊を壊滅させたゴーレムの存在を警戒しているのかもしれない。
しかし、木は木材になるし、燃料にもなる万能素材だ。その供給を途絶えさせたくないのだろう。警戒しながらもオークやゴブリンたちは木を運んでいる。
ゴブリンは体が小さいから薪を運ぶくらいしかできないけど、オークは違う。彼らは五、六体で一本の木を一気に運んでしまえるのだ。
見た限り、大きな砦だから必要な木材の数も多いだろうけど、なんだか必要以上に運んでいる気がする。
もしかしたら、ゴーレムの襲撃を予期して木を溜めているのかもしれない。
「んー?」
その時、僕は防壁の上を歩くオークの姿を見つけた。
オークの巨体が乗っても大丈夫なくらい立派な足場が内側に組まれているのか、それとも、防壁自体がそれだけ厚いのかはわからない。でも、かなり整備された設備を持っているみたいだ。
欲しいな。
正直、あれだけの数の石材を集めるのはかなり時間がかかる。そして、あれだけの石材があれば、もしかしたら、アレが創れてしまうかも!
そしたら、かなり楽になるぞ!
だったら、キャノンゴーレムで砦を消し飛ばすのも考え物だな。せっかく集まっている石材を散らばらしてしまうことになる。
できれば、そっくりそのまま砦の石材が欲しい。
「あい!」
だったら、やっぱり白兵戦で斬り込むしかないかな?
あの中にはたくさんのオークやゴブリンたちがいるだろうし、ゴーレムたちのレベルアップにもいいかもしれないね。
まさに一石二鳥だ! やるしかない!
「あうおー!」
「あんた、意外と寝言が多いんだねえ」
気合を入れて拳を突き上げたら、おばあちゃんに突っ込まれてしまった。
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