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039 ばあばと散歩②

「あーい!」


 オークの都市を発見した翌日。


 僕はおばあちゃんに手を引かれながら、日課である村の散歩をしていた。


「あ! 御子様だ!」

「もー! 指差したら失礼なんだから! おはようございます!」

「ごめんよー。おはようございます!」

「あーい!」


 村の子どもたちに手を振り返しながら、僕はよちよちと村の中をまるで巡回するぐるりと回っていく。


「ここがケリーの家だね。たしか、子どもが三人いたはずだけど、みんなトバイアスの街に行っちまって、暇になったからって家のメイドをしてくれるんだよ。まあ、その三人の子どもの内、二人は村に帰ってきたみたいだね。村が大きくなってずいぶん驚いていたと言っていたよ」

「おー」


 おばあちゃんは、たまに村のおじいちゃんおばあちゃんと広場で情報交換をしているらしい。なので、とても村のことに詳しいのだ。


 おばあちゃんの解説を聞きながら、僕たちはどんどん村の奥へと歩いていく。


 古くて味わいのある建物の間を抜け、元々村の最奥だった場所を過ぎると、途端に新しい建物が目立つようになる。


 周りの家も、どっしりとした造りの年代を重ねた家から、急いで造ったようなシンプルな新しい家々に変わる。


 その奥には、さらに新しい家を造るためにたくさんの人々やゴーレムが働いていた。


 今のランドール村も、相変わらず建設ラッシュが続いている。最小限の警備を置いて、男たちはみんな武器を壁ゴーレムに立てかけて、総出で家や倉庫を作っている状態だ。


 村をもう一段階大きくしたというのもあるし、一週間前には大量の難民を受け入れたからね。家を造るのは急務なのである。


 おばあちゃんの話では、寝る場所も足りなくて、倉庫で雑魚寝している人もいるようだ。


 そんな状態では、新しくやってきた人たちが、まともにご飯を作ることもできないだろう。


 そこで、ケリーが率先して新しく村の中央に作られた広場で炊き出しをしているらしい。


 とはいえ、その炊き出しも食材がなければできない。


 今は食料を確保するスピードより、村人が増えるスピードの方が早いくらいだ。


 そこはデニスが大活躍である。知り合いの行商人たちにも声をかけて、トバイアスから食料を荷馬車で運んでくれている。それにかかる費用は、ランドール男爵家が払う。


 つまり、僕だね。


 僕としてもお宝を死蔵するよりも村の発展のために使ってほしい。僕はまだしゃべれないけど、申し訳なさそうにするお父さんにそう身振り手振りで伝えたよ。


 そしたら、お父さんは僕を高い高いするだけには飽き足らず、ビュンッと上空に投げてスカイハイさせ始めた。


 お父さん? もちろん、その後お母さんとおばあちゃんに説教されていたよ。


 でも、僕としては空を飛んだようで気持ちよかったので、もっとやってほしいところだ。


 しゃべれるようになったら、ぜひまたやってもらおう。


「こいつをあっちに頼む!」

「あいよ!」

「先代奥様と御子様だ!」

「あの方があの壁をお造りになったんだ!」

「拝んどこう」

「ありがたや、ありがたや……」

「ランドール男爵家に栄光あれ!」


 新しい村の真ん中に作られた大きな広場に来ると、たくさんの人が忙しそうに行き交っていた。


 でも、僕たちの姿を見ると、いったん手を止めて、両手を組んで拝み始める。その中には、つい一週間前に村に来た人々も含まれていた。


 なんだか着々と僕を教祖にする宗教が広がってる気がするけど、気のせいだよね……? うん。そうに決まってるよ。


 僕は知らないんだからね!


 でも、おばあちゃんは動じることなく人々に手を振って返していた。


「ほら、クラークも手を振ってあげな」

「あい……」


 これでいいのかなぁ。そう思いながら、僕は彼らに手を振っていくのだった。


 それから向かったのは、広場の中央だ。


 そこには、十人ほどの女の人たちがいた。みんな忙しそうに作業している。昼食の炊き出しのためにがんばってくれているのである。


 一度に必要になる炊き出しの量はとんでもない。そのとんでもない量の料理をするのが、彼女たちである。


 その中にケリーの姿もあった。


「これはこれは。ようこそおいでくださいました、奥方様、クラーク様」


 女の人たちを代表して声をかけてくれたのは、ケリーだった。


「あい!」

「今日の昼食も期待しているよ」


 そう。家のメイドであるケリーも炊き出しに参加しているから、僕たちも炊き出しを貰いに来たのだ。


「すみません、私のわがままで皆様にご迷惑を……」

「なに気にしていないさ。食事は大勢の方が楽しいからね。クラークもそう思うだろ?」

「あい!」

「そう言っていただけると、助かります。昼食まで、あと半刻ほどですね。もう少しだけお待ちください」

「そうさね。クラークと一緒にこの辺りを見て回るのにちょうどいい時間だよ。じゃあ、がんばりな」

「はい!」


 ケリーが頭を下げると、炊き出しを準備している女の人たちの輪に戻っていく。

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