036 オーク軍団殲滅
オークの軍隊の進行方向。その前に飛び出したのは、拳大の土の塊だ。
もちろん、それだけでは何の脅威にもならない。
オークたちにもそう判断されたのだろう。オークたちは武器を構えることなく自信満々に胸を張って行進している。
しかし、それが致命的な隙になることなど、彼らには知る由もないだろう。
ぶくぶくと膨れるように周囲の土を取り込んで一瞬にして巨大化する土の塊。
僕もだいぶゴーレムを創ることになれたのか、今ではほぼすべてのゴーレムを一瞬で創ることができる。
今回創ったのは、アンバランスなほどぶっとい砲身を持つ三体のキャノンゴーレムだ。その名の通り、大砲のゴーレムである。
急に現れた存在にオークたちは機敏に反応した。手に持っていたハルバートを構えるオークたち。
でも、そんなものは無意味だよ!
「あいあー!」
僕の合図と共に三体同時に発射されるキャノンゴーレムの砲弾。
その瞬間、自壊するキャノンゴーレム。
そして、見える範囲にいたオークがバラバラに吹き飛んだ。
キャノンゴーレム自体は土製だけど、その砲弾は鉄製だ。たぶん、オークでも持ち上げることができないほどの大質量塊である。
そんなものが肉眼では捉えることができないほどの速度で飛んできたのだ。オークの軍隊が爆散するのもわかる。
しかも、オークは律儀に列を乱さずにまっすぐ三列縦隊で行進していた。言ってしまえばこれは、キャノンゴーレムの鉄砲弾を、何体のオークの肉壁を使えば止めることができるのか実験したようなものである。
つまり、何が言いたいかと言えば――――。
「おー!」
あっという間に消滅したオークの軍勢。
オークだったものが飛び散る、陰惨を極めた光景がそこには広がっていた。
でも、僕が気になったのはそこではない。三体のキャノンゴーレムのたちのレベルが爆速で上昇しているのだ。
まぁ、あれだけ一気にオークを片付ければ、一気にレベルが上がるよね。もう六十レベルもあるよ。
そして、次に意識を向けたのは、放った三発の砲弾だ。
三つの砲弾は半分以上地面にめり込み、その動きを止めていた。そこに映るのは、驚愕したような表情を浮かべるオークたちの姿だ。負傷したオークの姿も多数ある。
けっこうな数を倒したと思うけど、さすがにすべてのオークを倒せたわけじゃなさそうだ。
でも大丈夫! こんな時のこともバッチリ対策済みである!
「うあーいー!」
その瞬間、止まったはずの鉄砲弾が動き出す。他の砲弾や周囲に散らばっていたハルバートなどを巻き込みながら生まれるのは、アイアンゴーレムのツヴァイだ。
僕の手持ちのゴーレムの中でも、その名の通りナンバーツーのレベルを誇るゴーレム。
しかも、アイアンゴーレムにランクアップしている。鉄の砲弾を使ったとはいえ、レベル一のキャノンゴーレムでここまで蹂躙できる相手なら、正直、過剰な戦力かもしれない。
なぜ、森の奥地にいたはずのツヴァイがこの前線に突如現れたのか。それはゴーレムの特性が大きく関係している。
他のゲームなどでは、ゴーレムには物理的な核があり、それによってゴーレムの個体識別や明確な弱点として描かれていることが多い。
でも、『ガード・ゴーレム』では違う。
『ガード・ゴーレム』のゴーレムの核とは魔力的なものであり、それは僕とのパスを通じて、移動が可能だ。それによって瞬時にワープのようなことができる。
やろうと思えば、いまここにレベル百ゴーレムであるアインも召喚可能だ。
つまり、僕は瞬時にいつでもどこでも高レベルのゴーレム軍団を呼び寄せることができる。
まぁ、それにはゴーレムの育成が必要不可欠なんだけどね。
そして、僕は勝利を決定的なものにするために、さらに手札を切ることにする。
先ほど自壊してしまった三体のキャノンゴーレム。それらをさらにこの場所に召喚する。
辺りに散らばっていたハルバートがぐにゃりと歪むと、三体のアイアンゴーレムが生まれる。全員、レベル六十オーバーの猛者だ。
名前はそうだな……。右からドライ、フィーア、フュンフにしようかな。簡単だし。
いきなり現れた存在に恐れおののくように後ずさりを始めるオークたち。そこには先ほどまであった強者の矜持や、自信などはまるで感じない。ただの怯える豚頭のモンスターだ。
まぁ、それはそうかもしれない。彼らにとっては、いきなり前方を歩いていた同胞であるオークが弾け飛び、間髪入れずにその場に現れたのは、鉄でできた鎧武者だ。これで恐怖しないほどの豪胆なオークは皆無だったらしい。
アイアンゴーレムは、背中に巨大な大剣を標準装備している。ツヴァイたちは背中の大剣を抜くと、即座にオークたちに斬りかかった。
立ち向かうという思考すら放棄したのか、背中を見せて逃げるオークたち。その背中を撫で斬りにしていく。
アイアンゴーレムは、たしかにその重量故に足が遅い。
しかし、それは低レベルな場合の話だ。高レベルのアイアンゴーレムであるツヴァイたちの機動力は、オークを遥かに凌ぐ。
つまり、何が言いたいかと言えば、すべては無駄なことだ。
お読みいただき、ありがとうございます!
よろしければ評価、ブックマークして頂けると嬉しいです。
下の☆☆☆☆☆をポチッとするだけです。
☆1つでも構いません。
どうかあなたの評価を教えてください。




