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034 難民と異質なオーク

「ここが、村なの……?」

「大きい……!」

「まさか、こんなに大きな村があるなんて……!」

「噂では聞いたことがあったけど、噂は本当だったのね!」


 デニスが村を出発しておよそ三週間ほど。村にたくさんの人々がやってきた。


 デニスが連れて来たということは、この人たちが潰された村から逃げ出した難民の人たちなのだろう。トバイアスからランドール村への長旅もそうだけど、元々疲れ切っていたのだと思う。動きが緩慢だし、頬がこけているような瘦せ細った人が多い。


 そして、全体的に女の人や子どもが多い。おそらく男の人は女子どもを逃がすために散っていったのだろう。なんとも、やるせないものを感じた。


 のろのろと幌馬車から降りる難民だった人々。疲れ切っているのか、すぐに地面に座ってしまう人が多い。


 そんな人々の前にお父さんが立つ。


 幌馬車から降りた女子どもは、恐れを含んだ瞳でお父さんを見ていた。


「長旅で疲れただろう。そのままでいい。オレは、アドルフ・ランドールだ。畏れ多くも陛下より男爵位を頂いている。このランドール男爵領の領主だ。そなたたちの境遇は知っているつもりだ。ここに来たからにはもう大丈夫だ。今、そなたたちに必要なのは、休息と温かい食事だ。歓迎の意を込めて、食事を用意した。もう大丈夫だ。安心して休むといい」


 今まで辛い目に遭ったのだろう。お父さんの言葉に泣いている人々もいた。


 そんな人々に、ケリーや村人たちが食事を配っていく。


「ありがとう、ございます……!」


 旅の間に温かい食事は望めない。本当に温かい食事は久しぶりなのだろう。食事を受け取った途端に泣き出した人もいたくらいだ。


 やってきた人々は五十人強くらいだろう。ありったけの幌馬車で向かわせたのだけど、子どもが多いとはいえ、すし詰め状態で乗ってきたに違いない。


「移住希望者はこれで全員か? 三つの村が潰されたと聞いていたのだが……」


 お父さんの疑問もわかる気がした。三つの村が潰されて、たったこれだけしか生き残ることができなかったのだろうか?


「私の方でも探してみましたが、おそらくこれで全員かと。難民の中には、もう前線の村には行きたくないという方も一定数おりまして……。あとはトバイアスにいる知人を頼た人々もいるようです」

「そうか。無理強いするのもなあ……。よくやってくれた、デニス。デニスも食事を食べてくれ」

「ありがとうございます」


 今まで住んでいた村が潰されたのだ。きっと僕が想像するよりも大変な目に遭ったに違いない。


 安全だと思っていた村がまったく安全ではないと強制的に理解させられた形だ。もう村に行きたくないと考えるのも不思議ではないと思えた。


 でも、彼らはランドール村を来ることを選んでくれた。他に選択肢がないから仕方がなく来た人もいるだろう。


 その選択が間違いではなかったと思ってもらえるようにがんばろう。僕には究極的にはそれしかできないのだから。



 ◇



「今までと違うオークか……」


 昼食の席で、お父さんが呟くように言った。


 今までのオークとは違うオーク。それは村にやってきた難民だった彼らに聞いた情報だ。


 オークと言えば、あの豚頭の巨人のモンスターだ。力は強い一方、その動きは鈍い。たぶん、パワー特化のあまり頭のよくないモンスター。それが一般的なオーク像だと思う。


 だが、潰された村を襲撃したオークは一味違ったらしい。姿かたちこそオークだが、まるで人間の兵隊のように秩序だった動きをしていたそうだ。


 そして、楽器。オークたちはまるで人間を殺戮するのが楽しいと言わんばかりに楽器を鳴らしていたらしい。


 装備も充実していた。すべてのオークが鉄製のハルバートを装備し、オークの体重を支えられるだけの梯子も持っていたらしい。


 それだけではなく、滅多に見ないオークの魔法使いの姿もあったらしい。


 とにかく異質なオークだと言っていた。


 さすがにそんな情報を聞けば、お父さんも考えるところがあるだろう。


 しかも、そんなオークの集団が、だんだん森を南下しているらしい。次に狙われるとしたら、それは僕たちの村に他ならない。


 僕も、その情報を聞いた瞬間、北にキャバリエゴーレムを走らせた。


 オークはただでも巨体だし、それが集団で移動しているとすれば、かなり目立つはず。未だにキャバリエゴーレムが接敵していないということは、まだ猶予があるということだ。


 まるで、人間の軍隊のように秩序のある行動。それには指揮官の存在が必要不可欠なはず。


 そして、楽器。どんな楽器かまではわからないけど、その楽器で作戦行動を伝えていた可能性がある。たしか、地球でもそんな軍隊がいたはずだ。


 オークの全員が鉄製のハルバートを持っていたということは、たぶん、そのオークたちには製鉄する技術、文明があるのだろう。今までにもたまに鉄の武器を持ったオークは見たことあるけど、全員というのは脅威だ。

お読みいただき、ありがとうございます!

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