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033 潰される

 初芋掘りから三か月ほど。村はさらにもう一段階拡大し、これで合計六回目の拡張となった。


 もうかなり村の規模も大きくなり、今までのような無秩序な村の拡大ではなく、区画整備がおこなわれることになった。その時持ち上がったのが、領主であるお屋敷の移動計画だ。


 今、僕たちの住んでいるのお屋敷は、かなり村の隅っこにある。村の拡大をする前にあるからね。森のある方向に拡大していくと、必然的に村の隅っこになるのは当然だった。


 僕としては全然それでもいいかと思っていたんだけど、例えば森での緊急時の連絡などには時間がかかりすぎる。ゴーレムの視界を通して森を逐一監視している僕にはなかった発想だ。


 それに、領主のお屋敷というのは、普通は村の中央にあることが多いらしい。僕には理由はわからないけど、やっぱり村の中央でドンッと構えているのがかっこいいのだろうか?


 まぁ、たしかに領主であるお父さんのところには、いつも人々が集まって何か決めている。人が集まる上でもお屋敷は村の中央にあった方が便利なのだろう。


 それに、お屋敷の前にあった広場も、村人が増えたおかげでもう全員入りきれないくらい手狭になってきた。


 それで、改めて村の中央に新しいお屋敷と広場を作ろうとなったのだ。


 まだ新しいお屋敷に着工し始めたばかりだけど、どんなお屋敷ができるのか楽しみだね。


 でも、領主一族と言っても僕たちは四人しかいないし、メイドのケリーを入れても五人しかいない。そんなに大きい屋敷は作られないんじゃなかな?


 まぁ、僕の弟か妹が増える可能性もあるけどね。


 でも、この世の中、景気のいい話ばかりじゃない。


 例えば、前線の村が三つも潰されたこと。


 こんなことがないように、辺境伯は軍を整えているはずなんだけど、このランドール村から辺境伯のいるトバイアスまで、馬車で一週間ほど。馬に乗って急いだとしても、三日はかかるんじゃないかな?


 それから派遣軍を整えて、トバイアスを出発したとして、村に着くのはいつになるんだろうね?


 辺境伯の軍が援軍に来るまで村が持ちこたえていればいいんだけど、最初のランドール村の軍備を見ると、なかなか難しいんじゃないかと思わなくない。


 辺境伯もそう思ったのか、結局三回とも軍の派遣どころか編成すらしなかったようだ。


 ある意味合理的かもしれないけど、僕は辺境伯のことがますます嫌いになったよ。みんなも何のための辺境伯なのかと愚痴を零している。


 辺境伯は、たとえ村を助けられる見込みがなくても軍を派遣すべきだった。そしたら、もしかしたら助かる命もあったかもしれないのに……。


 そもそも、今の体制では辺境伯が村を助けることがないと、助けるのは不可能だと喧伝しているようなものだ。


 現在の体制に問題があるなら、それを改善するのも辺境伯の仕事だと思うんだけど、辺境伯は何もする気がないようだ。


 たぶん、辺境伯は前線の村をどうにかする気概がないのだろう。


 そして、最大の問題はその後だ。


 三つの村が壊滅したことによって、難民が辺境伯の治めるトバイアスに押し寄せたわけなんだけど、トバイアスの中に入るには、入場料を払わないといけない。


 このランドール村では変わってきたけど、以前のランドール村は物々交換が主で、貨幣の存在が一般的ではなかった。たぶん、他の村でも似たようなものだろう。


 命からがら逃げてきた人たちだ。お金やお金になるようなものを持っている可能性なんてかなり低いだろう。


 そんな人たちにまで入場料を要求する辺境伯には怒りすら湧いてくる。


 その難民たちは、トバイアスの壁の外にあるスラムにも入れてもらえず、かなり困窮しているらしい。


 その話を聞いたお父さんは、すぐにデニスに食料を持たせてトバイアスまで幌馬車をいくつも走らせた。お父さんは難民を受け入れるつもりなのだとわかった。


 即決したお父さんを僕は誇りに思うよ。


 ちょうど村を拡張した直後だというのもよかった。土地に余裕があったのだ。難民が何人になるかはわからないけど、たぶん受け入れられるだろう。手狭なら、また村を拡張すればいい。


 僕はこのランドール村を守るために、ランドール村を中心にゴーレムの見張りを置いている。


 今回の一気に三つの村が潰された事件は、僕の監視網の外側で起きたことだ。


 僕がもっと広く監視網を敷いていたら……。


 そう思う気持ちはある。けど、この広大な森すべてを監視するなんて不可能に近い。


 仕方がないことだったんだと思う気持ちはあるけど、責任を感じなくもない。


 なんだかイライラしちゃうよ。


 でも、僕は確かに力を持っているかもしれないけど、どんなに大きな力を持っていたとしても、全知全能らしい神様には遠く及ばない。なんでもかんでも思い通りになんてできないなんて当たり前だ。


 悔しいし、申し訳ないけど、それでも僕はこのランドール村を優先させてもらうよ。

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