029 宴②
「今日は、またクラークがこの村に財宝をもたらしてくれた! 見ろ! すごいぞお! 今日はお祝いだ! 皆大いに食って大いに飲んでくれ!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」」
お父さんが村のみんなにゴーレムが持ち帰ったお宝を見せびらかすようにしながら、そう宣言した!
いつからかはわからないけど、僕がお宝を持ち帰る度に宴会になるのが毎回の流れになっていた。
まぁ、いいんだけどね。みんな楽しそうだし。
もちろん、お父さんやお母さん、おばあちゃんも楽しそうに笑顔を浮かべている。僕はそれで満足だ。
聞いた話では、辺境伯とやらに借りていた借金も返し終わり、もしかしたらお父さんもお金の使い道がわからないのかもしれない。
それで他の村人たちのために使おうと思えるお父さんだから好きなんだけどね。
そんなこんなで毎回恒例の宴は開始し、みんな大いに食べて飲んでいた。
村の広場の真ん中で料理され、お酒も進む。
最近は村でも豚を飼い始めたみたいで、豚肉も安定供給されているのも大きい。
豚肉はただ焼いただけでもおいしい。
まぁ、一応領主一族の僕には豚肉の中でも特にいい部分が運ばれているというのもあるんだろうけどね。豚トロ的な? そのあたり、ケリーは抜かりないからね。
子どもたちも今日は夜更かしして大いに食べていた。中には内緒でお酒を飲んでいる背伸びした子どももいるくらいだ。
まぁ、バレて怒られていたけど。仕方ないね。
「食べているか、クラーク?」
「あい!」
そう訊いてきたお父さんは、少し顔が赤くなっていた。ちょっとお酒臭い。上機嫌だね。
頷いた僕は、細かく切られた豚肉をスプーンで掬って食べていた。やっぱりおいしいね。この豚トロ。噛めば噛むほど脂が溢れ出して旨味が口の中で溢れていく。
「クラークのおかげで、村はまた拡大したし、土地がいっぱいあるんだ! 昔は土地をどうするか頭を悩ませていたのが嘘みたいだ! やっぱり豚はうまいな! もっと豚を増やしてみよう。デニスに頼んでみるか! はっはっはっ!」
お父さんも豚の味が気に入ったのか、上機嫌に豚肉を肴にお酒を飲んでいる。
お父さんの言う通り、村の拡大はもう五回目になり、村は最初の何倍かもわからないくらい広くなった。今では養豚場も作ることができるくらいだ。
別に豚に限る必要はなかったんだけどね。牛とか。他にも候補はいくらでもあったと思う。でも、豚になったのは、牛は日本で言うところの農業用の機械の役割があるからだ。
つまり、働いて筋肉ムキムキになった、もしくは年老いて働けなくなった牛を食べるものであって、あまりおいしくないらしい。
そんなわけで、豚が選ばれたわけなんだけど、豚ってかなり大きかった。僕の想像の五倍はあったね。本当に、めちゃくちゃデカいんだ。
そこまで育てるのにはやっぱり豚の餌は必要になる。今は畑で育てている野菜の食べないところで補っている。あとは、村の後方に広がっている草原で草を採取もしているところだ。
豚ってけっこう何でも食べるようで、今はそれでなんとかなっているけど、これ以上豚の数を増やすなら、根本的な解決が必要かもしれない。
「はっはっはっはっ!」
そのことをわかっているのかいないのか、お父さんはお酒を飲んで上機嫌だった。
まぁ、今のランドール男爵領は、発展の一途をたどっている。そのことも追い風になって、新たに村人も増えた。今が一番うまくいってる期間かもしれない。お父さんが有頂天になるのもわからないでもない。
まぁ、豚の餌や細かいところは、デニス商会がなんとかしてくれるだろう。
最悪、丸投げでもいいかもしれない。デニスたちなら上手くやってくれる気がする。
そんなデニス商会だけど、こちらも村の発展と共に業績も伸びているのか、お店が大きくなり、扱っている品物の数が増えていた。
デニス商会が大きくなって、村人たちを雇うようになった。そのお給料は、貨幣だ。
今はまだ物々交換が主なランドール村だけど、そのうち貨幣経済になるかもしれないね。
貨幣と言えば、今までのランドール男爵家は村人たちと一緒に生き残ることに精いっぱいで税をあまり取っていなかったけど、今度から税の徴収を本格化するらしい。
どのぐらいの税を納めてもらうか。それはお父さんがデニスと相談しながら決めているみたいだ。
まぁ、これまでは村人たちから税なんて取れる状況じゃなかったし、村人たちにも余裕ができてきて、ランドール男爵家もようやく領主として一人前になったという感じだね。
とはいえ、お父さんはあんまり税を取ることに前向きではないみたいだけどね。その優しさはわからないでもないけど、そうすると今度はランドール男爵家の収入がなくなってしまう。
税が高すぎても今の村の発展に影を落とすし、安すぎると今度はランドール男爵家が貧しくなる。ちょうどいい塩梅を見つけるのは大変だろうけど、ぜひともがんばってほしい。
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