028 ゴーレムのレベル
「むふー!」
僕としては、ゴーレムがレベルアップするとわかっただけでかなりの収穫だ。この調子でゴーレムを鍛えて、最強のゴーレム軍団を作っちゃおう。
僕がアインをキャバリエゴーレムに変化させたように、ゴーレムは核を共通していればレベルは引き継がれる。つまり、今の僕には、アインの核を使えば、いきなりレベル百のアイアンゴーレムを創ることも可能ということだ。
ゴーレムは、僕のMPが続く限り無限ともいえる回数復活する。つまり、それだけ死ぬことはなく、レベルアップによる経験を引き継ぎやすく、レベルアップが容易だ。
レベル百の最強ゴーレム軍団というのは、夢物語ではない。もう決定した未来ともいえるだろう。
まぁ、その前にこの拠点が襲撃され、僕が殺されれば夢と消えるけどね。
そんなことはさせないけど。僕ももう死にたくないし。
MPが余っている今うちにアインをストーンゴーレムに進化させておこうかな?
僕はアインに意識を集中して、魔力を注ぎ込んでいく。
すると、さほどMPを消費することなくアインをストーンキャバリエゴーレムにすることができた。本当にストーンゴーレムになったのか疑問に思うほどだ。
でも、視界を下げると、石の体が目に入る。やっぱりストーンゴーレムになっている。
ということは、石を操るのにそんなにMPを消費を感じるほど消耗しなくなったということだろう。僕のMPが増えていることの証左でもある。
昔は、といっても半年も経ってないくらいだけど、あんなに石を操るのにMPを消費したのに、今ではそれほど消耗を感じない。それだけ僕が成長して、MPの最大値が増えたということだろう。
このまま僕自身も成長していかないとね。
そして、余裕があったらゴーレムを強化していかないと。
まずは、村を守る壁ゴーレムをストーン壁ゴーレムにすることから始めようかな?
そんなことを考えていると、なんだかツヴァイの視界が急に開けた。
村だ。粗末な木の板の壁があり、その向こうにはオークやゴブリンが闊歩しているのが見える。
運がいいね。どうやらオークとゴブリンの村を見つけたようだ。レベル一のツヴァイにはちょっと辛い戦いになるかもしれないけど、そこは僕のMPでカバーだ。
「いえー!」
僕の指示と同時に、ツヴァイが手に持った石の剣を投げた。
石の剣は村の中央付近に落ちた。周りのオークやゴブリンが何事かと遠巻きに見ている。
その隙に、僕は石の剣からツヴァイを創造する。ゴーレムにとって、城壁など意味がないよ? ツヴァイみたいに剣を投げてもいいし、体の一部を投げてもいい。もっと言えば、投石機で飛ばすのもありだ。
『ンゴオオオオオオオ!』
ツヴァイは周囲の土を吸収して、ノーマルゴーレムとして生成される。オークやゴブリンたちもようやく敵が侵入したと気が付いたのだろう。矢が飛んでくるが、そんなものはゴーレムに効果がない。
オークの丸太のような棍棒に何度潰されても復活し、石の剣でオークの首を刎ねていくツヴァイ。その動きはアインに比べればやはり物足りない。
でも、確実に敵を屠っている。
そして、確実にレベルアップを重ねていく。だんだん動きがよくなっていく。
終わってみれば、一時間もかからない殺戮劇だった。
ボスのようなオークも無事に倒すと、ツヴァイは跪いて左手を地面に着ける。
その途端に生まれるのは、ゴブリンサイズのキャバリエゴーレムだ。そのキャバリエゴーレムたちが村の中を捜索し、まだ生きているモンスターに止めを刺していく。そこに慈悲はない。
そして、キャバリエゴーレムたちは同時にお宝を発見していく。これはランドール村への贈り物だね。
「あう……」
しかし、前回は木の柵で、今回は木の壁か。確実にオークたちの村の防備がよくなっている。
まぁ、どんなに高い壁を用意してもゴーレムには関係ないんだけど、ちょっとした期待をしてしまうのは確かだ。
もしかしたら、この先にはオークたちのお城とか砦とかあるのだろうか?
だんだん難易度が上がっているのをゴーレムの視界を通して肌身で感じている。
もしかしたらと期待してしまうのは自然の流れだった。
お城や砦だったら、こんな村よりも豪華なものが置いてあるよね?
そしたら、もっと豪華なお宝を発見できて、お父さんやお母さん、おばあちゃんや村のみんなにも褒めてもらえるよね?
「むふー!」
やるぞー!
僕はやる気と共に両親のベッドの上で立ち上がると、気が付いた。そろそろおばあちゃんと村の散歩の時間だ。
赤ちゃんのうちに足腰を鍛えると、丈夫な子に育つらしい。そう信じているおばあちゃんは、僕をよく散歩に誘う。
僕はおばあちゃんと散歩するのが好きだった。散歩というよりも、僕はおばあちゃん自体が好きなのだ。おばあちゃんとの時間が好きなのだ。
おばあちゃんからは無償の愛を感じる。僕はこの愛に報いることができるだろうか?
そんなことを考えながら、僕はおばあちゃんが迎えに来るのを待った。
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