027 レベルアップ
鉄の供給も進み、みんなの手に持つ武器や道具が鉄製になってきた。
そのおかげでスピードアップしたのか、村もだいぶできてきたね。デニスのお店や長屋なども建て終わり、今はみんなで農業に精を出している。
もちろん、森からモンスターの襲撃がないか見張っている者たちもいるし、鍛冶や木工、骨細工、細工作りなど農業以外で活躍している者たちもいる。
村人の人口が増えたからね。その分だけ農業以外にも力を割くことが可能になった。これはありがたいことだ。
「ネコちゃん! あそぼー!」
「また踊ってよ!」
「おら猫ダンスを完璧にコピーしてやるんだ!」
そして、子どもたちにも自由な時間が増えた。
窓の向こうでは、ネコゴーレムと遊んでいる子どもたちの姿が見える。彼らも農業に駆り出される時間が少なくなり、自由な時間を謳歌している。
そのうち、学校とかも作りたいけど、教師役にできる人材はいるんだろうか?
べつに学校も日本式にする必要はないか。職業訓練校みたいな感じを想定してみてもいいかもしれない。
そうなると、鍛冶仕事はちょっと危ないから注意が必要だけど、木工職人や骨細工職人、細工職人に声をかけてみるのもいいかもしれない。
そんなことを思いながら、僕は両親のベッドで横になって脳内に浮かんだ映像に意識を集中する。
今意識を集中しているのは、森の各所に配置したゴーレムの視界の映像だ。
僕はこうして森の中で異常が起きていないか毎日チェックしているのである。
僕とゴーレムの間には、魔力でできたパスのようなものが通っており、魔力の受け渡しができるのである。
正直、ゴーレムをたくさん創りすぎて、普通なら頭がこんがらがりそうだけど、僕の頭の中はとてもクリーンだった。まるで、頭がゴーレムを操るのに最適化されたみたいだ。
「ん!」
今日も異常なしだね。
じゃあ、今日も森の探索を開始しよう。
僕は意識を脳内の一つの映像に集中する。それは、一番最初に森に入ったノーマルゴーレムの視界の映像だ。最初のゴーレムだから、僕は勝手にこいつをアインと呼んでいる。
そんなアインだけど、ちょうどいま大きなムカデのモンスターを倒したところだ。
アインの動きは、とても洗練されている。芸術的ですらあった。
たしかに、僕はゴーレムでの戦闘でお父さんの大剣捌きを参考にさせてもらった。
でも、アインのそれは、おそらくお父さんを凌駕している。
たぶん、僕と同じく、アイン自体も成長しているのだ。
ゲーム『ガード・ゴーレム』では、ゴーレム一体一体にもレベルがあり、レベルが上がるとゴーレムのステータスの基礎値が上がった。たぶん、この世界でもその力は有効なはずだ。
ということは、僕が何気なく森に放ったアインだけど、もうかなりのモンスターを屠ってきた歴戦のゴーレムであるのは間違いない。そのレベルは計り知れないくらいだ。もしかしたら、もうカンストしている可能性すらある。
「んお?」
そんなことを考えていたからだろうか。脳内に一つのウインドウがポップする。
それは、アインのステータスだった。
「おー!」
すごい。ステータスってあるんだ!
しかも、そのステータスはゲームで見た時のままだ。だから、瞬時に情報が入ってくる。
もしかすると、この世界にステータス画面が実際にあるわけじゃなくて、僕のわかりやすい形で情報で提示しているだけなのかもしれない。
この世界にゲームと同じステータス画面があると考えるより、その方がしっくりくる。
そのステータス情報によると、すでにアインのレベルは百だった。カンストだ。おめでたいことだけど、それはアインはこれ以上強くならないことを意味している。
だったら、別のゴーレムを育てた方がいいよね。
「あいう!」
ということで、僕はすぐにフィギュアサイズのキャバリエゴーレムをアインの場所に向かわせて、ノーマルゴーレムにチェンジさせた。
これからはこのゴーレムを育てよう。名前は……ツヴァイでいいかな。
そして、石の剣をアインからツヴァイに渡すと、アインはキャバリエゴーレムに変化させて、森の監視の任に就かせた。
こうして交代交代でゴーレムのレベルアップをさせていこうかな。そして、最強のゴーレム軍団を作るんだ。
最強のゴーレム軍団ができたらどうしようかな?
やっぱり、敵の街とか砦とか攻めたいよね。
どこかにないかな? 村はたくさん潰してきたけど、やっぱりもうちょっと歯応えのある相手が欲しいところだね。
石の剣を握ったツヴァイが、ブンッと感触を確かめるように石の剣を振る。
かっこいいことをしているところ申し訳ないけど、キミのレベルはまだ一だ。これからに期待だね。
しかし、もっと早くゴーレムのレベルについて思い出せばよかったな。これまで経験値を無駄にしてきたかもしれない。
まぁ、今気付けただけ良しとしよう。
僕の最強ゴーレム軍団計画は始まったばかりだ。
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