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026 アイアンインゴット

 鍛冶屋の前で三分ほど待っただろうか。


 ついに目の前の扉が開き、扉から火傷しそうなほど熱い空気が吹き荒れる。


 そんな中から現れたのは、汗をびっしょりかいた長袖長ズボンの男だ。その顔は真っ赤で、髪も後ろ髪しか残っていない。


 でも、着ている服が破れてしまいそうなほど、腕の筋肉がパンパンに発達している。パッと見赤鬼みたいな人だった。


「すいやせん! お待たせいたしやした!」


 ガラガラ声で頭を下げる職人さん。


「いやいや、頭を上げてくれ、大将。急に来たのはこっちだからな。仕事の邪魔をしてすまなかった」

「とんでもねえ! 領主様に呼ばれたら、オラたちゃ火の中水の中でさあ! 奥様も、クラーク様もお久しぶりです!」


 いつもうるさい鍛冶屋で仕事しているからだろう。とても声の大きな人だ。


「大将、これを見てくれ。こいつをどう思う?」

「すごく、大きいでさあ……!」


 お父さんがまるでアイアンゴーレムを披露するように体を退けると、アイアンゴーレムを見た大将が膝から崩れ落ちた。


「んゆ?」

「どうしたんでしょうね?」


 そんな僕たちの言葉なんて聞こえないとばかりに、大将と呼ばれた男は膝立ちのままアイアンゴーレムに近付いていく。


「こいつぁすげえ……。こんな奇麗な鉄を見るのは初めてだ……!」

「んん?」


 鉄に奇麗も汚いもあるんだろうか?


 まぁ、この人は大将って呼ばれるくらいすごい鍛冶師なんだろうし、そういう人になると、鉄の奇麗とか汚いとかわかるようになるのかな?


「その、オレたちにはよくわからないんだが、この鉄の人はそんなにいいものなのか?」


 お父さんも同じ疑問を持ったのだろう。僕たちを代表して、大将に問いかける。


 すると、大将はまるで信じられないものを見たと言わんばかりに目を大きく見開いて口を開く。


「見てくだせえ、こいつの輝き! この輝きはなかなか出やせんぜ? オラも生涯で一度出せたらいい方でさあ! それこそ、このまま置物にしといてもすんげえ価値が付きますぜ!」

「そんなにか……!」


 早口でまくし立てる大将に、お父さんもちょっと押され気味だ。


「まさか、そんなに価値があるものだとは……。どうする、クラーク?」

「あい!」


 僕としては、いつでも作れるものなので、そう大して思い入れのない品だ。


 僕はよちよちと歩くと、ポンッとアイアンゴーレムに触れる。


 すると、アイアンゴーレムがガラガラと音を立てて崩れた。アイアンゴーレムを鉄のインゴットにしたのだ。


 僕の意図は正しく大将に伝わったらしい。大将は驚いた顔をすると、次にはまるで獲物を狙う狩人のような鋭い目を見せる。


「……本当にいいんですかい?」

「あい!」

「ありがたく、使わせていただきやす……!」


 言葉はそれで十分だった。


 振り返ると、うんうんと頷いているお父さんと、ちょっと困った顔をしているお母さんがいた。


 なにはともあれ、これでこの村の鉄不足も少しは改善されるだろう。そうなれば、鉄の農具も使えるようになるし、農業の作業効率がグッと上がるに違いない。


 夢が広がるね?


 畑も広がってる最中だし、ちょうどいい機会だろう。


 それにしても、アイアンゴーレムを創るのは、思った以上にMPのコストが高いなぁ。やっぱりレベルアップしてMPがだいぶ増えたとはいえ、ロックゴーレム系統を吹っ飛ばして、いきなりアイアンゴーレムを創るのは無理があったかもしれない。あの一メートルくらいのアイアンゴーレムを創るのに、MPの四分の一が吹っ飛んだよ。


 このままだと、普通サイズのアイアンゴーレムを創ることはできそうだけど、動かすMPが足りなそうだ。


 やっぱり、もっとモンスターを狩ってレベルアップしないとなぁ。


 そういえば、レベルアップについて検証していたんだっけ。でも、僕の出した結論としては、たぶんあるになる。


 僕にもどういう因果関係があるのかはわからないけど、一定数のモンスターを倒すとMPが増えるんだ。もしかしたら、MP以外のステータスも伸びているのかもしれないけど、それを確認する術がないのでわからない。


 まぁ、僕がまだステータスオープンと流暢に言えないから見れないだけの可能性もあるけど……。


 でも、僕の他にステータスやレベルという言葉を使っている人がいないので、そもそもステータスやレベルという概念があるのかもわからない。


 しかし、わかったことはある。


 それは、どうやらMPの最大値が増える時、その増えた最大値分のMPが回復しているということだ。


 例えば、僕のMPの最大値が百あって、現在のMPが〇だととすると、レベルアップでMPの最大値が百五になった時、現在のMPが〇から五に増える感じだ。


 これがなぜなのかはわからないけど、そうなっているのだから受け入れるしかないのかもしれない。たぶん、そういうルールの世界なのだろう。


 まぁ、僕としてはレベルアップした時にMPが全回復してほしかったんだけど、ほんの少しでも増えるだけでも御の字かな。


 そんな感じだ。

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