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人生には『モテ期』が3度ある?



 人生には、3度の『モテ期』があると言う。


 言ったヤツの名前と、発言した年月日は、まだ分からない。恐らく、分かる事はないだろう。それはいい。


 本人の自覚の有無に関わらず、そういう運気が来ているのだから検証のしようもない。


 残念ながら、俺の、アッチの世界での検証は1度も出来ていなかったが、コッチの世界では、1度目のモテ期を検証できた。うん。間違いない。ミラとアリーと結婚出来たからね。そういう運気は、きっとあるんだよ?


 2人同時だったって事で、3度分使っちゃったと思ってたのに、それでも満足だったのに。ははは。


 これが2度目という事か? わお。まあ、嬉しい? と言う事は、3度目も? はっ、まさか、あっちの世界の分まで上乗せされてたりして? 全部で6度もあるの? 参っちゃうなぁ。ドガっ! ぐはっぁ! 調子に乗るなという事か?



 ちょっと待て。なぜこうなった。今回の告白大会に、俺は関係なかったよね? なのに、なぜ?



【問題】エルフの仲良し3人組みのパーティーで、1組みのカップルが誕生しました。さあ、残った1人はどうなるの?


 簡単な算数の問題だ。俺達みたいに、男1・女2のカップルになっちゃう? トリオ? トリプル? まあいいや。


 それとも、パーティーは解散? 気にせず、今までのようにやって行く?


 答えは、『4番』。しばらくはそのままで。その後の事は、ダンジョンアタックしてから考えます。だって。あはは。絶対おかしいよね。そのクイズ。毎回提示してくる選択肢とは違う回答なんてさ。



 皆で、笑顔での乾杯の後、モークとシーンは、少しは気を遣いながらもラブラブに。楽しそうに、2人だけの世界で会話を始めちゃって、帰ってこないし。


 流石に、俺達だって、あそこまでは酷くはないよ? うん。そうだよね?


 リーンは、お祝いの酒から、やけ酒に? グチり出しが始まった?



「もうっ! なんでこうなっちゃうのよ? おめでたい話なのに、全然めでたくないじゃないの! 私だけ!」 ドン!


 ミラ、アリーは、お酒を飲んでないから当然しらふ。そんな酔っ払いに絡まれたくはない。勿論俺もそうなんだけど、2人からの、『え~、この人何とかして下さいよぉ?』な視線が突き刺さる。


 同じ酒飲みとしては、こういう(やから)は、ほっとくのが1番なんだけど、そうはさせてもらえなかった。


「もう! タビト! ちょっとこっちに来なさいよ! 私と一緒にお酒が飲めるのよ? 感謝しなさい!」



 はい。始まりました。酔っ払いの『絡み』ってヤツですな。知ってる。これ、鬱陶しいヤツね。あはは。


 ミラとアリーからは、同情の視線を感じながらも、『ふー。助かったぁ。あとは任せましたぜ、アニキ。あっしらは、こっちで楽しくやってますんで、巻き込まないでくださいね?』って声が聞こえてきそうな雰囲気で、軽く背中を向けてるし?


 俺が相手をするしかなかったんだよ? 本当だよ? ご指名が入ったからね? ね。本当でしょ。



「はは。リーン。あまり飲み過ぎると、また、いつの間にか眠っちゃうよ? 程々にしておいたら?」


「ん? ああ、お酒ね、今日はまだ、そんなに飲んでないわよ? それに、酔ってもないわよ? 何言ってるの?」


 出た。酒飲み特有の返答だ。飲んでるくせに、飲んでない宣言。それなりに酔ってるのに、全然酔ってない宣言。気を付けよう。甘い言葉と、酒飲みの()れ言、酔ってない。



「はあ。まあ、今日はしょうがないか。仲良しの2人がカップルになったからね。おめでたいのに、自分だけね。うん。分かるよ。じゃあ、今日は俺が付き合って飲んであげるから、感謝しなさいよ?」


 1度言ってみたかった。『ツンデレ属性持ち』への『ツンデレ返し』。今回は、いつものリーンの台詞(せりふ)『感謝しなさいよ?』。どうだった?


「あら? 分かってるじゃない。流石タビトね。私に向かって『感謝しなさいよ?』だなんて、嬉しい事言ってくれるじゃない? ふふふ。いいわ。じゃあ、しっかり責任持って付き合ってもらおうかしら? 感謝しなさいよ?」


 はい。OK入りましたぁ。『ツンデレ返し』OKでーす。俺、グッジョブだ! ははは。良い感じ?



「はいはい。今日はとことん付き合いますよ? お任せ下さい?」


「ふふふ。いいわね。本当にタビトは話が分かるわ。顔も私の好みだし。やっぱり最後まで責任持って付き合ってもらおうかしら? 感謝してもらえる?」


 ん? 何だろ? 今ヒヤッと背筋が冷たくなったような? リーンの笑顔は、何かいつもと違うような感じだし?



「ん? リーンと一緒に飲めるのは感謝してるよ? 楽しく飲めるのが1番だからね」


「ふふふ。分かってないわね? 私は本気よ?

 わ、私。あなたなら、あなたの『エロフ』になってもいいわよ? か、感謝してもらえるかしら?」



 は? ぐっはぁっ!!


 な、なにぃ! こ、これはヤバい。声が出ないぞ?


 一瞬、何を言ってるのか理解できなかった。頬を少し赤らめての、(うつむ)き加減での『あなたのエロフ宣言』。恐るべし! これが正しい使い方なのか?


『ツンデレ返し』からの、まさかの展開。これはキツい。この破壊力。いや? 『エロフ』の意味を知ってるオイラには、素晴らしい攻撃だよ? あれはネタ話じゃなかったんだね。



 ピッシーーンッ!!


 はっ!! 後ろからも冷気がっ!!



「これ、リーン。おぬし何を言っておるのじゃ。タビトは、わしらの旦那様じゃぞ?」


「はい。今のセリフは聞き捨てなりません。タビトさんは、私たちの旦那様です!」


 ぐっはぁ。出ました。最強タッグによる容赦ないツッコミ! 最恐タッグ? 温度の感じられない笑顔がまた怖い? 知らない振りしてたのに、ちゃんと聞いてたのね? おう。怖い。縮んじゃうよ? ヒヤッとするね。



「あら? 奥様方。お2人して、私に何のご用かしら?」


「まったく、おぬしも素直ではないのじゃ。もっと前から、そのつもりじゃったろうに」


「はい。私もそう思います。ずっと前からそのつもりだと思ってました」


 ん? 何を言っているのかな? お2人さん? 俺には理解出来ませんが? 何か?



「な、なんの事かしら? べ、別に、私は、前からタビトの事を格好良いじゃないのとか、思った以上に強くて頼りになるじゃないのとか、ずっと一緒に付いて行きたいわとか、思ってないんだから。勘違いしないでよね?」


「ほれ、見るのじゃ、やっぱりそうだったのじゃ。わしは、隷属の首輪が外された辺りから怪しいと思っておったのじゃ」


「はい。やっぱりそうでした。私は、もっと前の、『スペード』達から助けられた辺りから怪しいと思っていました」


「ほう。そんなに前からかの? わしは、あの時はそっちに注意を向けてんおらんかったからの。そうか、アリーは、そんな前から怪しいと思っておったのじゃな」


「はい。そうです。私は、周囲の索敵もしてましたけど、皆さんの動きも見てました。その頃から怪しかったです。間違いないです」


「ほう。アリーがそこまで言うのなら、間違いないのじゃ。そうか。そんな前からじゃったか。ふむ。それなら話は早いのじゃ。ふふふ」


「はい。話は早いです。えへへ」


「ちょ、ちょっとあなた達。何を勝手に決め付けて話を進めているのかしら? 勝手な想像で話を進めるのは止めてもらえる?」



 あれれ~~? 俺をほったらかして、3人で盛り上がってますけど、なぜに? でも、流石にこの空気の中には入れない。なんか怖い言葉が飛び交ってますけど? 大丈夫?



「まあ、リーンよ。落ち着いてよく聞くのじゃ。これから大事な話をするからの。


 わしは、タビトの『正妻』じゃ。分かるな。1番目の妻なのじゃ。タビトは、わしの命の恩人で、1番初めに『一生付いて行く』宣言をしたのが、わしなのじゃ」


「はい。私は、『2番目』です。タビトさんは、私にとっても命の恩人で、1番初めに『運命の人』宣言をしたのが、私です」


「ちょ、ちょっと待ってよ。それって、どういう事なのよ。1番目とか2番目とか、1番初めに宣言をしたとか。そんな事が何の意味があるのよ? 好きならそれで良いじゃない!」


「分かっておらんのう。何事にも順番は大事じゃぞ? おぬしだって、『10番目の人』と言われるよりも、『1番目の人』と言われた方が嬉しいじゃろうが。ほれ、よく考えてみるのじゃ」


「そうですよ? 順番は大切です。順番が早い方が嬉しいです。だから、それぞれに『1番宣言』をしてるのです。『1番』は嬉しいですよ?」


「ぐっ。確かにそうね。お前は10番目だなんて言われても、嬉しくなんかないわね? やっぱり私も1番目がいいわ。


 でも、それだと、私は何の1番になれるのかしら? 助けられたのも、私が1番じゃなさそうだし。


 うーん。奴隷を解放してもらったのも私だけじゃないし。そもそも奴隷なんて言葉は使いたくないわね。なかなか難しい問題だわ」


「何を言っておるのじゃ。まず、おぬしは、順番からすると『3番目』なのじゃ。それは良いな?

 それに、おぬしはエルフじゃろうに、それなら、1番良い1番があるのじゃ。ふふふ」


「はい。そうです。まず、リーンさんは『3番目』になります。そこは譲れません。良いですね?

 リーンさんは、エルフさんなんですから、1番良い1番がありますよ。えへへ」


 おいおい。何か話が変な方向に向かってないか? そもそも論はどこ行った? 『あなたのエロフ宣言』はどこ行った? そこから始まった問題だったんじゃないのかな? 『3番目』って? あれれ~~? 俺って非常識?


 しかも、リーンの『1番』って? 『ツンデレ属性持ち』? あ、それこそ『あなたのエロフ宣言』1番乗り? でも、『エロフ』なんて公言したくないよな。外で言う話じゃないからな。


 はっ。俺までそっちの方向に流されてるぞ。恐るべしミラ・アリー最強タッグ。完全に場の流れを支配しているぞ? これも最恐の為せる技なのか? 最狂?



「え? ま、まあ、『3番目』くらいなら悪くはないのかしら? 微妙な気もするけど、仕方がないわよね。先に2人居るんだし?


 それより、なに、何? 私に1番良い1番って?

 何なのよ! 勿体ぶってないで教えさいよ!」



  * *



 その後、ミラ・アリーの最恐タッグによる、リーンへの『教育』が行われた。



 そもそも、エルフが言った『一生忘れない』という言葉の意味は重いらしい。寿命が長い分。その言葉の意味も深く、『一生忘れない』は、文字通り『ずっと思い続ける』に。異性に向けての発言であれば、一種の『告白』に近いものがあるのだとか。いやん。


 知りませんでした。俺の非常識さ加減がまた露出? いやん。露呈した。



 ミラが気付いたのは、リーンとシーンの言葉の違いから。


 リーンは、確かに言っていたらしい。

『私は、()()()()()()忘れないわ。この先ずっとね。それくらい感謝してるのよ? 有り難く思いなさい。じゃあね』と。


 シーンは、『私も、()()()()()()感謝しかないわ。一生忘れる事はないと思う。ありがとうございました。また会う事もあると思うから、今はこれくらいにしておくわ。じゃあまたね』


 モークは男だから、俺には関係ないけど、『何から何までありがとうございました。このご恩は一生忘れません。私に出来る事なら、どんな事でも協力します。あなたの言う事なら間違いはないと思います。これは、私の誓いです。覚えておいて下さい』と。


()()()の事』と『()()()()』の違い。そんな言葉の違いを気に掛けてたの? あのタイミングで? 


 この2人、正に名探偵? 細かい所が気になるのは、俺の悪い癖のはまずが、姿は子供、頭脳は『?』で、食べる事でいっぱいなミラと、姿はもふもふ、頭脳は明朗なアリーによるタッグ。流石のじっちゃんでも勝てないか?



 あの時は、3人の隷属の首輪が外されて、思い思いに挨拶をしていったんだよな?


 壊滅戦の前でバタバタしてたし、副団長のジンバールさんも居たし、奴隷商のゼバイラモさんが話し出したから、いちいち話しにツッコム事も出来なかったし、怒涛の展開でそんな余裕も無かったかな。



 アリーから言わせれば、もっと前から変化はあったらしい。言動が明らかに変わっていたと。特に、エルフについての話をしている時が分かりやすかったと。


 そもそも、精霊魔法についての話とか、エルフ以外には話しちゃいけないような事まで話し出しちゃってたし。『()()()()()感謝しかないわ』って、対象を限定してたし。


 シーンも不思議がっていたのが、いい証拠。こんなに酒を飲むのも初めてだとか言ってたし。結婚披露宴になったお食事会でも、『そのままでもそれなりに格好良いんだから、大丈夫よ?』とか。


『もう! 何言ってるの、シーンったら。私がこんな奴にヤキモチなんて焼く訳ないじゃないの! 誰がこんな、まぁ、それはそれで悪くはないと思うけど……』


『あら。私は、焼いちゃダメとはいったけど、ヤキモチなんて言ってないわよ? もう、リーンったら、正直者なんだから』


『……っ! もうっ。知らないっ!』とか、主役の2人を差し置いて盛り上がってたし。


 言われてみれば、その通り。うわ、怖い。流石『魔法の真髄』による〈身体強化〉を日々検証しているだけの事はあるんだね? 耳の〈身体強化〉? 人はそれを、『地獄耳』というんだよ?



 なんか展開が、ミラの時と、パブロ達を助けた時と同じようになってたのは気のせいなんだろうか。うん。きっとそうに違いない。気のせいだ。だよね? 助けたから惚れられる? そんなヤツはおらんだろう~? あ、ここに居た?




『物知りリーン』。二つ名が『氷結のリーン』。そう。俺呼んで、『物知り氷結のリーン』。


 お名前は、『エルリーンレデス』。緑髪の22歳。特技は弓。適性魔法は、風、木、水、氷。攻撃的で、緑の冷たい風、荒々しい力強さを感じさせる魔力を持った人。〈魔力感知〉より。


 普通にしてる時の立ち振る舞いは、凛としていて格好良く、めでたく『ツンデレ属性持ち』に認定された。俺により?



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