お食事会という名の?
だからさ。お酒、弱過ぎないかい? まだ、そんなに飲んでいませんが? 一緒にお代わりして2杯目も飲んだから、3杯目か? 飲むのが早過ぎた?
いや。食事しながら、話しもしながらゆっくり飲んでたから、そこまでじゃないはずだしな。
やっぱり何か、俺の知らない非常識な常識があるのかな。まあ、楽しそうに飲んでたし、苦しんでもなさそうだから、良しとしましょうか。その内復活するでしょう。
さて、オイラどうしよう。女性陣は、こっちの事はほったらかしで盛り上がってるし、モークは一応、気に掛けとかないといけないし。まあ、まったり1人で飲んでましょうかね。
それにしても、皆さん笑顔で良い感じだね。やっぱり食事会は、こうでなくちゃね。笑顔あっての会合だ。食事もお酒も、笑顔が1番のスパイスになるからね。おっ。また善い事言っちゃった?
ミラは、笑いながらも食べてるし。アリーは、ニコニコ笑顔で楽しそうに話を聞いてるし。
リーンは、軽くお酒を飲んでるのかな。饒舌に語ってる。前みたいに、突然電池が切れなきゃいいけどね。ははは。シーンは、リーンの話を聞きながら、要所要所でツッコミ入れてるし。
これはこれで良いパーティーなのかな?
ミラが遊撃隊、アリーが補助役で、リーンが攻撃の起点、シーンが調整役って感じになるのかな。オイラの入れる余地はない? はっ。ボケ要員としてのポジションが空いてるのか? 入れるか?
「おっ。なんじゃ、旦那様。モークが寝てしまっておるではないか。1人で飲むのも良いが、こっちの話に加わればよかろうに」
おっと、流石、遊撃隊のミラだね。いち早く場の状況を読み取って、臨機応変に対応する。この動き、グッジョブだ!
ちなみに、俺の呼び名、『おぬし』『タビト』『旦那様』とあり、時と場合、その時の気分によって変わるらしい。その基準はまだ分からないけど、まあ、気分次第って言うんだから、考えても仕方ない事だ。軽く《スルー》で流していきます。
「うん。そうだね。ありがとう、ミラ。なんか楽しそうに話してるからね、途中で入って行くのも悪いなと思って、少し様子を見てたんだ」
「まったく、そんな事で気を遣わんでも良かろうに、わしらは夫婦なのじゃぞ。そんな気を遣う必要はないのじゃ」
「はは。夫婦と言えども、全く気を遣わないのもどうかと思うよ? やっぱり人は、人それぞれの考え方もあるんだし、最低限の礼儀は必要だと思うよ。それに、尊重もしないとね」
「まあ、確かにそうなのじゃが、旦那様は、わしらに気を遣い過ぎなのじゃ。もう少し我がままを言ってくれても良いのじゃぞ。他人行儀になるよりも、少しくらいは甘えて欲しいものなのじゃ」
「あ。そう言う事か。うん。そうかもしれないね。そう言う意味では、ちょっと他人行儀になっちゃってるかもしれないね。分かったよ。ミラがそう言ってくれるなら、これからは、もう少し崩けた感じでいこうかな。はは。よろしくね」
「あい、分かったのじゃ。旦那様の好きな感じで構わんからの。話し易いように、砕けた感じでも良いからの、よろしく頼むのじゃ」
ふふふ。こんな会話でも嬉しいものですな。気に掛けてくれて、気を遣ってくれて。うん。家族って良いね。夫婦だよ?
「それで、そっちは、どんな話で盛り上がってたの? 楽しそうに4人で話してるからさ」
「おお。そうじゃったの。丁度モークが眠っておるようじゃし、旦那様にも聞いてもらうのじゃ」
え~っと。簡単にまとめると、エルフの恋バナ。濃い鼻でも、花でもないんだよ。恋の話。しつこいようだけど、鯉の話しじゃないからね。
モークが、なかなか恋心に気付いてくれないと。ここの所、更にもどかしく、イライラするようになってきたと。多分、俺達の結婚披露宴なんて開催しちゃって、立ち会い人から誓いの儀式の証人にまでなってくれたからね。
エルフと言えども、年頃? の女性だからね。色々思う所もあったんだろう。うん。良かったんじゃないのかな。良いきっかけ? 変化のきっかけになれたのなら、それは『ご縁』と言うヤツですからね。
それに、初めて会った時には、3人とも独身で、お付き合いとかもしていないって聞いてたけど、やっぱりそんな感じになるんだね。男女含めた3人組みのパーティーだからね。必然的にそうなる事も多いと思うんだよね。
命を預け合うような事にもなる修行の旅なんだから、それなりに認め合って、それなりに信頼関係もあるんだからね。
え~。でも、そこまで思ってるのなら、そっちから押していけば良いんじゃないのかな。付き合いも長いんだから、性格も分かっているんでしょ? モークの気持ちもさ。
真面目なタイプだから、重く考えちゃうかもしれないと。修行の旅に出るタイミングでする話じゃないんじゃないか。これで関係が拗れたら、これからの旅が気まずくなってしまうんじゃないか。
うん。色々考え過ぎだね。偉そうに言えるような立場じゃないし、経験も少ないけどさ。ゆー、言っちゃいなよ?
どうせ、そこまでイライラしちゃってるなら、白黒はっきりさせないと、前に進めないよ? 友情と愛情は違うなんて言う奴もいるけどさ、それも人それぞれ。モーク次第でしょ。
そんな感情のままで旅を続けたり、ダンジョンアタックするなんて、そっちの方が危険だよ? 焦っても仕方ないけどさ、これも何かの『縁』。良い機会だよ? お酒も少し入ってるなら、丁度良いんじゃない?
俺が酔っ払って、適当に焚き付けてる訳じゃないからね。勘違いしちゃダメなんだからね? よし。もう1杯いっとくか。乾杯ー! ってね?
「よし。心の準備はできた? シーン?」
そう。イライラしてたのはリーンだったはずなのに、この『恋バナ』の張本人は、シーンだったと言う訳です。あれれ~~? 俺も途中まで勘違いしてたんだよね。
てっきり、リーンがツンデレ噛まして告白するのかと思ってた。『わ、私が好きになってあげたんだから。有り難く思って付き合いなさいよね! ふんっ』なんてね? 俺は、まだまだ違いの分かる男には程遠いようですな。
「え、ええ。大丈夫よ。いつでもいいわ。お願いするわね」
モークは、軽く酒を飲んで眠ってしまってるだけだと思うけど、試しに、魔法で何とかならないかやってみる事にした。人体実験じゃないよ? 女性陣みんなの了承を受けての、『検証』なんだからね? 勘違いしないでよね?
まあ、言っても、酒を飲んで、気持ち良くなって眠ってるだけだからね。大それた実験じゃないからな。あっ。検証だったね。つい、ね。
まだこの状態なら、『二日酔い』の前の段階の『酒酔い』だよね。
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『酒酔い』にも2種類あって、その内の1つが、『エチルアルコールの作用による酒酔い』。
飲酒によって摂取したエチルアルコールの量に応じて、脳の抑制・麻痺が起こり、酒酔い状態となる。
まずは、判断力、集中力、抑止力等が低下し、その後に本能的な部分が表れてきて軽い興奮状態になる。
人それぞれに特徴も出てくるが、根拠のない自信が出てきたり、怒りっぽくなったり、笑い上戸に泣き上戸、ただ気分が良くなったりする人もいる『酒酔い状態』となる。
脳の機能を低下させちゃうのが特徴だね。血液中のエチルアルコール量の濃度によって、ほろ酔い期、酩酊期、泥酔期、昏睡期の4段階がある。
そしてもう1つが、『アセトアルデヒドの作用による酒酔い』。
体内でアルコールを分解する際に生成されるコイツは、有毒物質。これが血中に蓄積されてくると、心拍数の増加、嘔吐、皮膚の紅潮などの状態が引き起こされ、『酔った状態』となる。
この『アセトアルデヒドによる酔い』は、『エチルアルコールの作用による酒酔い』とは別の症状。
アセトアルデヒド脱水素酵素の活性型により、この症状が表れる人と表れない人がいたりする。二日酔いの原因物質は、このアセトアルデヒド。
肉体的には『脱水症状』を起こしているので、水分を大量に補給する事が必要。肝臓でのアルコール分解には糖分が必要だから、適度な糖分を摂ることも有効。
ただの水よりは、スポーツドリンクの方が望ましいが、利尿剤作用のあるカフェイン入りの飲み物は止めた方が良い。
胃にダメージがある場合には、刺激を与えてしまうので、冷たい飲み物も止めたほうが良い。
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と言う事で、エチルアルコールやアセトアルデヒドを取り除いてやるイメージで良いのかな。
いきなり〈光闇魔力循環の癒やし〉なんてやっちゃうと、逆に状態を悪く促しちゃいそうだから止めといて。取り敢えず、状態維持のために《手当て》を発動。 ふゎ~~ん
※〈手当て〉。状態を悪化させずに、状態を保つ程度。免疫力向上、体温・水分調整、呼吸の確保をする魔法。
〈浄化〉は、聖属性魔法の中の1つ。攻撃力は無く、永続的・内面的な汚れである忌まわしい不浄な穢れを洗い浄めるってシーンに教えてもらったから、ここでは役に立たないね。
そうすると、1番試してみたいのが、細菌の活動を弱める〈消毒〉かな。人体に有害な物質を除去または無害化する魔法だからね。この場合に使う魔法としては、名前は微妙だけど、効果としては、1番しっくりくる魔法なんだよね。
特定の細菌を殺す〈殺菌〉は、病原性、有害性を有する細菌、ウイルスなどを死滅させる魔法だから、なんか違うし?
すべての細菌を死滅させる〈滅菌〉は、強過ぎちゃって、人体に悪い影響を及ぼしかねないから却下でしょ。
うん。やっぱ〈消毒〉にしとこう。これで効果が出てこなければ、徐々に強い効果の魔法を試して行けば良いからね? ふふふふふ。徐々だけに、ラッシュしちゃう? 消毒ラッシュ?
いや、止めよう。皆見てるからね。変な事したら、後から何を言われるか分かったもんじゃない。そんな危険は冒しません。人体実験は行うけどね? いけね。検証だった。
「そろそろ良いかな? じゃあ、酔いの成分を無害化できるかやってみるからね。《消毒》」 ふゎ~~ん
さあ、どうだ? 色々間違ってる事も分かってる。でも、血液中のアルコール濃度を薄めて、有害物質を少しでも減らしてやれれば良いんだからね。少しは効果があるはずだ。
ふぁんたじぃパワーで何とかしてよ? じっちゃん!
「……ん、………ん? ん? 私は、眠ってしまっていたのか?」
「おお。成功みたいだね。一応、水も飲んでおいてくれるかな? これで大分スッキリすると思うからね」
「え? あ、はい。ありがとう?」 ゴクゴクゴク
うん。大丈夫そうだね。顔色も悪くないし、意識もはっきりしてきたようだ。ちっくしょう。もう少し検証させてくれても良かったのに。せめて〈殺菌〉くらいまで? ジャンタケみたいに、美味しくなったかもしれないよ? あはははは。
それでもダメなら、〈スタンガン〉(弱)で叩き起こそうかと思ってたのに。残念だ?
やっぱり〈手当て〉が効いたのかな。水分補給が効いたかな。〈消毒〉は、補助的な効果だったのかもしれないね。でも、軽度の酔いなら、これで何とかイケそうだ。うん。良い検証だったのだよ。ありがとうモーク。君が人体実験に協力してくれたからこその成果だよ?
よし。早速登録しておこう。
★《酔い覚まし》〈手当て〉〈消毒〉によるカラダ調整。どこまでの効果があるかは、今後の検証次第。
「うん。もう大丈夫そうだね。顔色も戻ってるね。
じゃあ、シーン? 早速、本題に入ろうか?」
「あ、うん。分かってるわ。
あなた達のお陰で、踏ん切りがついたわ。ありがとう。
いつか通る道なんだから、それが今って事よね。簡単な理屈だわ。コレも修行の内なのよね。これくらいで失うような信頼関係ではないはずだわ。これからの、私達の長い人生の、命を預ける旅に出るのだから。これくらいの事は、乗り越えなくちゃいけないわ。
モークの気持ちもそうだけど。まずは、私の気持ちをスッキリさせないとね。このままズルズル行っても、リーンのイライラが増しちゃうかもしれないしね。ふふ。はー。
いい、モーク? これは、お酒のチカラは借りてないからね。タビト達に出会えた『ご縁』が切っ掛けだから。よく聞いて。
私は、モーク、あなたの事が気になってるの。男性としてって意味よ? ここの皆から話しを聞いて決断したの。旅に出る前に言っておきたかったの。
感謝しなさい。私の方からあなたに告白してるのよ? 返事は今すぐでなくてもいいわ。でも、旅に出る前にはお願いね。いいかしら?」
おおー。なんかブツブツ言った後の発言が、ちょっとだけリーンっぽかったぞ? ま、まさか、この2人、2人とも『ツンデレ属性持ち』なのか! 決して、『好き』とは言えない所とか?
やるな、エルフ。やるな、リーン・シーンタッグ。強力なライバルが現れたのか? ミラ・アリータッグとの壮絶な連係プレー対決。おう。見物だね?
「…………。シーンが俺に告白を? これは夢じゃないのか? まだお酒が残ってるのか? ふっ!」 ドガッ!
「うっ! 夢ではないのか。良かった。シーン。
お、俺は、ずっと前から君の事が好きだったんだ。でも、こんな俺ではシーンに釣り合わないし、リーンとの3人の関係もある。それでなかなか打ち明けられなかったんだ!」
おう、おう、おう。テンプレ展開全開じゃないですか? やってくれるね、お2人さん。このまま盛り上がって、ぶちゅ~っといっちゃうか?
「もう。色々考え過ぎて損したわ。こんな事なら、もっと早く告白しておけば良かったわ。バカね、私ったら。
でも、モーク? 釣り合わないなんて言わないの! 私から告白したのよ? その言い方は、私に対して失礼になるわよ?」
「そ、そんなつもりで言ったんじゃないんだ。シーン。
ありがとう。本当は、俺の方から告白しないといけなかったのに、勇気が出なくて……、それでずっとこのまま来てしまったんだ」
「もう。いいわ。それじゃあ、返事はOKって事で良いのね?」
「ああ。勿論だ。オレの方こそ、シーン、君の事が好きなんだ。ずっとずっと前から好きだったんだ!」
「モーク!」
「シーン!」 ガ
「はーい! ストップ! ストップ!!」
ピッキーーンッ!!
「ここは、お店の中よ? あなた達。何をするつもりで、顔を赤くして立ち上がってるのかしら?」
「うっ、……」「はっ、……」
おーっとぉ! リーンによる氷結ストップが掛かったぁ! 流石『氷結のリーン』。その二つ名の通り、見事な凍り付き! 場の空気が凍ってるぞぉ!
「ははは。まあ、二人とも。良かったじゃないか。両想いだったって事でしょ。めでたい事だからね。別に凍り付かなくてもいいんだからね。笑顔でいようよ。明るい話だよ?」
「おお。そうなのじゃ。流石わしの旦那様。良い事を言うのじゃ。こんなにめでたい瞬間を見れたのも嬉しい事なのじゃ。もう1度、乾杯をするのじゃ!」
「はい。おめでたい時には乾杯です! 2人とも、良かったですね。おめでとうございます!」
なーいすフォローだミラ、アリー。グッジョブだ! 2人のタッグは無敵だね。俺のフォローをしてくれる人なんて他には居ないからね。まさに適任者なし。ムテキだ! 《スルー》
「コホン。そ、そうね。こんな所じゃ恥ずかしかったわね。ありがとうリーン。止めてくれて。それに、あなた達もね。そうね。おめでたい話だから、もう1度皆で乾杯しましょうか」
「あ、ああ。俺とした事が。我を忘れてしまうとは情けない。だが、嬉し過ぎて、それどころではないな。これは乾杯するしかないのだな。はっはっはっ!」
「全く、2人とも、調子いいんだから。仕方ないから、私も乾杯してあげるわ。感謝しなさい」
おお。出た。本家『ツンデレ属性持ち』による、『感謝しなさい』。この態度と言葉とのギャップ。やっぱりこうでなくちゃね。皆笑顔。これが1番だね。
「よーし! じゃあ、モークとシーンのカップル成立を祝して! せーの!」
「「「かんぱーい!!」」」
「乾杯なのじゃ!」「乾杯です!」
【新しく追加された魔法】
★《酔い覚まし》〈手当て〉〈消毒〉による
カラダ調整。どこまでの効果があるかは、
今後の検証次第
※〈手当て〉状態を悪化させずに、状態を
保つ程度。免疫力向上、体温・水分調整、
呼吸の確保をする
※〈消毒〉細菌の活動を弱める
人体に有害な物質を除去または無害化する
◇◇◇◇◇




