『使い道』とお食事会
もう1つ手に入れておきたかった機材があったんだった。
そう。『ジャンビーかっぱキノせん』を作るための焼き機だね。パリッとサクッと美味しい『ジャンタケ煎餅』を作るための機材だよ?
名前がイマイチぱっとしないよね。ひねりは大切だ。ジャンボシイタケの姿焼き。ジャンビーかっぱキノせん。やっぱり、エビは入ってないからね。名前は変えるコトにした。
『ジャンビー姿焼き』どう? 売れそう? うん。要検討だ。
本当は、イカやエビ、タコをそのまま姿焼きに出来るような、プレスしながら焼ける大型の機材が欲しかったんだけど、圧力かけたり、同時に火力も必要だから、作るのも難しそうなんだよね。流石にね。重量ばっかり増えちゃって、取り扱いが大変になりそうだから止めました。
挟み込むタイプのせんべい焼きも考えたけど、加工するのに時間も掛かるし、取り扱いも、メンテナンスにも手間が掛かるよね。稼動部があるからね。
だったら、ジャンボシイタケを鉄板の上で焼く時に、上から重りを乗せてやるだけでもいいのかなってなりました。『柄』の部分は、数個並べて一気に焼けるようにしてね。それぞれに味わいも違って楽しめるかも? 作るまでの時間も考えると、なるべく簡単に?
肉やベーコンを真っ直ぐに、しっかり焼き目を付ける時に使うようなヤツ。グリルプレスだったかな。取り扱いし易いように、取っ手の着いた鉄板の重りだね。
上から圧力をかけて押し潰せるように。大人なら誰でも扱う事が出来るように、重さと形状を考えて。
両面焼きのグリルなんかは、魔法のチカラで簡単に出来るからね。なんなら、火魔法による上下左右からの全面加熱も出来るよね。全く凄い世界だよね。魔法の在る世界って。
ドワーフ仲間のネットワークは素晴らしい。あっと言う間に適材が見つかり、あっと言う間に話が進み、あっと言う間に打ち合わせ。あって何回も言ってれば、あっと言う間じゃなくなるけどね。
こちらのやりたい事を理解してもらうため、手持ちの鉄板を利用してのバーベキュー大会の始まりだよ?
よく考えれば、お昼も食べずに話してた。皆さん、一緒に食べようぜ? 食材なんて、売るほど持ってるし? これくらいの人数で引くようなオイラじゃないんだよ? ミラの食欲で鍛えられてきたからね。はっはっはっ。任せなさい!
バーベキューの準備なんて、それこそあっと言う間だよ?
『土魔法の匠』ここに在り! とりゃあ!
お肉にお野菜、おつまみなんかもありやすぜ?
違った。これを実際に焼いて見せたかったんだった。俺ってば、慌てん坊さん? ただの酔っぱらい? バーベキューと言えば、ビールだからね。俺の中ではね。
さあ、お待ちかねの『ジャンビー姿焼き』だよ? いかがかな? 傘と柄は切り離してあるから、『ジャンビー半身焼き』? 『潰し焼き』? べちゃっとなってるから『べちゃ焼き』? 『べちゃ焼きジャンビー』って言うのも何だかね? いけるのか? いや。だから名前はそのままで。ほら、もう1本いっとく?
ほらね。普通に焼いても美味いけど、押し潰してやって、カリッカリにしても美味いでしょ? アッチの世界のシイタケじゃ、こんな風にはならないよ? 流石、元毒キノコ。素材が違うんだね? いつもの素焼きとは食感も変わるから、お好みに合わせて食べ分けて?
* *
いや~~。盛り上がったね。燃え尽きる所だったよ。まあ1本まあ1本と、大概にしとかな、いかんよ? 今晩のオカズがワヤになってまった。ドワーフさん達もいかんわ。食べ過ぎるもん。
皆さん、本当に今晩の夕食は要らないくらいに食べました。飲みました。あ。飲む方はまだまだイケルそうです。失礼しました。グッジョブだ?
説得力抜群の実演販売ならぬ、実食会。俺の作りたい物が理解出来たらからか、それ程ジャンタケが美味しかったからか、すぐに作成してくれる事になった。『ジャンタケプレス』。
半分に割いたジャンボシイタケが程よくプレスされるように、重さとサイズを調整してくれるそうだ。
拘りと技術力。この町には、スピードもある。そんなに急がなくても良いからね。突然の発注だから、負担にならない範囲でお願いします。滞在期限は最長でもあと4日。それまでに、少しでも出来てれば大丈夫ですからね。よろしくお願いします。
材料もすぐに手に入る物ばかりだし、重さと取り扱う時のバランスを考えて形状を決めるだけだから、1度規格が決まれば、後は流れ作業で出来ちゃうらしい。
まあ、そうか。物自体は、大した技術は必要としない、重りみたいな物だから。後は、どこまで拘って使い勝手を良くしてくれるかだけなのか。
流石ドワーフさん。こういう所も、頼りになりますね。
お願いすると決めたからには、いつもニコニコ現金払い? いや、今回は『フラナガン・マネー』の先払い。これで、作れるだけ作って下さいね?
あれれ~~? このやり方、どこかでされた事に似てるのか? 別にプレッシャー掛けてる訳じゃないからね? これでどれだけの数が作れるのか試していたり、納入期日を速めようとかしてないからね? フリじゃないよ? フリじゃないからね? 通じないと思うけど、あしからず?
『10万フラナガン・マネー』15枚
項目 枚数
・ジャンタケプレス作成依頼 10
『10万フラナガン・マネー』残 5枚
* *
いやー。楽しい時間は過ぎてしまうのも早い。そろそろ、待ち合わせの場所に移動しないとね。今日の夕食は、エルフの3人組みとのお食事会。ミラとアリーとも合流して、6人での食事です。
俺からすれば、はしご酒? そこまで酔ってはないけど、気分が良いのは間違いない。
話しの分かる良い仲間が出来たしね。『フラナガン・マネー』も結構使ったね。俺が持ってた分では、残り50万エーン分。1日で950万使った事になるんだよね。ははは。アホなのか?
そんな事はない。良い買い物も出来たし、大満足の時間を過ごす事が出来たかな。だから、良しとするんです。
さて、ミラとアリーはどこに居るのかな? いくら使っているかも楽しみだ。おっ。
「ミラ、アリー。もう来てたんだね。お疲れ様。買い物はどうだった?」
「おお。お疲れ様なのじゃ、旦那様。わしらも今来た所なのじゃ。今日も食料の買い入れをして来たのじゃが、そんなに使えるものでもなかったのじゃ。まだ、ほとんどそのまま残っておるのじゃ」
「はい。お疲れ様です。旦那様。そうなんです。食料だけでは、そんなにお金も掛かりません。お釣りが出ないとなると、どうにも使い難くて。無駄遣いするもの気が引けますし、使用期限があると分かっていても、このままだと使い切れないかもしれません」
「やっぱりそうだよね。食料だけだと、1000万エーンも使い切れないよね。でも、家具とか服とかは買わなかったの?」
「おお。それは勿論見に行ったのじゃ。色々見に行ったのじゃが、折角買うなら、旦那様にも選んでもらおうと思っての。気に入った店を見つけてあるから、明日にでも、一緒に買い物に行きたいのじゃ」
「はい。折角ですから、一緒に選んで欲しいです。家具もそうですけど、好みが違うと勿体ないですから。それに、ミラさんと私、それぞれに似合う服を、旦那様が好きな服を選んで欲しいです。エヘヘ」
おう。2人のこの笑顔。プライスレス! 酔ってるからじゃないからね? 思わず、『サラもふ』したくなる今日この頃です。
「うん。分かったよ。じゃあ、明日。3人で買い物に出掛けようか。家具と服も含めて、色々回ろうか。よしよし、よしよし」
サラサラ もふもふ
「あい、よろしく頼むのじゃ。明日が楽しみなのじゃ。ふふ」
「はい。よろしくお願いします。明日が楽しみです。えへへ」
「ふふふふふ」 サラサラ もふもふ
「コホン! まったく、お店の出入り口で、何をイチャついているのかしら? 通行人の邪魔になってるでしょ? 少しは自重したらどう?」
あれれ~~? イチャついてました? お邪魔でした? おっかしぃなぁ。でも、確かにちょっと恥ずかしい?
「あ、うん。失礼。つい、ね。あはははは。
みんなお疲れ様。揃ったみたいだから、お店に入ろうか」
「もう! まったく、私の前でイチャイチャするなんて! 当て付けてるのかしら?」
「まあまあ、リーン。落ち着いて。別に珍しい事でもなかったでしょ? 初めて会った時から、こんなものだったの思うわよ? 思い出してごらんなさい。それに、『誓いの儀式』もしたばかりなんだから、アツアツほやほやも仕方ないと思うわよ?
あなたも立ち会い人となって、証人にもなったでしょ? もう忘れちゃったのかしら?」
「もうっ! そんなの分かってるわよ。でも、見てると何かイライラしちゃうのよね。なぜかしら?」
「ははははは。すいません。タビトさん。この前の食事会の後から、ずっと機嫌が悪いみたいなんです。まあ、しばらくすれば落ち着くと思いますから、取り敢えずお店に入りましょう」
「まったく、分かってないわね。モークも。そうやって、いつまでも女心が理解出来ないから、私も苦労してるのよ?」
えっと、リーンさんとシーンとさんが、2人してブツブツ言ってるけど、いいのかな? ほっといて、先にお店に入っちゃうよ? おーい。お茶飲んどくか? 落ち着くよ?
お店の名前は、『呑み喰い処 どれにしようかな』。メニューが豊富で、何を食べようか、何を飲もうか、迷ってしまって、さあ大変。みたいな?
店名の続きが、『天の神様の言うとおり』とかじゃないよね? 気兼ねなく、大いに食べて大いに飲める。そんな楽しいお店らしいよ? 入店前に、つい考えてしまったオイラでした。
『フラナガン・ガイド』? ちょっと評価の対象ではなかったみたいだね? お店の拘りが。
「それでは、2日ぶりの再会と、お互いの今後の旅の無事を祈って、乾杯!」
「「「乾杯!」」」
「乾杯なのじゃ」「乾杯です」
俺達は6人もいるからね。その内のミラは、3人分は食べられる? だから、メニューも適当に? 目に付いた物から順に注文していって、食べ切れなくなったらお仕舞いね。残ったらお持ち帰りでお願いします。
4人用のテーブルを2つくっつけて、即席の長テーブルに。俺の目の前にはモーク、左にミラ、左斜め前にアリー。ミラの左にはリーン、その目の前にはシーンという配置で座った。
ミラとアリー、モークの3人はお酒屋抜き。もう2日酔いは、ご免らしい。そんな事お構いなしに、俺たち3人は飲んじゃうよ?
人生、遠慮し過ぎても意味ないからね。ストレス溜めても仕方ない。自己責任でご自由に。気軽な仲間との飲み食いに、気を遣ってもしょうがないじゃないかぁ。
「それで、もう馬車の修理は完了したの? もう出発する準備も出来てるの?」
「はい。お陰様で、馬車の修理は完了して、様子を見て、明日か、明後日には出発する予定で動いています。本当お世話になりました。また、どこかで会うかもしれませんので、その時は宜しくお願いします」
やっぱりモークは、お堅いね。少しは砕けて話せるようになったけど、あと1歩? まあ、これくらいで勘弁しておこうかな。また会うかもしれないしね。イジリ過ぎても可哀想だから? ちなみに、『さん付け』は無しって事になっている。
もうそれなりに打ち解けたはずだしね。『誓いの儀式』の立ち会い人、証人にもなってもらった3人だ。最低限の礼は尽くすけど、飾っても仕方ない。これからも仲良くいきましょう。
「そうか。良かったよ。再出発になるけど、修行の旅だからね。これも良い修行になったと思えば、得る物も多かったんじゃないのかな。こうして俺達が出会う事も出来たしね。仲良くもなって、色んな話も出来た。
3人には悪いかもしれないけど、俺にとっては、良い出会いだったから、『5』『8』達には感謝だよ?」
「ははは。そう言われしまうと、何とも返答に困ります。
修行と言えば修行なんでしょうが、そのお陰で、こうして新しい出会いがあったという見方もできますね。世の中、なかなかに難しいものです。ははは」
おっと。女性陣からも、笑い声が上がったぞ? そっちは4人で盛り上ってるみたいだし、こっちも男性だけで話しておきましょうかね。女性陣の話にヘタに巻き込まれると、ロクな事がないのが世の常だしね?
「それで、出発したら、どこを目指すとかはあるの? 前の時は、多分『ダッカル』を目指してたんだよね?」
「はい。前回と同様に、取り敢えず『ダッカル』に向かい、そこから『ダンジョン』に挑戦するつもりでいます。
ダッカルの近くには、『ダンジョン ガウーボ』がありますからね。中級者向けのダンジョンと言われていますから、腕試しも兼ねてチャレンジしてみるつもりでいます」
へー。あの、看板に名前が載ってた『ダンジョン ガウーボ』って、中級者向けだったんだね。2人とも二日酔いで寝てたから、張り切って大人しくスルーしたんだよね。オイラ大正解。絶対ミラが行きたがっていたと思うからね。丁度良かったよ?
中級者向けなんて言われたら、結構時間も掛かりそうだからね。仮に、1週間も掛かっていたら、仕事の完成は遅れるは、防衛団の人達もずっと待たせていた事になるからね。うん。良かったよ。
それに、もしチャレンジなんかしてたら、この3人も助けられなかったかもしれないからね。やっぱり俺ってば、ないす判断だったよね。グッジョブだ! 俺。
よし。もう1杯?
「そっか。ダンジョンアタックか。この3人なら大丈夫だと思うけど、油断は大敵だからね。また、変な奴らに捕まっちゃったりしてね?
人間と違って、モンスターは戦いやすいのかもしれないけど、その分容赦ものないからね。油断せず、2人の盾として、しっかり守ってあげるんだよ?」
「ははは。相変わらず手厳しい発言ですね。ですが、その通りです。町からもそれなりに近く、人間だからと油断したのが間違いでした。これからも肝に銘じておきます。ご忠告、ありがとうございます」
本当、堅いよね、モークは。しっかり2人を守らなくちゃいけないから、慎重になるのは分かるけど、やっぱり人間、メリハリが大事だよね。ずっとこんなんじゃ、俺なら逆に疲れちゃって、人を守るどころじゃないけどね。
まあ、それも人それぞれか。モークにはモークなりの考えと行動基準があるのだろうね。
「ふふ。まあ、そんなに堅くならないで。今は俺達もいるんだから、少しは気を抜いてみたらどう? たまには肩の荷を下ろして、思いっきり笑ってみたら?」
「ははは。確かにそうですね。ずっと言われていましたが、なかなか難しいものでして。ですが、ここなら街中ですし、皆さんもいます。この先、こんな機会もなかなか無いと思いますから、たまには気を許して飲んでみるのも良いかもしれませんね」
「そうだよ。これもなにかの縁。これからの事を考えても、気を許せるのは、今を逃せばいつになるのか分からないからね。ゆっくり寛いで楽しめれば良いんだから、今日は、少しハメを外して盛り上がっていこう! もう1度、乾杯だ!」
「おお! そうですね。ゆっくりして楽しめれば良いですね。難しい事は考えずに、今日は楽しく盛り上がりましょう!」
「「乾杯!」」




