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陸 ~人狼物語~  作者: 霧島雅狼
第参章 高校狼物語 その弐
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番外Ⅱ 流菜の幸せ(前編)

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 ――……トントントントン。ザクッ。


 「……痛い。」


 ――……トントントントン。ザクッ。


 「……痛い。」


 ――……トントントントン。ザクッ。


 「……痛い。」



 ……私は、包丁を少し赤くなってしまったまな板の上に置いた。


 私の名前は、桐島流菜。

 今は、カップ麺の具材を切っていたけど……。



 ――「……痛い。」



 私は指に大量にある切り傷に絆創膏を貼る。


 カップ麺の具材……、城川さんがよく入れてるって言うから、じゃがいもを入れようと思ったけど、……固くて、滑って、指を切ったの。


 ……昨日も、出来なかった。


 ――陸くん、陸くんはどうしてあんなに上手く切れるんだろう?



 「……聞いてみよう。」



 そう私は呟くと、部屋に戻りスマートフォンの電源ボタンを押す。



 「……?」



 でも、反応がない……――――……電池切れ?


 私は、スマートフォンを充電器に差し込み、充電を始めた。



 「……キッチン、片付けなくちゃ。」



 そう呟いた後流菜は一度キッチンに戻り、調理器具等を片付ける。


 ……そして、片付けが終わった頃には、すっかり陸に話を聞く事を忘れていた。


 ……そして陸の着信三件も、流菜は気がついて居なかった……。





 ――次の日。


 流菜は、五時半に起きた。

 これは、何時もより早い、と言う訳では無く、何時も通りである。



 朝起きた流菜は、まず着替えのロングのTシャツと下着を持ってバスルームに向かう。


 冷水のシャワーを浴びる。


 ――……冷たい水で、流菜の低血圧によるぼんやりとした頭は覚醒する。


 シャワーを終えた流菜は、頭から垂れる水滴をタオルで少し乱暴に拭き取る。


 ……何時もの日課である。



 普通ならこれから朝食を食べ、それから制服を着て学校へ向かうのだが……。生憎、今日からは夏休みの為に、学校は当分無い。


 部屋に戻る。

 その時、スマートフォンが鳴った。



 『宮原君携帯 着信』



 流菜は慌てて通話ボタンを押す。



 「……もしもし?」



 『あー、もしもし?、桐島さん?』



 ……電話の相手は、広瀬君だった。


 広瀬君は、


 『今さ、陸の携帯で電話してるんだけどさ……。』


 と言ったので私は、


 「……何?」


 と聞く。すると広瀬君は困った様な声で、


 『……うちに陸が、発情期だからって泊まりに来てたんだけど……。その、昨日から、急に犬になって……。と、とにかく来てくれ!。』


 と言ってきた。


 


… … … … … … … … … …


 「り、陸くん……、くすぐったいわ。」


 ……ペロペロペロ。


 陸はソファーに寝転がった流菜の顔をなめる。

 そんな陸を流菜は撫でていた。


 ――陸は発情期抑制の薬を飲まなかった為に、完全に犬になってしまっていた。



 そんな流菜達を流菜の父親である原人は複雑な顔で見ていた。



 

 実は、実際初めて陸に会うまでは探偵に調査させていた。

 そこで原人は陸がそこそこの成績があり、性格も優しく、友達も多い好青年である、と言う情報を掴んでおり、そのうちに実際に会おうとも思っていた―――しかし、彼は犬だったのだ。


 そした、とりあえず予定通り『娘を宜しく頼む。』と言ってその反応を見ようと思った。


 ……結果は、まさかのまだ告白して居ないだった。


 そして同時に、彼はとても初々しい青年だと言う事も理解した。


 それに彼は、娘の命の恩人でもある。



 ――……原人は、もう少しだけこの二人を見届けて見ようと思った。


 彼は犬だ、しかし娘に相応しい青年だとは思う……。




 ……陸は実は狼だと言うことを忘れている、原人であった……。

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