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陸 ~人狼物語~  作者: 霧島雅狼
第弐章 陸~高校狼ドタバタ騒動記~
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第拾仂話 ミズノキオク

沢村先生……、何者?。

 ……ゴポリ。


 ……ここは、何処?


 俺の身体は、温かい水のようなものの中に浮かんでいる様だった。


 ……ゴポリ。


 時折、そんな音がする。


 ――俺は、流菜の事を、助けられなかったのかな?


 そう思うと胸が苦しくなる、しかし同時に不思議な安心感があった、この場所はとでも落ち着くのだ。


 ――……なんていうか、母さんと一緒にいる感じ?


 ……ゴポリ。


 「この仔は、この世界――、地獄で生きていくんだな……。」


 遠くから、男のヒトのそんな声がする。すると、


 「……いいえ、この世界は確かに地獄かもしれない。けど、楽しいこと、嬉しいことにきっと満ち溢れているわ。」


 と言う声がした、優しそうな、女のヒトの声だ。


 「……そうか?」


 男のヒトの声がまた聴こえる、すると女のヒトは、


 「……私も、あなたに出会えたんですもの……、この仔もきっと、自分の愛するヒトに出会うことが出来る……、そう信じるわ。」


 と答えた。すると、男のヒトは、


 「……そう、か。そうだな……。」


 と呟くように言うのを、俺は聴いた。




 …………………




 ――…ミーンミンミンミンミンミー……。


 セミの声が聞こえる、目の前には病院の天井があった。


 枕元に置かれた椅子には、兄が座っていた。


 「……兄、貴?」


 俺はそう呟くように言う。すると兄は、


 「……バカかお前は、あんな危ないことして……、死ぬところだったんだぞ。」


 と言った、その表情は外からの光が逆光になって、俺からは見えない。


 「……ゴメン、兄貴。」


 俺はそう言った。すると兄は突然俺の頭を撫でてきた。そして、


 「……だが、お前は自分が守りたいものの為に命を懸けた、それは立派だ。」


 と言った、兄が近づいたので俺は兄の笑っている顔が見えた。

 そして兄は言った。


 「……お前は、人に誇れる事をしたんだ、それだけは、忘れるな。」


 ――と、そして兄が立ち上がり、少しずれると俺には窓際のベッドで眠っている流菜の姿が見えた。


 「……流……、菜。」


 俺は思わずそう呟く。

 すると兄は、


 「……左足の圧迫による内出血と捻挫、それから全身の打撲と切り傷と軽い火傷……、全治2週間位だが、とりあえず流菜ちゃんは2週間もあれば退院出来るそうだ……、良かったな、陸。」


 と言い、笑った。


 そこで俺は流菜があのペンダントを着けていることに気がついた。


 「……あっ、ペンダント。」


 と俺が言うと兄は、


 「あぁ、彼女へのプレゼントだろう?


 お前のクラスメートから渡されてな、俺が流菜ちゃんに渡しておいた……、喜んでたぞ~、流菜ちゃん!」


 と言って笑った。


 それから少し間があり俺は兄に向かって、


 「……それ、俺が自分で渡そうとしてたんだよぉぉぉっ!」


 と叫んだ。




 …………………



 ――その頃、焼け落ちたペンション。


 沢村はそのペンションの火元である裏口を凝視していた、それからやがて、


 「……やっぱ、アレの仕業か……。にしても気になるなぁ、何でこんなことをしたのか……?。」


 と呟いた。










第二章 劇終

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