第拾伍話 能力?
――「……ハァ、ハァ、……ついた。」
俺はペンションから少し離れた所にある蛇口とバケツの置いてある所にやって来た。
委員長の事は翔輝に任せてきた。
――バシャッ!
バケツに溜めた水を頭からかぶる。
あとは、ペンションの中で流菜の匂いを辿れば……!
「おい!、陸!」
突然そんな声がした。
声の主は始だった。……多分、俺にこっそり着いてきたんだろう。
始は一言、
「……本当に、行くのか?」
と聞いてくる、俺は笑って、
「あぁ、……そうだ、これ。」
と言ってポケットに突っ込んであった箱を渡す、そして俺は、
「……ちょっと預かってて。それ、流菜へのプレゼントなんだ。」
と言って燃え盛るペンションへと走った。
………………
ゴオォォォォォ……、
ペンションの中はどこもかしこもスゴい火の勢いだった。
「ゲホッ、ゲホッ!?」
俺は暑い空気と共に流菜の匂いを嗅ぎ取利ながら必死になって流菜の居場所を探す。
――そして、見つけた。
燃え盛る廊下で流菜は倒れていた。
「流菜っ!」
俺は流菜へと駆け寄ると流菜はうッすらと目を開けて俺の事を見た。そして、
「陸……、くん……。逃げ……、て……。」
と言った、俺は、
「流菜っ!、逃げるぞ!」
と言うと流菜は首を横に振り、
「……足が、挟まって……、動け……、ない……、の。……だか……、ら、逃げ……、て……。陸くん……。」
と言った、見ると流菜の左足は倒れてきたのであろう巨大な柱に挟まっていた。
俺は動かそうとしたがビクともしない、多分500kg位はあると思う。
「逃……げ……、て……。」
流菜は途切れ途切れにそう呟く、流菜の頭の辺りからは血が流れていた。
血はどんどん流れていく、炎もどんどん近づいてくる。
――その時だった。
流菜へまた柱が倒れてきたのだ。
――その時、全てがスローモーションになった。
俺は倒れてくる柱を受け止めようとした。
――守りたい、絶対に。
「……絶対に、流菜だけは守るんだぁッ!」
俺はそう叫んだその時、一瞬視界が真っ白になった。
…………………
……あれ?
いつまで立っても柱は倒れて来なかった。
俺は恐る恐る目を開けた、すると目の前にはとんでもない光景があった。
まず真っ直ぐにこっちに倒れてきたの柱は横に倒れていた。
何故か、簡単だ。俺を中心として何か薄い赤色のガラスの板みたいなのが空中に出来ていて俺たちを守ったのだ。
そして受け止めようと伸ばした手は二の腕の辺りまで黒と白の毛で覆われ、爪は黒く、鋭くなっていた。
そう、俺は今腕だけあの時の狼男になっていたのだ。
俺がゆっくりと腕を下に下げると赤いガラスみたいなのはスーッ、と何もなかったかの様に消えた。
俺はビックリしながらももう一度流菜の足を挟んでいる柱を持ち上げようとした。すると、
――ガゴン。
柱は軽々と動いたのだ!
「……流菜っ!」
柱を退かすと俺は流菜にそう声をかけた。
しかし、返事は無い。
俺は流菜の事をおぶさった。
そして俺は走った、とにかく早く流菜を外へっ!
……ただその、一心だった。
しかしやがて意識が遠ざかってくる、呼吸も苦しい……。
だんだん何も考えられなくなってきて……、俺は倒れた。
次回で一応第弐章完結です。




